ヴェルディ 歌劇「オテロ」(全曲) DVD
プラシド・ドミンゴ(オテロ)ミレッラ・フレーニ(デズデモナ)ピエロ・カップッチルリ(イヤーゴ)
カルロス・クライバー指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団
演出 フランコ・ゼッフィレッリ 1976年12月7日 ミラノ・スカラ座での録画
OPERA LEGACIES OL-0001
私にとって本当は今年のベストワンにしてもおかしくないDVDであるが残念ながら映像状態が良くない。第1幕や第3幕の群集シーンは本当に辛いものがある。しかしクライバーの指揮振り(やはり若い!)も見る事が出来るし、シーズン初日のスカラ座の独特の雰囲気、幕が追うごとにクライバーに対する拍手、歓声が物凄くなってくる様子は本当に面白い。イタリア人以外の指揮者がスカラ座のシーズン初日、それもヴェルディの最高傑作のオペラを振る。物凄い緊張感が伝わってくる。ドミンゴのオテロはもちろん聴き物であるし、フレーニのデズデモナも絶品である。第1幕最後のオテロとデズデモナの愛の二重唱は本当に美しい。クライバーの指揮も今まで聴いてきた彼の録音の中で最高の物と思います。目も耳も離せないというのはこの事かもしれません。しかし、その中で私が一番聴きたかった(見たかった)のは私の大好きなバリトンのカップッチルリのイヤーゴである。
第3幕の最後
群集「ヴェネチアの獅子の旗に栄光あれ!」
(意識を失ったオテロを見て)
イヤーゴ「これが獅子なのだ!」
このあとカップッチルリは大きく笑い声を上げます。この笑い声が本当のゾッとするくらい物凄い!それまでカップッチルリのイヤーゴはオテロの陰に隠れてまさに小賢しい悪人という感じであるが、ここで一気に悪党の本性をむき出しにします。イヤーゴという役が、このオペラの中でドラマを引っ張るいかに一番大切な役柄か、ここで嫌と言うほど見せ付けられます。このオペラはイヤーゴを誰が歌うかで決まると言っても過言でないと思います。
小賢しい悪人と書きましたが第2幕の冒頭の「無慈悲な神の命ずるままに」や後半の「イヤーゴの夢」そして最後のオテロとの二重唱ではまさに名バリトンの素晴らしい表現力のある声を聴かせてくれます。顔の表情も凄い!歌と演技がまさに合致した本当に素晴らしいイヤーゴである。
今年購入したCDでズビン・メータが1987年ウィーン国立歌劇場で指揮した録音があります。オテロはドミンゴ、そしてイヤーゴはレナート・ブルゾン。ブルゾンも素晴らしいバリトンで、いい声で歌っていますが、ただ歌っている感じで緊迫感もなく全曲を通して聴いても、あまり面白くなかった。私自身、昔、東京でスカラ座の2回目の来日公演、歌劇「ナブッコ」でブルゾンの素晴らしい声に接して感激した事がありましたが、やはりイヤーゴとナブッコは違うのだろうか?
この公演のスカラ座での再演の時、イヤーゴを歌ったのはブルゾンだったがクライバーの機嫌が大変悪くなり、もめ出して、その時ミュンヘンで「マクベス」を歌っていたカップッチルリと入れ替わったという話を聞いたことがあります。何かわかる様な気がします。
プラシド・ドミンゴ(オテロ)ミレッラ・フレーニ(デズデモナ)ピエロ・カップッチルリ(イヤーゴ)
カルロス・クライバー指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団
演出 フランコ・ゼッフィレッリ 1976年12月7日 ミラノ・スカラ座での録画
OPERA LEGACIES OL-0001
私にとって本当は今年のベストワンにしてもおかしくないDVDであるが残念ながら映像状態が良くない。第1幕や第3幕の群集シーンは本当に辛いものがある。しかしクライバーの指揮振り(やはり若い!)も見る事が出来るし、シーズン初日のスカラ座の独特の雰囲気、幕が追うごとにクライバーに対する拍手、歓声が物凄くなってくる様子は本当に面白い。イタリア人以外の指揮者がスカラ座のシーズン初日、それもヴェルディの最高傑作のオペラを振る。物凄い緊張感が伝わってくる。ドミンゴのオテロはもちろん聴き物であるし、フレーニのデズデモナも絶品である。第1幕最後のオテロとデズデモナの愛の二重唱は本当に美しい。クライバーの指揮も今まで聴いてきた彼の録音の中で最高の物と思います。目も耳も離せないというのはこの事かもしれません。しかし、その中で私が一番聴きたかった(見たかった)のは私の大好きなバリトンのカップッチルリのイヤーゴである。
第3幕の最後
群集「ヴェネチアの獅子の旗に栄光あれ!」
(意識を失ったオテロを見て)
イヤーゴ「これが獅子なのだ!」
このあとカップッチルリは大きく笑い声を上げます。この笑い声が本当のゾッとするくらい物凄い!それまでカップッチルリのイヤーゴはオテロの陰に隠れてまさに小賢しい悪人という感じであるが、ここで一気に悪党の本性をむき出しにします。イヤーゴという役が、このオペラの中でドラマを引っ張るいかに一番大切な役柄か、ここで嫌と言うほど見せ付けられます。このオペラはイヤーゴを誰が歌うかで決まると言っても過言でないと思います。
小賢しい悪人と書きましたが第2幕の冒頭の「無慈悲な神の命ずるままに」や後半の「イヤーゴの夢」そして最後のオテロとの二重唱ではまさに名バリトンの素晴らしい表現力のある声を聴かせてくれます。顔の表情も凄い!歌と演技がまさに合致した本当に素晴らしいイヤーゴである。
今年購入したCDでズビン・メータが1987年ウィーン国立歌劇場で指揮した録音があります。オテロはドミンゴ、そしてイヤーゴはレナート・ブルゾン。ブルゾンも素晴らしいバリトンで、いい声で歌っていますが、ただ歌っている感じで緊迫感もなく全曲を通して聴いても、あまり面白くなかった。私自身、昔、東京でスカラ座の2回目の来日公演、歌劇「ナブッコ」でブルゾンの素晴らしい声に接して感激した事がありましたが、やはりイヤーゴとナブッコは違うのだろうか?
この公演のスカラ座での再演の時、イヤーゴを歌ったのはブルゾンだったがクライバーの機嫌が大変悪くなり、もめ出して、その時ミュンヘンで「マクベス」を歌っていたカップッチルリと入れ替わったという話を聞いたことがあります。何かわかる様な気がします。