オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

「カラヤン帝国興亡史」

2008年05月03日 14時34分28秒 | 音楽
幻冬舎新書の中川右介氏著の「カラヤン帝国興亡史」を購入し一気に読む。
物々しい題名である。昨年同じく中川氏の著の「カラヤンとフルトヴェングラー」を読みチェリビダッケも絡んでの音楽裏舞台の生々しさに驚き、特に大指揮者フルトヴェングラーの内面の複雑さ、嫉妬深さに強い印象を受け、だからこそ一旦ステージに立つとあの人間離れした演奏をきかせたのだろうと思ったものである。
今回の新刊はフルトヴェングラーの死後の権力闘争の駆け引きが記されている。
それにしても物凄いものである。1954年フルトヴェングラーが亡くなり、たった3年後にはベルリンフィル、ウィーン国立歌劇場、ザルツブルク音楽祭、そしてミラノ・スカラ座、フィルハーモニア菅、ウィーン響も押さえてしまうのだから・・・それらに追随する大手レコード会社。
カラヤンをこれだけ駆り立てたのはいったい何だったのだろうか?自分の前に立ちふさがっていたフルトヴェングラーの影の影響か?これは本人の心の中でしか解らない事なのであろう。

ザルツブルク音楽祭の全権掌握を求めた時の一説が大変印象に残りました。
「カラヤンはフルトヴェングラーですら持たなかった芸術監督というポストを得ることで、フルトヴェングラー以上の権限を得ようとしたのである。
しかし逆に言えばフルトヴェングラーは何のポストに就いていなかったのに、自らの要求を押し通せる権威を持っていたのである。それに対しカラヤンは、あくまでポストを必要とした。カラヤンは帝王にはなれたがフルトヴェングラーのような神格性はなかった。少なくとも、この時点では、まだなかった」
権威と権力の違い。フルトヴェングラーとカラヤンの違いを痛感しました。

私は最近よく1960年のザルツブルク音楽祭でのカラヤンの指揮するオペラ「ばらの騎士」の映像を観ます。あの美しい音楽を奏で、美しい舞台を見ながらカラヤンの心の中では何が過ぎっていたのでしょうか?いろいろ考えさせられます。
http://blog.goo.ne.jp/0612-0523/e/7a83c9b169031d6bdbc39da2b60798ec

朝比奈隆のブルックナー交響曲第2番

2008年05月02日 10時24分11秒 | 朝比奈 隆(生誕100年記念)
ブルックナー 交響曲第2番 ハ短調

第1楽章 かなり急速に
第2楽章 アダージョ
第3楽章 スケルツォ
第4楽章 フィナーレ

ブルックナーの作品の中で最高傑作は?と聞かれたら迷わず8番と答えると思いますが、一番好きな作品は?と聞かれたら2番と答えるでしょう。初期のブルックナーの魅力満載である。この作品の魅力を知ったのはヨッフム指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団のレコードからである。(全集でなくこの曲のみのCDを発売して欲しいものである)
第1楽章、弦のさざなみに乗ってチェロが演奏する第1主題を聞くだけでこの作品に引き込まれます。アルプスの山々を見渡すことのできる高原で味会う自然の息吹とはこの様なものか?と感じさせれ、また何とも言えない、いじらしささえ感じます。
第2楽章は上記の高原にポツンとある教会の風景を連想され、何とも言えない寂しさを感じさせられます。同じアダージョでも7番や8番のような長大さはありませんが、歌の美しさは引けを取らないと思います。
第3楽章はトリオの美しさ。
第4楽章も第1楽章と同じくアルプスを見渡せる風景か。厳しい自然の世界と言ってもよいでしょう。

1971~2年作曲された第1稿と1876年の再演後から翌1877年にかけて改訂された第2稿がありハース版は両者をミックスして編集され、ノヴァーク版は第2稿を基に編集されている。両者の違いは複雑で頭が痛くなってきますが両者の一番よくわかる大きな違いは第2楽章の終結でハース版はホルン・ソロであるがノヴァーク版ではクラリネット・ソロに変わっている。私自身は余韻の美しさは何といってもホルンでのハース版だと思います。また速度指定もハース版はアダージョだがノヴァーク版ではアンダンテである。 (なおヨッフムの演奏はノヴァーク版によるものだった)

①大阪フィルハーモニー交響楽団(1976年神戸文化ホールでの公開録音)ジャンジャン盤
②東京都交響楽団(1986年東京文化会館でのライブ録音)ビクター盤
③大阪フィルハーモニー交響楽団(1994年大阪フィルハーモニー会館でのスタジオ録音)キャニオンクラッシックス盤
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①はジャンジャンの全集の中でも大変な名演と言えますが③はブルックナーの演奏を続けたこのオケの技術が大きく上まわっている。録音も同様である。朝比奈隆も完全にブルックナーの響きを身に付けブルックナーの世界に安心して浸らせてくれる。特に第2楽章は弦をたっぷり鳴らせ美しい限りで最後はハース版の美しさを満喫させてくれる。