5月24日の日曜の深夜、NHK・BSでブリテン作曲の歌劇「ベニスに死す」が放送され、録画を見終えたところ。
スペイン、マドリード・レアル劇場の2014年の公演での映像。指揮はアレホ・ペレス、演出はウィリー・デッカー。
私はこのオペラの全曲を、映像で見るのはもちろんのこと、きちんと聴くのも初めてでした。
原作はドイツの作家トーマス・マンの小説。
しかし何と言っても有名なのはイタリアの映画監督ルキノ・ヴィスコンティによる映画化されたものでしょう。
私は、この映画は映画館でも見ているし、DVDでも持っているので、この映画に強いイメージを持っている。
原作では主人公アッシェンバッハは作家ですが、映画では作曲家マーラーを彷彿させる音楽家に変更されている。そして、この映画のもう一つの主人公と言えるのがバックに流れる音楽でマーラー作曲の交響曲第5番から第4楽章「アダージェット」が効果的に使われていていた。
しかしオペラである。1973年のブリテン最後のオペラ。
映画のイメージが強い中でブリテンによるオペラである。とにかくオペラ、舞台である。
面白かった。長さは感じなかった。演出も分かりやすく舞台転換も上手だった。当たり前ですがヴィスコンティとは全く違う世界。心理劇と言っていいでしょう。
主人公は原作通り作家。また主人公をとりまく七人である旅情をかきたてる未知の旅人、船に乗りあわせた若作りの老人、ゴンドラの船頭、ホテルの支配人、ディオニソス、ホテルの床屋、流しの音楽家の七役を一人の歌手によって演じさせているのが面白かった。同じ歌手に演じられることによってオペラが進んでいくにつれて、主人公にとりつく死神のように何かジリジリと追い込まれていくように感じさせられて行くものがありました。
オペラの最後、主人公アッシェンバッハが死んで幕を閉じる時の音楽は美しかった。
それにしてもアッシェンバッハを歌うテノール歌手は約二時間半ほとんど舞台で出ずっぱり。たいへんな難役である。もの難役を努めた ジョン・ダザックと言うテノール歌手は本当に見事であった。
ただアッシェンバッハが美を見出す美少年タジオは映画で演じたビョルン・アンドレセンのイメージを払拭できなかった。
これはもうしかたがありません。
まだ、この録画を1回しか見ていません。もっと、このオペラの理解を深めるためにも、やはり何度か繰り返して見直していく必要があるでしょう。

映画「ベニスに死す」より
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スペイン、マドリード・レアル劇場の2014年の公演での映像。指揮はアレホ・ペレス、演出はウィリー・デッカー。
私はこのオペラの全曲を、映像で見るのはもちろんのこと、きちんと聴くのも初めてでした。
原作はドイツの作家トーマス・マンの小説。
しかし何と言っても有名なのはイタリアの映画監督ルキノ・ヴィスコンティによる映画化されたものでしょう。
私は、この映画は映画館でも見ているし、DVDでも持っているので、この映画に強いイメージを持っている。
原作では主人公アッシェンバッハは作家ですが、映画では作曲家マーラーを彷彿させる音楽家に変更されている。そして、この映画のもう一つの主人公と言えるのがバックに流れる音楽でマーラー作曲の交響曲第5番から第4楽章「アダージェット」が効果的に使われていていた。
しかしオペラである。1973年のブリテン最後のオペラ。
映画のイメージが強い中でブリテンによるオペラである。とにかくオペラ、舞台である。
面白かった。長さは感じなかった。演出も分かりやすく舞台転換も上手だった。当たり前ですがヴィスコンティとは全く違う世界。心理劇と言っていいでしょう。
主人公は原作通り作家。また主人公をとりまく七人である旅情をかきたてる未知の旅人、船に乗りあわせた若作りの老人、ゴンドラの船頭、ホテルの支配人、ディオニソス、ホテルの床屋、流しの音楽家の七役を一人の歌手によって演じさせているのが面白かった。同じ歌手に演じられることによってオペラが進んでいくにつれて、主人公にとりつく死神のように何かジリジリと追い込まれていくように感じさせられて行くものがありました。
オペラの最後、主人公アッシェンバッハが死んで幕を閉じる時の音楽は美しかった。
それにしてもアッシェンバッハを歌うテノール歌手は約二時間半ほとんど舞台で出ずっぱり。たいへんな難役である。もの難役を努めた ジョン・ダザックと言うテノール歌手は本当に見事であった。
ただアッシェンバッハが美を見出す美少年タジオは映画で演じたビョルン・アンドレセンのイメージを払拭できなかった。
これはもうしかたがありません。
まだ、この録画を1回しか見ていません。もっと、このオペラの理解を深めるためにも、やはり何度か繰り返して見直していく必要があるでしょう。

映画「ベニスに死す」より

