最近、NHKのハイビジョン放送では、この数年間のハイビジョン特集を、BSベスト・オブ・ベストとしてアンコール放送していますが、この中で興味深く、録画を見た番組が、2007年に放送された「強く、強く~バイオリニスト神尾真由子 21歳~」である。この番組は3年前、神尾さんがチャイコフスキーコンクールに優勝して直後、NHK交響楽団との四国ツアーを密着取材した番組です。このツアーは私の街にもやって来ましたが、チケットが発売と同時に売り切れになり、私はコンサートに行けなかったという悔しい思い出があるので、その悔しさからか、この番組を見ませんでした。そして、やっと今回、この番組を見る事が出来たしだい。
圧巻だったのはツアーの最終公演の大阪でのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲・第1楽章。曲の歌わせ方、そして、そこから生れてくる熱気。本当に将来が楽しみなバイオリニストである。
さて放送では第1楽章のみだったので、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の全曲を聴きたいと思い、手に取ったCDはハイフェッツの録音である。(残念ながら今年、発売された神尾さんのチャイコフスキーのCDは、まだ購入していません)
チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
ヤシャ・ハイフェッツ(ヴァイオリン)フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団(1957年録音) 国内盤 BMG RVCC-37176
私のお気に入りのCDである。一緒に収録されているブラームスのヴァイオリン協奏曲の演奏も大好きである。ハイフェッツの日本での評価は、どうなのだろうか?アメリカを拠点にしていたので、オイストラフやシゲティといったヨーロッパを拠点にしていた演奏家に比べて低く見られているのでは?と思う事がある。数年前まで、私もそうだった。しかしCD化された演奏を聴いてみて、これは凄い!古今東西のバイオリニストの中で最高の存在と思うようになったのは、この数年である。その、きっかけになったのが、このCDである。
ある雑誌でバイオリニストの天満敦子さんが、ハイフェッツの演奏には「色気がある」と述べられていました。演奏が速いと言われている演奏の為、本当に演奏の中に隠されたニュアンス、迫力に気が付きにくいのかもしれない。(ただ、私はあまり速いとは感じていませんが・・・)天満さんは、それを「色気」と表現したのかもしれません。ハイフェッツは単に技術だけの人ではない。その速く聴こえると言われている演奏の中に、どのくらい物凄いものが隠れているか、それを捜すため、これからもハイフェッツの録音を聴き込んでいきたいと思っています。
(余談)
昨日、ベームがバイロイト音楽祭で指揮した「ニュールンベルクのマイスタージンガー」のライブ録音のCDが届く。このところ間が悪く、連日、CDや本が届いている状態で、とうとう財務大臣閣下のお怒りが頂点となり、来年、春までCDの購入禁止にされてしまった。経済封鎖である。娘も大臣閣下に同調したため、反論の余地が無かった!暖かくなるまで、しばらく手持ちのCDをじっくりと聴くことにしましょう。
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