私が毎月購読している音楽雑誌「レコード芸術」の9月号で毎月連載されている「現代名盤鑑定団」で私が一番好きなオペラと言ってもいいプッチーニの歌劇「トゥーランドット」が取り上げられた。この連載は著名な音楽評論家3人が名盤選びをするのだが1番手に絶賛されたのがカラヤン指揮ウィーンフィルとの1981年の録音だった。(グラモフォン)
確かにカラヤンがウィーンフィルから紡ぎだす音楽の美しさは確かに認めますが、ちょっと待てよというのが実感である。
歌劇「トゥーランドット」の魅力は何か?氷の心を持った姫君トゥーランドットと奴隷の娘リューの対極的な面白さ。このオペラはトゥーランドットから見るとハッピーエンド。リューの立場から見ると悲劇。この2つの対極が3人の大臣をからませてプッチーニーの素晴らしい音楽にのって、突き進んでいく凄いオペラだと思っています。
私がこのオペラで1番好きなシーンは第3幕、有名な「誰も寝てはならぬ」のあと、王子の名前を聞きだすため拷問にかけられたリューにトゥーランドットが問いかける場面。それまで大きく鳴っていたオーケストラも静かになります。
姫君「誰がそのような強い力をお前の心に与えたのか?」
リュー「姫君様、それは愛でございます。」
姫君「愛とは?」
リュー「口に出さず、胸に秘めたこのような恋は様々な責苦さえも、快く感じられるほど強いのでございます。(中略)
私に責苦をお与えください!ああ!私の恋のこの上もない贈物!」
ここで一気に緊張感が最高潮になり、リューのアリア「氷の心を持った姫君も」そしてリューの死の場面になだれ込みます。私にとっては、このオペラの最高の聴き所です。ただカラヤン盤のトゥーランドット役のリッチャレッリ、リュー役のヘンドリックスでは線が細くてさっぱり面白くない。この場面で一番好きな録音はカラスのトゥーランドット、シュヴァルツコップのリューによるセラフィン指揮の1957年の録音である。(EMI)
連載では大変評価が低いようでしたが録音当時のイタリアオペラ界とドイツオペラ界を代表するプリマの共演はミーハーで素人オペラファンの私にとっては大切な録音である。まさに氷のようなトゥーランドットそのものと言っていいカラスの問いを、はね返すシュヴァルツコップのリュー。レコード会社の専属制の厳しかったこの時代、EMIの専属でカラスに対抗出来るリュー役の歌手が他にいたのでしょうか?評論家の大先生方にはどうでもよい事なのでしょう。もし今の時代だったらカラスのトゥーランドット、テバルディのリューで録音可能だったかもしれない。当時デッカはカラフ(デル・モナコ)とリュー(テバルディ)を歌える歌手はいたがトゥーランドットを歌える歌手がいなかったのでドイツから引っ張ってきた。なおセラフィン盤はカラフ役のテノールがもう1つでありモノラル録音なのが本当に残念である。評論家の大先生方も、その事を強調している。
最後に私がよく聴く歌劇「トゥーランドット」の全曲盤
①サザーランドのトゥーランドット、パヴァロッティのカラフ、カバリエのリュー
メータ指揮ロンドンフィルハーモニー管弦楽団(1972年録音 デッカ )
*なお「レコード芸術」の一覧表にはオケがロスアンジェルスフィルと記載されていますが間違い。
②ニルソンのトゥーランドット、ビョルリンクのカラフ、テバルディのリュー
ラインスドルフ指揮ローマ歌劇場管弦楽団(1959年録音 RCA)
番外、ニルソンのトゥーランドット、コレルリのカラフ、フレーニのリュー
メータ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団(1966年メトロポリタン歌劇場でのライブ録音)
条件の悪い輸入盤でのライブ録音ですがニルソンとコレルリがライブならではの熱気ムンムンの凄まじい歌を聴かせてくれます。このコンビの録音は1965年のモリナーリ・ブラデッリ指揮のEMI盤が本命だと思いますが、このライブ録音を聴くと吹っ飛びます。ニルソンとフレーニの顔あわせも聴き物です。
確かにカラヤンがウィーンフィルから紡ぎだす音楽の美しさは確かに認めますが、ちょっと待てよというのが実感である。
歌劇「トゥーランドット」の魅力は何か?氷の心を持った姫君トゥーランドットと奴隷の娘リューの対極的な面白さ。このオペラはトゥーランドットから見るとハッピーエンド。リューの立場から見ると悲劇。この2つの対極が3人の大臣をからませてプッチーニーの素晴らしい音楽にのって、突き進んでいく凄いオペラだと思っています。
私がこのオペラで1番好きなシーンは第3幕、有名な「誰も寝てはならぬ」のあと、王子の名前を聞きだすため拷問にかけられたリューにトゥーランドットが問いかける場面。それまで大きく鳴っていたオーケストラも静かになります。
姫君「誰がそのような強い力をお前の心に与えたのか?」
リュー「姫君様、それは愛でございます。」
姫君「愛とは?」
リュー「口に出さず、胸に秘めたこのような恋は様々な責苦さえも、快く感じられるほど強いのでございます。(中略)
私に責苦をお与えください!ああ!私の恋のこの上もない贈物!」
ここで一気に緊張感が最高潮になり、リューのアリア「氷の心を持った姫君も」そしてリューの死の場面になだれ込みます。私にとっては、このオペラの最高の聴き所です。ただカラヤン盤のトゥーランドット役のリッチャレッリ、リュー役のヘンドリックスでは線が細くてさっぱり面白くない。この場面で一番好きな録音はカラスのトゥーランドット、シュヴァルツコップのリューによるセラフィン指揮の1957年の録音である。(EMI)
連載では大変評価が低いようでしたが録音当時のイタリアオペラ界とドイツオペラ界を代表するプリマの共演はミーハーで素人オペラファンの私にとっては大切な録音である。まさに氷のようなトゥーランドットそのものと言っていいカラスの問いを、はね返すシュヴァルツコップのリュー。レコード会社の専属制の厳しかったこの時代、EMIの専属でカラスに対抗出来るリュー役の歌手が他にいたのでしょうか?評論家の大先生方にはどうでもよい事なのでしょう。もし今の時代だったらカラスのトゥーランドット、テバルディのリューで録音可能だったかもしれない。当時デッカはカラフ(デル・モナコ)とリュー(テバルディ)を歌える歌手はいたがトゥーランドットを歌える歌手がいなかったのでドイツから引っ張ってきた。なおセラフィン盤はカラフ役のテノールがもう1つでありモノラル録音なのが本当に残念である。評論家の大先生方も、その事を強調している。
最後に私がよく聴く歌劇「トゥーランドット」の全曲盤
①サザーランドのトゥーランドット、パヴァロッティのカラフ、カバリエのリュー
メータ指揮ロンドンフィルハーモニー管弦楽団(1972年録音 デッカ )
*なお「レコード芸術」の一覧表にはオケがロスアンジェルスフィルと記載されていますが間違い。
②ニルソンのトゥーランドット、ビョルリンクのカラフ、テバルディのリュー
ラインスドルフ指揮ローマ歌劇場管弦楽団(1959年録音 RCA)
番外、ニルソンのトゥーランドット、コレルリのカラフ、フレーニのリュー
メータ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団(1966年メトロポリタン歌劇場でのライブ録音)
条件の悪い輸入盤でのライブ録音ですがニルソンとコレルリがライブならではの熱気ムンムンの凄まじい歌を聴かせてくれます。このコンビの録音は1965年のモリナーリ・ブラデッリ指揮のEMI盤が本命だと思いますが、このライブ録音を聴くと吹っ飛びます。ニルソンとフレーニの顔あわせも聴き物です。