創作日記

 青磁作品を中心に創作しています。
  陶芸作品が出来るまでの過程を、
   日常の暮らしを通して紹介しています。

垂れる

2010年09月10日 | 日記

個展まで一ヶ月をきりました。 いよいよ焦ってきました。
あれもこれも、何もかもしなくては、そんな思いで工房を出たり入ったり。
事実、実行しなくてはならないのです。

Photo

   午後5時・鎮守の杜

先日の台風9号、どういう訳か、はたまた運が良かったのか急にコースを変えてくれ、
若狭湾から真っすぐに小松に向かってくるはずだったのに、白山の南側を通り岐阜県へ。
今回も台風の被害を免れ、雨風(あめかぜ)も大したことなく普段と変わらない北陸だった。
白山がど~んと構えているお陰でしょうか、何事も無く過ぎたことに感謝。
しかし台風通過で甚大な水害が出たところも多々あり、心よりお見舞い申し上げます。

個展準備の最終段階に入り、気持ちを落ち着かせるために台風一過の今日、
太陽が西の空に傾き始めた夕方、外に出てみました。
台風襲来の土曜日曜に殆どの家が稲刈りを済ませ、
あと少しだけ鎮守の杜周りに稲が残っていた。

実るほど垂れる稲穂かな・・・天候に恵まれ大豊作のコシヒカリ、
もっと米を食べるようにならないかと願っている毎日。
日本人の体質には米が一番合っている。

戦後からずっとこのかた小麦製品を奨励してきた前政権、
そのひずみの表れで米作りを止めざるをえない農家もあり、減反が年々増えて来ているようだ。

オシャレか何か分からないけれど、若い女性達は菓子パンやサンドイッチを食べている。
痩せなくてはと言いつつパンを食べている。 麦は米に比べてカロリーも高く、
体に吸収されるのも早く、本当に痩せたいのならゆっくり吸収される米食をおすすめしたい。

と同時に異常気象が起き、輸入に頼っている小麦が手に入らなくなったらどうする?
米を食べなくなり、稲を作らなくなって農業を諦める人が増えている昨今、
目の前の重く垂れた稲穂、来年はもっと増えるようにと鎮守の杜に願いを込めた。

Photo_2

   青磁釉薬

垂れるは垂れるで、釉薬が垂れるのは心が痛む。
私達はこの状態の事を「 釉薬が散った(ちった) 」と表現するが、
一般には「 釉薬が剥がれてしまった 」と言う方が分かりやすいかも。

青磁は釉薬を厚く掛け、高温で焼き上げる作品。
丁寧に気を抜かず、細心の注意で釉薬がけを行って焼き上げているが、
沢山の作品がこのような状態で窯から出てきた。

Photo_3

   青磁輪花壷となるはずだった

今回の個展のために作った青磁用の作品、7割がた、このような状態に。
又かなりの窯変作品も釉薬が流れ落ちてしまった。

茶の湯の世界などでは「 釉とび、釉ちぢり 」などと、その景色が珍重されることがあるけれど、
私が求めている、青磁、白磁は完璧を求められる作品である。
窯変鉄釉薬、辰砂などは釉薬の現れ方の面白さを珍重され喜ばれるが、
さすがに「 釉とび、釉ちぢり 」は認められない作品である。

失敗を繰り返しながら準備してきた、今回の個展作品、
私が、「 これでよし! 」と合格点をつけた作品だけをご覧頂きたいと思っております。
個展まであとしばらく、心込め仕上げを行いたいと思っています。
重く垂れた「 稲穂のように 」。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする