オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

チャスラフスカ、そして連作交響詩「わが祖国」

2016年09月09日 12時31分39秒 | 私の名曲アルバム
9月5日、NHK・BS1で先月30日に亡くなった往年の金メダリスト・チェコのベラ・チャスラフスカのドキュメンタリー番組「チャフラフスカ もう一つの肖像~知られざる激動の人生」の再放送がありました。
1964年の東京オリンピックと1968年のメキシコオリンピックの女子体操の個人総合での金メダリスト。
メキシコオリンピックの年、1968年のチェコスロバキアの民主化運動(「プラハの春」)の支持を表明して「二千語宣言」に署名。しかし彼女は「二千語宣言」への署名撤回を拒否。オリンピックの金メダリストですが「二千語宣言」への署名撤回を拒否し続けたため、迫害を受け、たいへん苦しい立場、苦しい時代が続きました。
昨年の撮影当時、チャスラフスカは73歳。その容貌から、私がテレビで見たメキシコオリンピックの時の面影は残念ながら見ることは出来なかった。
アップで映る顔のしわの一つ一つは「二千語宣言」への署名撤回を拒否し続けたため、そのための圧力や迫害との戦いと苦悩、そして病魔との戦いの苦闘の跡といえるでしょう。
しかし、そのしわだらけの顔からの眼差しは昔と同じで、私自身、何か安堵するものがありました。
さて、この番組でバックによく流れていたのがスメタナ作曲の交響詩「モルダウ」でした。
チェコの人々にとって「モルダウ」は特別な作品。
交響詩「モルダウ」はスメタナぼ連作交響詩「我が祖国」の第2曲。
6曲というのは順に

第1曲「高い城」 
第2曲「モルダウ」 
第3曲「シャールカ」 
第4曲「ボヘミアの森と草原より」 
第5曲「ターボル」 
第6曲「ブラニーク」

全曲に貫かれているのは作曲者の祖国への、そしてボヘミアの美しい自然への愛情でしょう。民族の共感あふれた作品。
「モルダウ」は全6曲の中で一番有名で、よく演奏される作品ですが、私は第1曲「高い城」と第4曲「ボヘミアの森と草原より」も好きです。
私は始めて全6曲を通して聴いた時、第1曲の「高い城」の冒頭のハープの独奏を聴いて、何か別の世界に連れていかれるような気持ちになった記憶があります。
そして第4曲の「ボヘミアの森と草原より」は正にボヘミアの自然讃歌そのもと言っていいでしょう。
そんな作品だけに、私は必ずしもお国ものというものにこだわる方ではないですが、どうしてもチェコフィルによる演奏になってしまいます。
ただ今回、紹介する録音はチェコフィルの演奏ではなく日本のオーケストラの演奏。
1968年9月12日、東京でのマタチッチ指揮NHK交響楽団による演奏会のライブ録音。
この演奏会の直前、8月20日、ソ連率いるワルシャワ条約機構軍が「プラハの春」の民主化運動を押さえるため、チェコ国境を突破し侵攻して軍事介入したチェコ事件が起き、チェコフィルとの関係が深かったマタチッチは、この事件への抗議と怒りの意志を伝えるため、そしてチェコの芸術に対する愛情を表すため当初のプログラムを変更して「わが祖国」を演奏したと伝えられています。
N響の演奏も現在と比べて上手ではありませんがマタチッチの指揮に乗せられて熱い演奏を聴かせてくれます。
激動の1968年。その時の、まさに時代の証言と言うべき演奏の記録として伝えられていくべき録音でしょう。




にほんブログ村

にほんブログ村

にほんブログ村



最新の画像もっと見る

コメントを投稿