ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

政府の成長戦略をどう見る

2014-06-11 10:17:54 | 社会

アベノミクス第3の矢である成長戦略の内容が次第に明らかになってきた。全体的には私の期待以上の内容だと思っているが、果たしてどこまで実行できるかは疑問符がついており、もう少し待って正式発表されてからまた改めて書いてみたい。

農業改革は私が最も高く評価している分野であるが、族議員の巻き返しがあったのか最近トーンダウンしているのが気になる点である。労働形態多様化のホワイトカラー・エグゼンプションも私が評価している項目であるがどんどん制限を強めてトーンダウンの印象が強い。やはり副作用を心配しすぎている感じがする。最近発表された少子化防止対策は、目標は良いが対策は効果があるかどうか疑問に感じている。効果がありそうだと思うのは第3子への支援くらいである。女性・男性を通じて若い人が「結婚して子供を育てたい」と思わないことには少子化は止まらない。

労働人口の増加は女性や高齢者の参加を促すという方向性は良いのだが効果のありそうなアイデアに乏しい感じがする。この問題は福祉の問題、財政再建の問題などと複雑に絡みあっているのだが、常に「国際競争力」の視点を持ち続けることが重要だと思う。つまり、働きの悪い人を無理に雇用するような政策を作れば長い目では必ず失敗すると思っている。外国人のほうがコストパフォーマンスの良い雇用ができるのなら外国人の雇用を増やすべきだし、高齢者や女性のコストパフォーマンスが良ければ積極的に雇用すべきだが、働きの悪い人を無理に雇用させるような制度にはすべきではないと思う。

教育改革に関しては私はあまり評価していない。今の議論は権限を誰に持たせるかという議論で、これでよくなるとは思えない。重要なのは教師の評価制度でどういう教師を、「良い教師」と評価するかということ、そして良い教師に良い待遇を与えることが最大の課題だと思う。

産業政策にはこれと言って良いものは見当たらない。国土強靭化もそれほど良いとは思えないし、法人税減税もあまり良いとは思えない。オリンピックの大さわぎも効果は疑問だと思っている。年金の株式運用を増やすというのは良いと思うが、「株を買うぞ」と宣言して買い始めれば高値掴みになるのは目に見えており、果たして今くいくかどうか、やり方は難しい。

色々批判しているが、「やるぞ」という意思表示だけでも大きな進歩であり、実行に際して利害関係者の圧力団体の影響で骨抜きになり、政府が金を使うことだけが反対が無く通ってしまう、というようなことに終わらなければここまでのプロセスは上出来のほうだろうと思う。これからは誰が推進して誰が反対しているか、妥当な反対か、という点に関する国民の監視が重要になってくると思う。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿