三越千葉店の個展も無事締めさせていただくことができ、
その後、都内で三、四、五日と過ごしてまいりました。
個展期間中、お客様からは桜が満開とお話し頂き、運がよければ東京で花見など、と
期待していましたが、個展終了と同時に真冬並みの寒さと強い雨。
上野あたりに行きましたが、寒くてどうすることもままならず。 満開だった桜もすでに散り始め、
遊歩上には濡れそぼった花びらが、冷たい春雨に打たれ震えているようにも思えました。
何故かここ数年、桜を見る機会に恵まれていないのです。
予報では今年は早く咲き出すと言っていましたが、上京した三月二十六日にはまだ蕾も固く。
そして個展期間中、一気に気温も上昇し満開となってしまっていたのでした。
東京では桜を見れませんでしたが、四月五日最終便で小松に帰り、タクシードライバーとの会話で、
小松はようやく三分咲きとのこと。 天気も次第に良くなるとの事で嬉しくなりました。
何年かぶりの桜見、運動不足で3キロも増えた体重も落とさなくてはと近くを歩き回りました。
数日の暖かさも手伝ってか、桜も調度よい見ごろに。
四月に生まれた私、実は桜には格別の思いを持っているのです。
小学校入学式の記念写真には母が写っていないのです。 その当時母は入院中。
真新しい学生服を着た生徒達の後ろには満開の桜。 晴れやかなはずなのに何故か寂しい、
そんな入学式でした。
こんなにも見事に美しく、そして心弾ませてくれるはずの桜が私にとっては少しさみしい花として
記憶されてしまっているのです。 寂しいからこそ、その桜が見たい、とても複雑な感情なのです。
桜を見ながら歩いていましたら、石積みの間から可愛いすみれ。
ほとんど土も無いところにしっかりと根を張り、可憐な花を咲かせています。
思わず 「えらいねぇ」
私もしっかりと地について創作に励まねば、そう思いました。
昨日は三越へ桐箱などを発送したし、後は作品の整理を早く済ませ、お越しくださった方々への
お礼のご挨拶をと思っております。
とても心配した個展でしたが、幸せな結果を頂戴させていただき、心よりありがたく思っております。