①マリア・カラス 「清らかな女神」を歌う(10種のライブ&スタジオ録音)
②ベルリーニ 歌劇「ノルマ」第1幕(全曲盤)から「清らかな女神」 マリア・カラス(ソプラノ)トゥリオ・セラフィン指揮、ミラノ・スカラ座管弦楽団、合唱団(1961年録音 EMI盤)
当ブログ休止中に、私にとって、とんでもない事が起きてしまった。私のオーディオ装置のアンプが御臨終になったののである。最近、ノイズが気になっていたのですが、突然、大きなザワザワノイズを発し、そして音が出なくなってしまった。CDを聴くことが人生の私にとって、とんでもないことなのである。
本当なら直ぐに買い換えですが、私の街には、オーディオ専門店が昔はあったのですが今はなく、あっちこっちにある家電量販店にはお手軽なオーディオセットはあるが、アンプだけは売り場に並んでいないのである。私の場合、YAMAHAのNS-1000のスピーカーセットが基準になるので、なお難しくしている。もう一か月早かったらフレンズ・オン・アイスを見に東京まで行っていたので、その時、秋葉原へ行ったのにと思ったが後の祭りである。しかたがないのでネットで捜して、やっとこさアンプを入れ替えることが出来ました。
今はやれやれの心境である。
さてオペラ大好きの私にとって、たいへん興味深い2枚組のCDが届きました。『マリア・カラス 「清らかな女神」を歌う』と題されたCD.
マリア・カラスが歌ったベッリーニ 歌劇「ノルマ」から第1幕ノルマが登場して歌う、このオペラの一番の聴き所である「清らかな女神」を集めたCDで、1948年から1958年までの1961年のミラノ・スカラ座でのスタジオ録音(EMI盤)を除く10種類の録音が収録されている。
不世出のオペラ歌手マリア・カラスと言えば誰も「トスカ」を思い浮かぶ方が多いと思いますが、私は「ノルマ」である。ベルカント・オペラの大傑作と言われているこのオペラ。巫女の長ノルマの貴高さ、心の葛藤がマリア・カラスの歌から伝わって来て、「清らかな女神よ」を聴くだけで、マリア・カラスが他のオペラ歌手と同列に評せない、かけ離れた大きな存在であることが実感できたCDでした。
参考まで収録されている録音
1.フランチェスコ・モリナーリ・プラデッリ指揮、RAIトリノ交響楽団(1949年3月7日、トリノ)
2. トゥリオ・セラフィン指揮、コロン劇場管弦楽団(1949年7月9日、ブエノスアイレス)
3. グイード・ピッコ指揮、ベジャス・アルテス宮管弦楽団(1950年5月、メキシコシティ)
4. ヴィットリオ・グイ指揮、コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団(1952年11月18日、コヴェント・ガーデン王立歌劇場)
5. アントニーノ・ヴォットー指揮、トリエステ・ジュゼッペ・ヴェルディ劇場管弦楽団(1953年11月19日、トリエステ)
6. トゥリオ・セラフィン指揮、ミラノ・スカラ座管弦楽団(1954年4-5月、ミラノ)
7. トゥリオ・セラフィン指揮、RAIローマ管弦楽団(1955年6月29日、ローマ)
8. アントニーノ・ヴォットー指揮、ミラノ・スカラ座管弦楽団(1955年12月7日、ミラノ)
9. ガブリエーレ・サンティーニ指揮、ローマ歌劇場管弦楽団(1958年1月2日、ローマ)
10. ジョルジュ・セバスチャン指揮、パリ・オペラ座管弦楽団(1958年12月19日、パリ)
聴き辛い録音もありますが、1940年代から50年代前半は、カラスの声の艶がやはり際立っている。最初の1949年のトリノでの録音での声の美しさ!そして50年代後半になると表現力、一言、一言の持つ意味の深さを実感させられるものがあります。
9.のローマでのライブ録音は当時のイタリア大統領など各界の名士を集めた公演で、喉の不調を訴えていたカラスが第1幕のみ歌って退場して大スキャンダルになった有名な公演のもの。凡人の私には、どこが悪いのかよく分かりませんが、大歌手しか分からない何かがあるのでしょう。繰り返して聴いてみたい。
10.はマリア・カラスが晩年を過ごしたパリでのデビューのガラコンサートのライブ録音。私はこの時の映像を収めたDVDを持っていますが、この時と同じ録音。
10種の録音の中で私が一番好きなのは8.の1955年ミラノ・スカラ座でのライブ録音。正に絶頂期のマリア・カラスを聴くことが出来ます。
私が、いろいろ持っているオペラ全曲録音の中で最上級のものは、やはり歌劇「ノルマ」の1961年のトゥリオ・セラフィン指揮ミラノ・スカラ座でのスタジオ録音(EMI盤)です。この録音がノルマを得意としたマリア・カラスの到達点だと、今回の10種の「清らかな女神」を聴いて深く思うものがありました。
さて、ここから余談ですが、私の大好きな映画に1995年制作のクリント・イーストウッド監督・主演の「マディソン郡の橋」という作品があります。
この映画の中でメリル・ストリーブ(私の大好きな女優さん)扮する平凡な小農場の主婦が自宅でいる時、ラジオから流れてくる音楽がマリア・カラスの歌っている「清らかな女神」でした。初めて、この映画を見た時、「清らかな女神」が流れてきた瞬間、何かハッとするものがありました。
プッチーニの聴きやすい甘いメロディよりベルリーニの音楽。監督のクリント・イーストウッドの音楽センスに唸った記憶があります。
私に、もう少し時間的余裕があれば、オペラ、そしてマリア・カラスを語りたいのですが、また機会があれば・・・。