昨晩、NHKハイビジョンで放送された、世界のディーヴァ、男と女の物語「マリア・カラス 歌に生き愛に生き」の録画を見る。
番組が進めば進むほど、放送された内容はすでに私自身、本などで読んで知っている事ばかりであるが、本当に悲しくなってきた、辛くなってきた。カラスが亡くなったのは私が大学生の時。パリで誰に見取られること無く一人寂しく亡くなっていたとの事。あれだけ華やかな時代があっただけに、胸がしめつけられる思いである。
マリア・カラスは本当に偉大なオペラ歌手。私にとって神様みたいな人である。カラスの声が衰えてきた頃の悲しさ。そして、その頃彼女の前に現れたオナシスの存在。どうも多くの人たちはそちらに興味があるようである。番組では彼女の芸術の素晴らしさ、戦後のオペラ界での業績などには全く触れられていない。男と女の愛の物語というテーマだからしかたいのかもしれませんが・・・ぜひ一度カラスの芸術面から見たドキュメンタリーを作ってほしいものである。
番組で一番、私が印象に残ったのはミラノ・スカラ座で開かれた開催されたカラスのオペラでの衣装展の映像。衣装からカラスの息ずかいが聴こえてくるようで、もっと見たかった!これだけて特集を組んでほしかった。
番組の最後に晩年の東京でのリサイタルの映像が流れた。懐かしい。この時、私は高校生であった。この時の放送を見て大変衝撃受け、この時から現在まで続くオペラへの旅が始まりました。オペラというものが決してきれいごとではない奥の深いものであるという事をカラスから教えてもらったと言っても過言ではありません。そして、これからも永遠に!
私が一番無念な事はカラスの生のステージに接することが出来なかったことである。私が大学進学で東京へ行くのは、彼女の来日から2年後だっただけに本当に残念である。声楽的には当時、問題点だらけだったかもしれませんが一度でいいからカラスを目の前で見たかった、空気を共有したかったものである。
最後に私のカラスの録音で一番のお気に入りのものを一枚。
ヴェルディ オペラアリア集「マクベス」「ナブッコ」「エルナーニ」「ドン・カルロ」より (「ヴェルディのヒロインを歌う」というタイトルが付いている場合もあります)
アリア集ですが「ノルマ」などの全曲盤に匹敵する傑作だと思います。これを聴かずしてカラスを語ること無かれといっていいでしょう。たったアリアだけで全曲を聴いたような満足感、緊張感を得ることが出来ます。どうしても彼女は「トスカ」のイメージが強いようですが、この録音で彼女の本当の姿、カラスの残した録音の中で本当は何から聴いていくべきか見えてくると思います。
カラスのオペラアリア集は多数発売され、またレコード会社が編集しまくっているので、訳のわからない状態ですがオリジナルの形の上記の組み合わせのCDは要注意である。
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最後の最後に私が今まで聴いた録音の中で最高の「トゥーランドット」であることを付け加えておきます。