オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

名バリトン ピエロ・カプッチルリ

2007年12月18日 11時30分25秒 | オペラ
12月14日に今年購入した歌劇「オテロ」のDVDに関して記事にしましたが、その中でイヤーゴ役のカプッチルリを中心に書きました。今回はこのイタリアオペラ界最高のバリトンだったカプッチルリを語ってみたいと思います。

ピエロ・カプッチルリ(バリトン)1930年トリエステにて生まれ2005年同地にて死去。
1957年「道化師」のトニオで注目され数年後には早くもマリア・カラスを主役とする「ルチア」「ジョコンダ」の全曲録音に抜擢される。
1964年ミラノ・スカラ座で「ルチア」のエンリーコ役にてデビュー。これ以降スカラ座に欠く事の出来ない存在となる。特にヴェルディは最高だった。カラヤンにも注目されザルツブルグ音楽祭にもたびたび登場した。
最高の当たり役は「リゴレット」で声の威力、力強さ、輝き、表現力の素晴らしさは類を見なかったらしい。しかし彼は三十代後半頃よりずばぬけた美声の威力を誇示する歌から脱皮し「マクベス」「シモン・ボッカネグラ」「オテロ」のイヤーゴ「ドン・カルロ」のロデリーゴのように深い内面的な表現を要求される役を中心に手がけるようになり、それと共にその歌も一段と成熟、円熟をしめすようになり他の追随を許さない見事なバリトンとなる。
初来日は1976年NHKが主催する第8回イタリア歌劇団公演であった。その後ミラノ・スカラ座の初来日公演にも登場しています。
1992年交通事故のため事実上引退同然になってしまった事は本当に惜しまれます。

カプッチルリが亡くなった時あれだけアバドやカラヤンなどの世界的指揮者とのオペラ録音が多数ありイタリアオペラ界を代表する歌手だったにもかかわらず、当時、音楽雑誌の扱いはほとんど無く冷淡で、本当に残念だった事を昨日のように覚えています。
私が初めてカプッチルリを知った(聴いた)のは高校生の時に手にしたムーティの指揮する「アイーダ」の全曲レコードだった。あの有名な第2幕の凱旋の場で登場したアモナスロ役のバリトン歌手の声の美しさ、輝きに驚きそして魅了された。このときカプッチルリという名を知った。しかし残念な事にこの当時カプッチルリのヴェルディの録音が他には無く音楽雑誌によるミラノやザルツブルグからの海外の情報のみという状態だった。
そして1976年私が東京での大学1年の時である。今は贅を尽くした海外の歌劇場の引越し公演も当たり前になったようですが当時は数年に一度のNHKのイタリア歌劇団の公演が大イベントでこの時が8回目で、これ以降は公演は無くなった。
この1976年の公演の来日歌手の中にカプッチルリの名前があり、貧乏学生でしたがまさに有り金叩いてチケットを購入しました。演目はヴェルディの「シモン・ボッカネグラ」共演はニコライ・ギャウロフ、カーティア・リッチャレッリという今でも信じられない顔合わせで初めて生で聴く最高のオペラ歌手の声、そしてヴェルディの音楽に魅了されました。また他の公演ではチレア作曲「アドリアーナ・ルクブルール」でモンセラ・カバリエ、フィオレンツァ・コッソット、ホセ・カレラスという正に凄い顔合わせの声の饗宴も体験しこれ以降、そして現在に至るまで私はオペラの世界から脱出不可能の状態となるのである。それは高校生の時に聴いた「アイーダ」のアモナスロを歌うカプッチルリの第一声から始まったといっても過言ではありません。ですから私自身カプッチルリ無しでオペラは語れません。

1976年の公演以降カプッチルリの歌うヴェルディのオペラ全曲盤も多く発売されこれらは全て私の大切な宝となっています。
「シモン・ボッカネグラ」「マクベス」(アバド指揮)「ドン・カルロ」「アイーダ(EMIの方)」(カラヤン指揮)「リゴレット」(ジュリーニ指揮)「ナブッコ」(シノーポリ指揮)など。
またお宝録音の輸入盤で1980年のウィーン国立歌劇場での「アッティラ」(シノーポリ指揮)のライブ録音のエンツォ役も素晴らしく特に第2幕のアリアでは熱狂の観客の拍手の中アンコールでもう一度アリアを歌い本当に素晴らしい声を聴かせてくれます。
今回DVDという形ですがカプッチルリのイヤーゴ役の「オテロ」が手に入り彼の素晴らしい舞台姿を観る事が出来、本当に感激でした。残念ながら故人となってしまいましたが彼のヴェルディの録音は私のオペラを聴く大切な指針として大切にしていくつもりです。


なお上記の写真は平成元年我が田舎のホールで藤原歌劇団のガラコンサートがありその時なんとカプッチルリもやって来ました。その時の公演のプログラムにサインをしてもらい額に入れたものです。左側がカプッチルリ。真ん中は我が郷土が生んだプリマ、林靖子。右側はフィオレンツァ・コッソットです。今となっては大変貴重な物となりました。






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2 コメント

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カプッチルリ (シフ)
2007-12-18 12:58:35
凄いですね~~!私もジュリーニ盤「リゴレット」を愛聴しております。
変わったところで?ジュリーニ盤のモーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」でマゼットを歌っていますね。ツェルリーナに一途で情熱的な青年という感じです。1959年の録音です。
私自身声がバリトンなのでどうしてもバリトン(&バス)中心に声楽を聴いてしまいます。テノールや女声を聴く余裕(笑)が出てきたのは最近(でもないか)のことです。カプッチルリみたいなヴェルディ歌手はもう出ないかも??
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カプッチルリ (オペラファン)
2007-12-18 14:21:26
私はカプッチルリが1970年代スカラ座でのリサイタルの録音の輸入CDをもっていますが、その中でピアノ伴奏ですがレオンカバルロの歌劇「道化師」からトニオが歌う「プロローグ」が収録され、声の威力全開で震えがするほどです。彼の歌う「トスカ」のスカルピアが聴けなかったのは本当に残念です。
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