「名古屋旅行記(その2)」のつづき、「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」の見聞録をもうちょっとだけ。
この数多くの名品が並ぶこの展覧会で、もっとも光り輝いていた作品といえば、やはり目玉のクロード・モネ「ラ・ジャポネーズ《着物をまとうカミーユ・モネ》」でした。
世田谷美術館で観たときは、満を持して目の前に登場した感がありましたけれど、名古屋ボストン美術館では、意外なほどあっさりと展示されていた気がします。
それでも、この作品が魅力的であることには変わりなく、再会を喜んだのでありました。
名古屋ボストン美術館にもこちらの記事で写真を載せた「実物大(=カミーユさんの等身大)の顔ハメ」がありましたけれど、この記事ではこちらの写真を載せておきましょう。
「ラ・ジャポネーズ」でカミーユさんが着用されていた打ち掛けと小道具の団扇や扇子、、、の再現品です。
それにしても豪華な打ち掛け
図録の解説によれば、
モネがモデルにまとわせた衣装は、金糸で縫われた紅葉、刀を抜こうとする武者のデザインからまさにその(「紅葉狩」の)場面を捉えたものといえる。しかし、一方で芝居の主人公の姿そのままにデザインした衣装を舞台で着用するということは考えにくく、これは能や大歌舞伎で用いられた衣装ではなく、地芝居と呼ばれる愛好家たちによる地方での興行に用いられた衣装、あるいは大旦那がひいきの花魁に贈り花魁道中に着せるために作らせたものなのではないかと推測されている。
(中略)モネ自身が、作品を描くきっかけとなったのもこの衣装の豪華さゆえと言っている。
だそうで、確かに、刺繍の針跡までまで見えるかのような描写からは、この衣装に対するモネの執着が感じられます。
それはともかく、この現物の打ち掛けもこの展覧会の見どころのひとつと言えると思いました。
ところで、この展覧会では、欧州の画家たちの「驚愕の元」になったと思われる日本の作品と、それにinspireされたと思われる欧州の作品とが対比的に展示されていて、非常に興味深かったのではありますが、モネのおなじみの「積みわら(日没)」が、
広重の「東海道五十三次之内 鞠子 名物茶店」の本歌取りだというのは、ちょいと無理があるような…
そんな疑問を満足感の中にくるみ込んで、次の目的地へと向かったのでありました。
【追記】この記事を書いたあと、朝食がてら(ついでに昼食も)外出しまして、先週末にリニューアルオープンした埼玉県立近代美術館(MOMAS)に行ってきました。
久しぶりにMOMASで対面した作品の中に、モネの「積みわら」シリーズのひとつ、「ジヴェルニーの積みわら、夕日」がありました。
MOMASの「ジヴェルニーの積みわら、夕日」と、ボストン美術館の「積みわら(日没)」を見比べると、、、、う~む、、、、「積みわら(日没)」の方がより練られた感じがするなぁ…
でも、身近なところでモネのホンモノの「積みわら」を観られるというのはうれしい
(2015/04/18 19:30)
つづき:2015/04/20 名古屋旅行記(その4)