ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

2017年の技術

2017-12-17 13:19:14 | 経済

「2017年の日本を振り返る」で書いたように、私は日本の産業が今一つ元気がないのは世界的な技術革新の波にうまく乗れないからだと考えている。2017年の技術革新で何が起こったかを簡単に振り返ってみたい。最大の技術進化は人工知能だろう。技術的には2016年から起こっていたのだが、今年になって日本でもスマートスピーカが発売されたりして人工知能が身近になってきたと思う。このブログにも何度か書いたように囲碁の分野では人工知能が完全に人間を凌駕した。人工知能技術はまだまだ広がりを見せ、多くの分野で利用されるようになることは間違いないだろう。

巷には人工知能の解説本や記事があふれているが、あまり中身がないのに人目を引こうと目立つタイトルにするようなものが多いような気がする。専門家の意見でもあまり納得できないものが少なくない。電子情報通信学会はこの分野では専門家が集まる集団の一つ(本当の専門家は人工知能学会)だが、彼らが100周年記念特集として50年後の未来をいろいろ議論した記事が学会誌に出たのだが、私にはピンとこなかった。

学会誌ではSF作家などと対談した後で将来はどのようになるかを座談会で議論しているのだが、50年後ということで倫理的な話や感情を扱えるか、というような技術的な目途のない話を根拠なく予想するような話と、目の前の問題を解くような話に2分されていたような気がする。人工知能がどのように導入されていくかを考えると、産業として成立する、つまり人工知能の活用によって儲かる分野から入っていくに決まっている。そして儲からない分野ではなかなか普及しない、というのが当然の視点だと思うのだが、そのような産業的視点からの見方は座談会では出ていなかった。50年後特集で一番良いと思ったのは、かつて私の同僚だった筑波大学の岡本英司氏の寄書だった。

どのような分野で人工知能を導入すれば儲かるか、と考えたときに最も分かりやすいのは人間を置き換えて人件費を減らすことである。つまり、肉体的ではなく、知的作業で、適度に難しい作業が最も導入されやすい分野である。そしてその分野で働いていた人たちは別の仕事を探さざるを得なくなる。これは中間層上位の没落を意味しており真剣に考えるべき問題だと思う。

今年、大きな話題となったもう一つの技術が仮想通貨である。昨年の今頃は10万円だったビットコインが今は200万円近くになっている。私は今年の6月頃にビットコインの仕組みを調べてみて、技術的な支えとなっているブロックチェーン技術は将来的に使われていくだろうが、ビットコインという仮想通貨自体にはそれほど発展性はなく、バブルっぽいと感じていた。当時ビットコインは30万円ほどだったので、私の予想は大きく外れたわけだが、今でもビットコインは怪しげで暴落の可能性が高いと思っている。アマゾンの取引をすべてビットコインというのは取引件数が多すぎて無理だと思うが、特定企業の取引くらいには使えるだろうと思う。例えばグーグルの支払いは原則一月に1回なので全てビットコインというようなことは可能だろうと思っている。


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