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オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

「ラ・ボエーム」「さまよえるオランダ人」

2008年07月24日 16時51分39秒 | オペラ
FOIの関係でオペラを忘れているように見られてもしかたありませんが、財務大臣の目を盗んでオペラのCDやDVDを静に購入して楽しんでいます。
今日は一気に2組のオペラ全曲CDを聴きました。

最初は私の大好きなネトレプコがミミを歌ったプッチーニの「ラ・ボエーム」
ネトレプコのミミに大いに満足する。第3幕のミミの「さようなら」は本当にきれいな声。ミミといえばミレッラ・フレーニであるが聴いている時はフレーニを忘れる事が出来た。しかし、やはり私にとって最高のミミはフレーニ。難しいものである。次はぜひ映像でネトレプコのミミを見てみたいものである。
ビリャンソンのロドルフォは一本調子でがっかり。
フレーニとパヴァロッティのコンビのカラヤン盤を超える録音はなかなか出ないようである。

2組目はワーグナーの「さまよえるオランダ人」
テオ・アダムのオランダ人、アニア・シリアのゼンタ、マルティ・タルヴェラのダーラント、ジェームス・キングのエリック。
オットー・クレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団、BBC合唱団。
1968年3月ロンドンでのライブ録音(輸入盤 TESTAMENT  SBT2・1423)
またクレンペラーのお宝録音がステレオ録音で登場した。クレンペラーは、この1ヶ月前にEMIでスタジオ録音をしているが、まさかライブ録音があったとは思いもよらなかった。主用キャストはエリック以外は同じである。スタジオ録音は私はレコードで持っているが、あまり演奏の記憶が無い。
今回の録音ではその当時バイロイト音楽祭で活躍していたアダムのオランダ人とシリアのゼンタが、やはり素晴らしい。第二幕後半のオランダ人とゼンタの2重唱は最高の聴き所といってよいでしょう。
そしてクレンペラーの指揮する、どっしりしたオケのサウンド。巨匠ならではである。ただ残念なのはコーラスがやはり弱い点。どうしてもベームがバイロイトで指揮したライブ録音の印象が強烈である。
なお、この録音の演奏は一幕版ではなく1848年版とのことで序曲や終幕の最後の救済のモチーフは無く重々しく終わっているのが変わっている。
クレンペラーのお宝録音、次は何が登場するのか興味深々である。



R・シュトラウスとライナーそしてベーム

2008年06月27日 11時50分35秒 | オペラ
R・シュトラウスは交響詩「英雄の生涯」などオーケストラ作品の作曲家として印象の強い方が多いと思いますが、私にとってオペラと歌曲の人である。一番好きなオペラは「アラベラ」そして次が「エレクトラ」かな?
私がよくお邪魔しているeyes_1975さんのブログでも、この前「カプリッチョ」から「月の光の音楽」が取り上げられていましたが、ワーグナーのようにシュトラウスのオペラの聴き所を1枚のCDに収めたものが少ないのが本当に残念ですが、その中で私のお気に入りのCDを1枚、紹介します。
ミュージック・トリビアの世界


歌劇「エレクトラ」より3つの場面、①エレクトラのモノローグ「ひとりだ!たったひとりだ!」②エレクトラとオレストの再会の場面③フィナーレ
楽劇「サロメ」より①7枚のヴェールの踊り②フィナーレ「ああ!私に接吻させてくれなかったわね」
歌劇「ばらの騎士」よりワルツ

インゲ・ボルク(ソプラノ):エレクトラ、サロメ
フランシス・イーンド(ソプラノ):クリソテミス
パウル・シェフラー(バリトン):オレスト
フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団(1954年~1957年録音)
詳しくはこちら

私の所持しているCDには「ばらの騎士」のワルツが収録されていますが最近、再発売された物には無いようである。
ライナーとシカゴ響のコンビの絶頂期の録音。特に「エレクトラ」はゾッとするくらい凄みのある演奏。ボルクの歌もまさに体当たり的!当時のシカゴ響の物凄さ!これが全曲録音でないのが、非常に残念である。解説書を読むと、この録音の直前、演奏会形式で上演しライナーも全曲録音を望んだが受け入れられなかったとの事である。演奏会の熱気をそのまま録音に持ち込んだ感があります。
ライナーはシカゴ響とのコンビでコンサート指揮者のイメージが強いですがドレスデンで「影のない女」のドイツ初演やメトロポリタン歌劇場でも多くのオペラを上演しています。ライナーの指揮するワーグナーやシュトラウスのオペラ全曲の正規の録音がないのが残念で、もしあったら、この指揮者の評価はまた違っていたと思われます。

「エレクトラ」と「サロメ」は大編成のオケの作品。「ばらの騎士」を聴き慣れている耳には大変大胆な作品。しかし、台詞を大切にした、まぎれもないオペラである。
カール・ベームが死の直前に録音していたのが「エレクトラ」の全曲である。(ゲッツ・フリードリヒ演出による映像として発売されている)
この名指揮者が自分の生涯を終える間際に、なぜ「エレクトラ」を選んだか?大編成のオケの前にして、どんな思いでこの作品を指揮していたか?「エレクトラ」を聴くたびに思いを馳せます。またベームが戦後ウィーン国立歌劇場が再建され総監督になったシーズンのオープニングの時の指揮者にはライナーの名前があります。またベームのアメリカデビューはライナー時代のシカゴ響への客演である。二人のツーショット写真は見た事はありませんが何とも言えない因縁を感じさせます。

            


男と女の物語「マリア・カラス 歌に生き愛に生き」

2008年06月24日 12時00分36秒 | オペラ
昨晩、NHKハイビジョンで放送された、世界のディーヴァ、男と女の物語「マリア・カラス 歌に生き愛に生き」の録画を見る。
番組が進めば進むほど、放送された内容はすでに私自身、本などで読んで知っている事ばかりであるが、本当に悲しくなってきた、辛くなってきた。カラスが亡くなったのは私が大学生の時。パリで誰に見取られること無く一人寂しく亡くなっていたとの事。あれだけ華やかな時代があっただけに、胸がしめつけられる思いである。
マリア・カラスは本当に偉大なオペラ歌手。私にとって神様みたいな人である。カラスの声が衰えてきた頃の悲しさ。そして、その頃彼女の前に現れたオナシスの存在。どうも多くの人たちはそちらに興味があるようである。番組では彼女の芸術の素晴らしさ、戦後のオペラ界での業績などには全く触れられていない。男と女の愛の物語というテーマだからしかたいのかもしれませんが・・・ぜひ一度カラスの芸術面から見たドキュメンタリーを作ってほしいものである。
番組で一番、私が印象に残ったのはミラノ・スカラ座で開かれた開催されたカラスのオペラでの衣装展の映像。衣装からカラスの息ずかいが聴こえてくるようで、もっと見たかった!これだけて特集を組んでほしかった。
番組の最後に晩年の東京でのリサイタルの映像が流れた。懐かしい。この時、私は高校生であった。この時の放送を見て大変衝撃受け、この時から現在まで続くオペラへの旅が始まりました。オペラというものが決してきれいごとではない奥の深いものであるという事をカラスから教えてもらったと言っても過言ではありません。そして、これからも永遠に!
私が一番無念な事はカラスの生のステージに接することが出来なかったことである。私が大学進学で東京へ行くのは、彼女の来日から2年後だっただけに本当に残念である。声楽的には当時、問題点だらけだったかもしれませんが一度でいいからカラスを目の前で見たかった、空気を共有したかったものである。

最後に私のカラスの録音で一番のお気に入りのものを一枚。
ヴェルディ オペラアリア集「マクベス」「ナブッコ」「エルナーニ」「ドン・カルロ」より (「ヴェルディのヒロインを歌う」というタイトルが付いている場合もあります)

アリア集ですが「ノルマ」などの全曲盤に匹敵する傑作だと思います。これを聴かずしてカラスを語ること無かれといっていいでしょう。たったアリアだけで全曲を聴いたような満足感、緊張感を得ることが出来ます。どうしても彼女は「トスカ」のイメージが強いようですが、この録音で彼女の本当の姿、カラスの残した録音の中で本当は何から聴いていくべきか見えてくると思います。
カラスのオペラアリア集は多数発売され、またレコード会社が編集しまくっているので、訳のわからない状態ですがオリジナルの形の上記の組み合わせのCDは要注意である。
詳しくはこちら

最後の最後に私が今まで聴いた録音の中で最高の「トゥーランドット」であることを付け加えておきます。

歌劇「オベルト」

2008年06月17日 10時13分36秒 | オペラ
この前の土曜はNHKハイビジョンでワーグナーの楽劇「ワルキューレ」そして翌日はNHK、BS2でヴェルディの第1作の歌劇「オベルト」の放送がありたいへん忙しかった!

ヴェルディの歌劇「オベルト」の上演は大変珍しい。オペラの好きな私にとってヴェルディのオペラの全作品のCDを揃えるのが目標であるが、あともう少しのところであるが揃っていない。なんと言っても第1作の「オベルト」が無い!早く「オベルト」から最後の「ファルスタッフ」まで初演順に並べてみたいものである。昔、ガルデルリが指揮したヴェルディの初期オペラシリーズにも含まれいたはずであるが、一向にCDが発売されないのは残念としか言い様がない。

今回の「オベルト」の放送で初めて序曲以外初めて耳にする事が出来ました。上演自体手探りと言うような感じ、おとなしい演奏でヴェルディの初期の作品に共通する「ほとばしる情熱とエネルギー」をあまり感じることが出来なかった。かえってスタジオ録音のCDで音楽のみで聴いた方がいいのかもしれない。しかし、紛れも無いヴェルディの作品、早くガルデルリの録音のCDの発売が待たれるところである。おそらく大きく印象が変わるでしょう。

「オベルト」は1839年の初演。そして初期の傑作の第3作目「ナブッコ」の初演は1842年。第2作目の「一日だけの王様」をはさんでたった3年しかあいていない。この3年間でヴェルディは一気に自分自身の様式を確立させたことになる。これは大変興味深い事であり、ヴェルディの物凄さである。今回の放送の録画はヴェルディの大切な作品なのできちんとDVDにダビングして聴きなおしていくつもりである。そして、この3年間の意味の深さ、大きさをよく考えてみたいと思っています。

ベルリーニ 歌劇「夢遊病の女」

2008年06月13日 12時02分44秒 | オペラ
ベルリーニ 歌劇「夢遊病の女」(全曲)
マリア・カラス(アミーナ)
アントニーノ・ヴォットー指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団
(輸入盤)TESTAMENNT SBT1417

1957年8月イギリス・エジンバラ音楽祭でのミラノ・スカラ座公演のライブ録音

あまりわが国では、なじみの無いオペラなので簡単にあらすじを紹介します。
19世紀初めスイスの山村。水車小屋の娘アミーナと村の青年エルビーノの婚礼の日、村の領主ロドルフォ伯爵が村にやって来て夢遊病のアミーナが誤って伯爵の部屋に入った為、アミーナの純潔が疑われ、婚約も破棄されてしまう。やがて人々がアミーナが水車小屋の朽ちた橋を渡って来るのをみてアミーナの夢遊病の為の出来事であり、そして純潔が証明され最後はハッピーエンドとなる。

このオペラはベルカントオペラの傑作として19世紀多くの名歌手によって歌われてきましたが、やがて忘れられた状態になりましたが戦後、この作品の真価をわからしめさせたのは1955年スカラ座(バーンスタイン指揮、ヴィスコンティ演出)でのマリア・カラスの公演である。

久しぶりにカラスの素晴らしいお宝録音のCDが登場した。カラスのこのオペラの全曲録音では1955年のスタジオ録音が有名ですが今回は2年後のスカラ座のイギリス公演のライブ録音である。録音状態も当時のライブ録音としては最高だと思います。
まさにカラスの絶頂期の時の録音である。1955年といえば4月スカラ座での伝説的なドニゼッティの歌劇「アンナ・ボレーナ」の公演(録音状態は万全ではありませんが凄いライブ録音が残っています)と重なるものがあります。
第1幕が始まりしばらくすると大きな拍手が起きる。ここでカラスがステージに登場した事がわかる。しかし、このオペラのハイライトはやはりベルリーニ特有の哀愁の帯びた旋律そして一転して華麗なカバレッタの第二幕のアミーナの夢遊の場そしてフィナーレ「おお、花よ、こんなに早くしぼむとは~思いもよらぬ喜び」である。この場面の録音では最近デビュー直後のミレッラ・フレーニの録音のCDが手に入りみずみずしい声で大いに楽しんだばかりのですが、カラスの声は次元が違う。まるで別の世界のようである。スタジオ録音にはないライブならではのスリリングさもあり聴いていて釘付けにされる。まさにカラスの最高の声を聴く事が出来ます。
カラスといえば「トスカ」や「カルメン」のイメージが強いようですが私はベルリーニのオペラ(「ノルマ」「清教徒」「夢遊病の女」)が本当に他の追随を許さない最高のレパートリーだと思います。カラスの歌うベルリーニのオペラを聴かずしてカラスは語れないと言い切ってもいいでしょう。
今回発売されたライブ録音はまた一つ大きな財産が増えたような気持ちです。今後も大切に聴き込んで行くつもりです。

「グレート・スリー・テナーズ・ガラコンサート」

2008年05月20日 10時21分59秒 | オペラ
昨日、NHKハイビジョンで一昨年サントリーホールであった「グレート・スリー・テナーズ・ガラコンサート」の放送がありました。ほとんどの方は三人のテノールと言うと、どうしても、あの「三大テノール」を思い浮かべると思われますが、今回のコンサートは「三大テノール」ではありません。ヴィンチェンコ・ラ・スコラ、ニール・シコフ、ジュゼッペ・サヴァティーニと言う知る人は知る現在、欧米の一流歌劇場のステージに立っているバリバリの現役テノール・オペラ歌手三人の登場です。実はコンサートの直後NHK教育放送で一度放送があり何も気に留めないで観たら、たいへんよかったのですが、残念ながら録画していなかったので今回の再放送は嬉しくてたまりませんでした。
私自身「三大テノール」のコンサートを本当に面白いと思ったのは1回目の1990年のローマでのコンサートのみでそのあとは予定通りのルーティンな印象で興味は全く薄れてしまいました。今回の「グレート・スリー・テナーズ」のコンサートは、それは忘れさせてくれる好企画だったと思います。
何が魅力だったかと考えてみるとやはり1番の魅力は何と言っても、声、声、声、そしてあふれる「歌心」だったと思います。「三大テノール」のように単に有名な3人が並んで歌っているだけという次元とは違っている。テノールの持つ声の魅力、デリケートな部分そして独特な節回しを今回の再放送でも堪能する事が出来ました。なお誤解をまねいては困るのですが私自身は「三大テノール」の一人一人は大好きです。
シコフは相変わらず最初からエンジン全開。伸びのある高音には魅了させられました。ラ・スコラはこの3人の中で一番甘い声。やはりプッチーニのアリアが良かった。そして私が一番好きなサヴァティーニ。前半のオペラアリアでは精彩を欠いていましたが後半のウエストサイド物語からの「マリア」では目が覚めるような素晴らしさ。本当にピンと糸がはったような綺麗な声。CDでの録音がほとんど無いのが素晴らしいテノールだけに本当に残念である。
プログラムの最後の3人でのナポリ民謡メドレー。単なる美声の垂れ流しでは無い歌の世界。特に、この中で私の大好きなトスティ作曲の「かわいい口もと」が歌われたのは本当に嬉しかった。本当に心の底からジーンとしてきました。そしてラストの「オー・ソレ・ミオ」でも三大テノールの時のように単に声を張り上げるではなく、この曲の持つメロディの美しさを味合わせてくれました。

しかし私が一番印象にに残ったのは、やはりラ・スコラの歌う歌劇「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」でした。
「・・・夜よ去れ!星よ沈め!夜が明けると私は勝つのだ!・・・」
ここの部分になると今でも、どうしてもリアルタイムに過ごしたあの日の事を思い出してしまいます。忘れることが出来ない大切な私の心の1ページになってしまいました。
最後はどうしてもトリノでの荒川静香さんになってしまいました。

ザルツブルク音楽祭の「ドン・ジョヴァンニ」

2008年04月15日 10時37分25秒 | オペラ
この前の日曜日の深夜、NHK衛星第2で2007年、ザルツブルク音楽祭でのモーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」の公演が全曲放送され録画を見ました。
最近オペラ演出の流れになっている時代の「読み替え」による演出である。写真では見た事がありましたが映像で観るのは初めてである。時代を現代のファッション界に設定されている。このような演出を好む方にとっては大喜びかもしれませんが、私自身は保守的?なのか違和感を覚え、最後まで観るのが辛かった。(私自身、必ずしも時代設定を変える演出を否定する者ではありません。誤解のないように!)こんな演出をほめる人がいるという事は私はよほど遅れている人間なのでしょう。しかし下着姿の女性が多数登場しても何も美しいとは感じる事ができなかった。音楽とマッチしているとは、とても思えなかった。
そんな中で私を救ったのはモーツァルトの音楽の素晴らしさである。現在のオペラ演出は音楽に絶えず寄り添うか、音楽と直接対決を避け演出家が好き勝手にやるか、どちらかなのでしょう。今回観た演出はどうしても私自身後者のように感じます。
第2幕のフィナーレの六重唱は何度聴いても素晴らしい。やっぱりモーツァルトの勝ち!それまでのモヤモヤを全て消し去ってくれた。音楽をじっくり聴かせて欲しい。それにマッチした演出で見たい。しかし、さすがザルツブルク音楽祭!ハーディング指揮のウィーンフィルもいい演奏していた。

最後に保守的な?私がよく観る歌劇「ドン・ジョヴァンニ」のDVD。
輸入盤ですが1987年ミラノ・スカラ座の公演のライブ映像。
リッカルド・ムーティの指揮、ジョルジョ・ストレーレルの演出。
歌手もグルベローヴァやアライザなど揃っている。
このDVDで口直しする事にしましょう。

楽劇「ばらの騎士」

2008年04月07日 23時56分15秒 | オペラ
5日の土曜日にNHKのハイビジョンで生誕100年記念という事で朝から晩までカラヤンを放送していましたが残念ながら私自身興味が無いので気に留めていなかったが新聞の番組表を見て最後のところで目が止まり、これだけは絶対見なければ!絶対録画しなければと思った。まさかハイビジョンで見ることが出来るとは思いもよらなかった。
1960年ザルツブルグ音楽祭でのR・シュトラウス作曲、楽劇「ばらの騎士」の記録映画。
エリザベート・シュヴァルツコップの公爵夫人、セーナ・ユリナッチのオクタビアン、アンネリーゼ・ローテンベルガーのゾフィー、オットー・エーデルマンのオックス男爵、そしてカラヤン指揮のウィーンフィルハーモニー管弦楽団。

この映像を初めて見たのは大学生時代、銀座のヤマハホール(今もあるのかな?)での上映会であった。
このオペラの全曲に接するのは、この時が初めてであった。見ていて本当に驚いた。第3幕の大詰めの三重唱ではまさに陶酔としか言いようがなかった。この世の中に、こんなに美しいものがあるのか!と思った。次の日、有り金を全てかき集めてレコード店へ行って、このオペラの全曲盤を買ってしまった。もちろんシュヴァルツコップとカラヤンの録音である。
組曲形式はそれまで聴いたことがあるのでワルツも知っているつもりであったが、実際、映像で全曲を聴いてワルツがこんなに物凄いものだとは思いませんでした。恥ずかしいのですがワルツに乗って踊りまくるのかと思っていましたが、何と言う私の浅はかさ!シュトラウスはワルツを使って見事にウィーンの情緒、そして登場人物の心の動きを表現し効果を上げている。「サロメ」や「エレクトラ」と同じ作曲者の作品だけに聴けば聴くほど驚きが増します。
今回の放送を見ての感想は最初と同じである。ただ映像の劣化は辛い部分もあり特に第2幕の銀のバラの贈呈の部分は特に気になりました。しかし私の印象は初めて見た時と比べて全く色あせていない。
やはり、この映像の最高の魅力は、このオペラが最高の当たり役だったシュヴァルツコップの舞台姿を見る事が出来ることである。この美しさ、気高さの素晴らしさは何と表現したらよいのでしょうか?第1幕後半、オックスが舞台から去ったあとのシュヴァルツコップの歌うモノローグ。それまでにぎやかに、こっけいに進んでいたオペラが一気に緊張感を増します。
そして第3幕の大詰め、三重唱が終わり公爵夫人が舞台から去るときのシュヴァルツコップの後姿の素晴らしさ!後姿のままオクタビアンにハンドキスを求める為、手を伸ばすシュヴァルツコップの姿、後姿だけで見事に、この女性の哀しさを表現しつくしている。そしてシュトラウスの陶酔感あふれる音楽が流れている。ここのシーンがこのオペラの1番の見所かもしれません。
その他ゾフィー役のローテンベルガーの可憐さ、そして脇役とは言えフォン・ファニナル役のエーリッヒ・クンツの存在感など語りだしたらきりがありません。

今は、このすばらしい公演の映像を自宅でみることの幸福をかみしめています。

歌劇「ラ・ボエーム」

2008年03月25日 11時51分55秒 | オペラ
23日の日曜の深夜NHKのBS2で昨年ネロ・サンティが指揮したNHK交響楽団の定期演奏会で演奏会形式で演奏されたプッチーニ歌劇「ラ・ボエーム」の放送があり深夜だったので録画予約を入れていたものを今日の朝、見てビックリ!そしてショック!画面はむちゃくちゃ、音声も途切れまくりである。家族に聞いてみると、ちょうどその頃強い風を伴った大雨が降っていたとの事。私はまったく知らないで酒の力で深い眠りの状態であった。たいへん楽しみにしていただけに超落胆である。
プッチーニのオペラを演奏会形式で聴くというのはプッチーニのあの美しいメロディをストレートに楽しむことが出来るということである。最近、「読み替え」と称して何か大切にしていたオペラのイメージを壊される演出が多くなって来ただけに今回のイタリアオペラのスペシャリストのサンティの指揮を楽しみにしていたので返す返す残念無念である。

気を取り戻して「ラ・ボエーム」のCDを聴く。何種類か持っている全曲録音の中でやはりカラヤン指揮のCDに手が伸びる。フレーニのミミ、パヴァロッティのロドルフォ、もう何度聴いたであろうか?第3幕の冷たい朝の描写は大好きである。その中で懇々と歌われるミミの「さようなら」はこのオペラで一番好きな場面である。どうしても、もう大昔になったがミラノ・スカラ座の来日公演で見たゼッフレッリの見事な演出の舞台を思い出してしまう。あんな演出ができる演出家はもういないのであろうか?パヴァロッティも、スカラ座公演を指揮をしたクライバーも故人になってしまった。月日のたつのは本当に早いものである。

最近はDVDの普及でオペラも映像を伴って楽しむことが出来るようになり楽しさも増してきましたがオペラで一番大切なものはやはり音楽。音楽がその時の背景、登場人物の感情等を全て語っています。そのオペラの音楽をCDで、じっくりと聴き込む姿勢はくずしたくないものである。

ヴェルディ 歌劇「トロヴァトーレ」

2008年02月08日 14時22分06秒 | オペラ
6日の記事でイタリア・オペラ界最高のメゾソプラノだったフィオレンツァ・コッソットのデビュー50年記念コンサートの放送を取り上げましたが、やはり彼女の本当の素晴らしい声を聴きたくなり下記のCDを本日は聴きました。

ヴェルディ 歌劇「トロヴァトーレ」(全曲)

カルロ・ベルゴンツィ(マンリーコ)アントニエッタ・ステルラ(レオノーラ)フィオレンツァ・コッソット(メゾソプラノ)エットーレ・バスティアーニ(ルナ伯爵)イヴァ・ヴィンコ(フェルナンド)

トゥリオ・セラフィン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団
(国内盤 ドイツグラモフォン POCG30103/4)1962年7月録音

固定観念はあまりよくありませんがミラノ・スカラ座のヴェルディはやはり特別である。また指揮がイタリアオペラ最高の指揮者だったセラフィンだったらなおさらである。ヴェルディはこう鳴って欲しい、こう歌って欲しいという理想を全てかなえてくれる録音である。第1幕の開幕のトランペットを聴いただけで胸が躍ります。そして歌手たちの次から次へとここぞとばかり聴かせてくれる「声」の素晴らしさ。「ドン・カルロ」や「仮面舞踏会」のような内面的なものは薄いがまさにコーラスもからんで声の饗宴を聴かせてくれます。
ベルゴンツィとステルラはやや優等生的で面白みが欠ける点もありますが何と言ってもコッソットとバスティアーニはまさに極めつけのアズチェーナとルナ伯爵である。これを聴かずして「トロヴァト―レ」は語ること無かれと言っても過言ではありません。

なお余談ですがルキーノ・ヴィスコンティ監督作品「夏の嵐」(1954年)の冒頭のシーンは、このオペラの第3幕である。撮影ロケで使用された火災で焼ける前のヴェニスの「ラ・フェニーチェ座」が美しい。有名なマンリーコのアリア「見よ、恐ろしき炎」そして第4幕のレオノーラのアリア「恋はばら色のつばさののせて」が効果的に使われオペラが好きな者にとってたまりません。

芸術劇場「フィオレンツァ・コッソット、デビュー50周年記念コンサート」

2008年02月06日 00時45分27秒 | オペラ
今日録画していた2月1日NHK教育放送で放送された芸術劇場「フィオレンツァ・コッソット、デビュー50周年記念コンサート」を観る。イタリアオペラ界最高のメゾ・ソプラノだったコッソットは1935年生まれなのでコンサートが開かれた昨年秋は何と72歳である。
私にとってコッソットはまさにイタリア・オペラ界のメゾ・ソプラノの代名詞である。高校生時代、初めて購入した歌劇「アイーダ」の全曲レコードでアムネリスを歌っていたのが彼女である。以前歌劇「オテロ」の記事でのバリトンのカップッチルリと同様、その声に本当にしびれたものである。そして東京での大学生時代、最後のNHKのイタリア・オペラ公演でチレア作曲「アドリアーナ・ルクブルール」の公演で圧倒されました。この時の共演はソプラノのモンセラ・カバリエ、テノールのホセ・カレラス(3大テナーの一人)でまさに声の饗宴でした。あの巨大な渋谷のNHKホールで朗々と響き渡る声は本当に物凄かったとしか言い様がありませんでした。
さて今回のデビュー50週年のコンサートは年齢を考えると、仕方ないのかもしれませんが全盛時代の声を知っているだけに正直辛かった。初めて聴く「カルメン」や「サムソンとデリダ」のアリアはやはりもっと前に聴きたかった!テレビのスイッチを切ろうかと思いましたが切らなくて良かった!
プログラム最後の「アイーダ」第4幕第1場の後半が演奏され、まさに彼女こそ最高のアムネリスである事を痛感させられた。声の力だけで王女アムネリスの貴高さ、苦悩を見事に表現している。この時だけは声の衰えを感じさせなかった。やはりヴェルディの音楽は素晴らしい。
もっと驚きはアンコールの3曲。「つれない心(カタリ)」「忘れな草」そして何と「君が代」女性によるカタリは初めて聴きました。また「君が代」での日本語の発音の素晴らしさには本当に驚かされました。歌うことを止めないコッソット。元気でいて欲しいものである。

なおコッソットの私の愛聴盤はDVDですが1971年NHKイタリアオペラ公演ドニゼッティの歌劇「ラ・ファヴォリータ」の映像である。共演はテノールのアルフレード・クラウス。当時彼女は三十代前半。絶頂期のたいへんな美声を聴く事が出来ます。またクラウスもハイCの高音を見事に聴かせます。

歌劇「蝶々夫人」 その2

2008年01月25日 11時50分34秒 | オペラ
歌劇「蝶々夫人」(全曲)

(蝶々さん)マリア・カラス (ピンカートン)二コライ・ゲッタ
 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団
 1955年8月ミラノ・スカラ座にて録音
 
 (CD)ナクソス・ヒストリカル・シリーズ 8.111026-7 

大学生の時、初めてレコードで歌劇「蝶々夫人」を聴いた全曲盤はこのカラス盤である。今でも初めて聴いた第1幕の冒頭の音楽の衝撃は今も忘れる事が出来ません。私は日本風の異国情緒あふれた美しい音楽が流れて来る物と思っていましたが、実際は、その後の蝶々さんの運命を暗示するような激しい音楽。プッチーニーは最初から蝶々さんの過酷な運命を最初から伝えずにおれなかったのでしょうか?

このオペラの最初の全曲レコードにカラス盤を選んだ理由はもう憶えていませんが、やはりその頃からマリア・カラスの存在がすでに大きかったからでしょう。
今回のCDはナクソスレーベルがレコードからCDに復刻した物。少し前に購入していましたが今日初めて封を切って聴きました。モノラル録音ですが古さを感じさせない、柔らか味があり、歌手の声も艶がある音で見事な復刻だと思います。(私が最初購入したレコードはモノラル録音を電気的にステレオ化した物だった)

カラスは生前、蝶々さんは一度しかステージで演じていません。しかしステージの経験が無いから良くないかという事は全くありません。例えば「カルメン」は全くステージの経験はありませんが他の追随を許さない見事な全曲録音があり、「蝶々夫人」の録音も同様のことが言えます。
第1幕はやはり可憐さの必要な15歳の少女を歌うにはカラスの声は強烈すぎて他の歌手で聴きたくなりますが、第二幕となるとカラスの独壇場である。声が演技をしているとしか言い様がありません。
ピンカートンの手紙を携えたシャープレスとの二重唱は大変地味ですが蝶々さんのちょっとした感情を見事に表現して次の大きなドラマを期待させ、引きずり込む凄さがあります。このオペラの録音だけではありませんがカラスの声はオペラが単に聴かせ所のアリアを美しく歌うだけではない「オペラはドラマである」という事をいつも教えられます。

第二幕第二場の冒頭ピンカートンを待って一夜を明かした蝶々さんがわが子を寝かす時に歌われる子守歌。
 
「いらっしゃるは、いらっしゃるは、きっと。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
 おやすみ、かわいい坊や、私の胸でおやすみ。
 お前は神様と、私は苦しみと一緒。
 金星の光はお前のものに。
 坊や、おやすみ」

Verra(いらっしゃるは)のたった一言のことばに込めたカラスの思い。何という悲しさでしょうか。この時のカラスの歌はまさに蝶々さんの悲しさそのもの。ここの場面を他の歌手で聴くと単に美しく歌いましたとしか聴こえない。

最後に今回この録音を聴いてカラヤンの指揮が以外と良かった。後年カラヤンはフレーニ、パヴァロッティそしてウィーンフィルとこのオペラを再録音して大変定評がありますが私自身、厚化粧しすぎてノツノツしてあまり聴きません。(ただし第一幕の後半の二重唱の美しさは最高だと思いますが・・・)カラスの歌う蝶々さん、そしてスカラ座のオケ。やはりいつもと違った気持ちでレコーディングに臨んだのでしょう。

歌劇「蝶々夫人」

2008年01月22日 15時44分27秒 | オペラ
新年そうそうテレビを買い換えたので録画が大変忙しく見るのもたいへんになってきました。この前の日曜(20日)の深夜NHK衛星第二で東京二期会公演の歌劇「蝶々夫人」の全曲が放送され今日、録画で一気にみました。

蝶々さんは木下美穂子、スズキは永井和子、ピンカートンは福井敬、シャープレスは直野資という顔ぶれ。
このオペラは何度観ても、聴いても泣けてくる。本当に美しいメロディ、その中で演じられる蝶々さんの悲しい過酷な運命。
第1幕後半の愛の二重唱が美しければ美しいほど、蝶々さんのその後を知っているだけに聴いている方は胸が張り裂けそうになります。第2幕は正ににドラマ。蝶々さんの悲しみ、嘆き、喜び、そして絶望がプッチーニの美しい音楽と一緒になって、これでもかと押し寄せてきます。
演出は2年前の兵庫県立芸術文化センターの公演と同じで栗山昌良。舞台装置など大筋は同じようであったが兵庫県立芸術文化センターの公演では廻り舞台が有効に使われ劇的効果をあげていたので、この差は大きいと感じました。
今年3月に兵庫県立芸術文化センターではあの素晴らしかった「蝶々夫人」のリバイバル公演が予定されています。チケットはまだ残っているようですが、まだ入手していません。このところ続けてコンサートやスケートとチケットを手にいれると、その日に限って色々な事が起き精神的に本当に追い込まれ疲れましたが、最終決断の時が来ているようです。
なお兵庫県立芸術文化センターの6月のオペラ公演はレハールの「メリー・ウィドウ」です。ハンナ役は佐藤しのぶと塩田美奈子のダブルキャストが予定されています。

同じ20日の朝にはNHKハイビジョンで藤原歌劇団の「ラ・ボエーム」の公演の全曲放送もあり、こちらも録画しましたが、まだ観ていません。本当に忙しくなって来ました。

「ニューイヤーオペラコンサート」

2008年01月04日 00時18分27秒 | オペラ
今日の夜7時からのNHK教育放送の「ニューイヤーオペラコンサート」を少し遅れてビデオで見る。
前半オペラのバレエシーンが二つ取り上げられて血が騒ぐ。
サン・サーンスの「サムソンとデリダ」よりパッカナーレ。そしてボロディンの「イーゴリ公」よりだったん人の踊り。
「サムソンとデリダ」はどうしても安藤美姫さんを思い浮かべてしまう。昨シーズンの「シェエラザード」と同様エキゾチックな役は安藤さんにぴったりのようである。
「イーゴリ公」からのだったん人の踊りは今シーズン水津瑠美さんがフリーでモダンにアレンジしたものを使っていますが、この曲は私が昔から大好きな曲で日頃はオケのみの演奏の録音をよく聴いていますが、今回の放送ではオリジナルの合唱付きでの演奏で迫力満点で、その上にバレエまであり本当に楽しかった。

今年はプッチーニ生誕120年との事。「トゥーランドット」から「この宮殿の中で」「誰も寝てはならぬ」の2曲がオリジナル通り合唱付きで歌われたが、トゥーランドットの緑川まりさんの声が高音部で絶叫になってしまったのは残念だった。
とにかくことしは記念の年なのでオペラの全曲がもっと放送して欲しいものである。

名バリトン ピエロ・カプッチルリ

2007年12月18日 11時30分25秒 | オペラ
12月14日に今年購入した歌劇「オテロ」のDVDに関して記事にしましたが、その中でイヤーゴ役のカプッチルリを中心に書きました。今回はこのイタリアオペラ界最高のバリトンだったカプッチルリを語ってみたいと思います。

ピエロ・カプッチルリ(バリトン)1930年トリエステにて生まれ2005年同地にて死去。
1957年「道化師」のトニオで注目され数年後には早くもマリア・カラスを主役とする「ルチア」「ジョコンダ」の全曲録音に抜擢される。
1964年ミラノ・スカラ座で「ルチア」のエンリーコ役にてデビュー。これ以降スカラ座に欠く事の出来ない存在となる。特にヴェルディは最高だった。カラヤンにも注目されザルツブルグ音楽祭にもたびたび登場した。
最高の当たり役は「リゴレット」で声の威力、力強さ、輝き、表現力の素晴らしさは類を見なかったらしい。しかし彼は三十代後半頃よりずばぬけた美声の威力を誇示する歌から脱皮し「マクベス」「シモン・ボッカネグラ」「オテロ」のイヤーゴ「ドン・カルロ」のロデリーゴのように深い内面的な表現を要求される役を中心に手がけるようになり、それと共にその歌も一段と成熟、円熟をしめすようになり他の追随を許さない見事なバリトンとなる。
初来日は1976年NHKが主催する第8回イタリア歌劇団公演であった。その後ミラノ・スカラ座の初来日公演にも登場しています。
1992年交通事故のため事実上引退同然になってしまった事は本当に惜しまれます。

カプッチルリが亡くなった時あれだけアバドやカラヤンなどの世界的指揮者とのオペラ録音が多数ありイタリアオペラ界を代表する歌手だったにもかかわらず、当時、音楽雑誌の扱いはほとんど無く冷淡で、本当に残念だった事を昨日のように覚えています。
私が初めてカプッチルリを知った(聴いた)のは高校生の時に手にしたムーティの指揮する「アイーダ」の全曲レコードだった。あの有名な第2幕の凱旋の場で登場したアモナスロ役のバリトン歌手の声の美しさ、輝きに驚きそして魅了された。このときカプッチルリという名を知った。しかし残念な事にこの当時カプッチルリのヴェルディの録音が他には無く音楽雑誌によるミラノやザルツブルグからの海外の情報のみという状態だった。
そして1976年私が東京での大学1年の時である。今は贅を尽くした海外の歌劇場の引越し公演も当たり前になったようですが当時は数年に一度のNHKのイタリア歌劇団の公演が大イベントでこの時が8回目で、これ以降は公演は無くなった。
この1976年の公演の来日歌手の中にカプッチルリの名前があり、貧乏学生でしたがまさに有り金叩いてチケットを購入しました。演目はヴェルディの「シモン・ボッカネグラ」共演はニコライ・ギャウロフ、カーティア・リッチャレッリという今でも信じられない顔合わせで初めて生で聴く最高のオペラ歌手の声、そしてヴェルディの音楽に魅了されました。また他の公演ではチレア作曲「アドリアーナ・ルクブルール」でモンセラ・カバリエ、フィオレンツァ・コッソット、ホセ・カレラスという正に凄い顔合わせの声の饗宴も体験しこれ以降、そして現在に至るまで私はオペラの世界から脱出不可能の状態となるのである。それは高校生の時に聴いた「アイーダ」のアモナスロを歌うカプッチルリの第一声から始まったといっても過言ではありません。ですから私自身カプッチルリ無しでオペラは語れません。

1976年の公演以降カプッチルリの歌うヴェルディのオペラ全曲盤も多く発売されこれらは全て私の大切な宝となっています。
「シモン・ボッカネグラ」「マクベス」(アバド指揮)「ドン・カルロ」「アイーダ(EMIの方)」(カラヤン指揮)「リゴレット」(ジュリーニ指揮)「ナブッコ」(シノーポリ指揮)など。
またお宝録音の輸入盤で1980年のウィーン国立歌劇場での「アッティラ」(シノーポリ指揮)のライブ録音のエンツォ役も素晴らしく特に第2幕のアリアでは熱狂の観客の拍手の中アンコールでもう一度アリアを歌い本当に素晴らしい声を聴かせてくれます。
今回DVDという形ですがカプッチルリのイヤーゴ役の「オテロ」が手に入り彼の素晴らしい舞台姿を観る事が出来、本当に感激でした。残念ながら故人となってしまいましたが彼のヴェルディの録音は私のオペラを聴く大切な指針として大切にしていくつもりです。


なお上記の写真は平成元年我が田舎のホールで藤原歌劇団のガラコンサートがありその時なんとカプッチルリもやって来ました。その時の公演のプログラムにサインをしてもらい額に入れたものです。左側がカプッチルリ。真ん中は我が郷土が生んだプリマ、林靖子。右側はフィオレンツァ・コッソットです。今となっては大変貴重な物となりました。