ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

第3次世界大戦への流れ?

2016-03-14 11:31:32 | 社会

最近、私は「後で振り返ると2016年が第3次世界大戦への流れの始まりではないか?」と思うことがある。その理由はアメリカのトランプ任期である。

現在の世界の国家の意識で言うと、日本を含む欧米と、中国・ロシア、そしてそれ以外の国々で意識がかなり違っていると感じている。欧米は民主主義・資本主義を前提として人道政策を取りながら経済競争力で強さを維持していこう、という姿勢だと理解している。どこの国でも、もちろん自国が一番大切なのだが、それをあまり露骨に表には出さず、少なくとも名目上は人類は平等、経済で競争しながらお互いに発展していこう、という姿勢である。これに対して中国とロシアは考え方が違うように私には煮えている。一言で言えば国家主義である。

中国もロシアも周りの国と小さな摩擦は起こしているが対立したいとは思っておらず、人道主義を前面に出している。しかしこれは、戦国時代の真田家ののように自国にとって対立すると損になるから人道主義を掲げているだけで、一番大切なのは自分の国だということをかなり露骨に表に出していると見えている。現状、欧米のほうが経済力が強く、実質的に世界を牛耳っているので大きな問題にはならなかった。

しかし、今のアメリカの状況は、「自分の生活が危ういのに他人のことをかまっておられない」と考える人が増えてきていることを示している。ヨーロッパもそうである。従来からこういう人はいたのだがそれを表に出すことははばかられていた。しかし、露骨にこれを言う人がアメリカでも現れ多くの人気を博しているということはアメリカの空気が変わってきていることを示している。現時点ではトランプ氏は中国を露骨に攻撃してはいないが、いずれ国家資本主義的な動きに反発する意見が出てくるのは明らかだと思う。

これは、欧米で(日本でも)貧富の差が拡大して将来に夢を見にくくなっている人が増えていることの結果であり、これを覆すのは難しいと思う。従って政治家がよほどしっかりしていないと国家間のいがみ合いは強まってくると思う。

私はアルファ碁の時にも資本主義の見直しが必要と書いたが、資本主義で行く限り、貧富の差の拡大は免れず、世の中は難しい方向に行くと思っている。つまり技術進歩により、10人の優秀な人を雇うほうが100人の凡庸な人を雇うよりはるかに利益を出せるようになるので、報酬は優秀な人に偏る。累進課税などで富の再分配をすることはできるが、世界一斉にやらないと累進課税をしない国に優秀な人材が流れていく。世界の政府で税率を合わせるのは極めて難しいだろう。過去の資本主義の問題は貧しい人のつけた付加価値を豊かな人が収奪していたので、組合を作るなどして付加価値に応じた富の配分にすればよかったのだが、これからの資本主義では付加価値そのものが大きな個人差がついてしまうので、格差解消は難しい。これが私が資本主義の見直しが必要だと思う理由である。

私自身、どうすれば良いかのアイデアは持っていない。一つ考えられるのは織田信長方式である。つまり文化を奨励し、由緒ある茶碗にものすごい高い価値を付けることである。これは茶碗自体に価値があるというよりも、社会貢献とか尊敬の証として金ではなく文化的なものを位置付ける、という方法である。競争政策を維持しつつ、富の平準化を図るにはこういった方法くらいしか思いつかない。


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2 コメント

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「グローバリズム」対「ナショナリズム」 (UCS-301)
2016-03-14 20:51:41
ここ最近、朝鮮半島有事の気配を感じております。手付かずの北朝鮮(資源・労働力)を植民地化し面倒な核ミサイル問題も一気に解決したいアメリカ(グローバル資本)と、緩衝地帯を失いたくないチャイナ(共産党)のせめぎ合いの中、昨年末韓国が恫喝されて急速にアメリカになびきました。現在の朝鮮半島情勢は歴史教科書でお馴染みジョルジュ・ビゴーの風刺画(日本と清が魚=朝鮮を釣り上げようとするのを橋の上からロシアが様子を伺っている図)そのものだと感じます(清がチャイナ、日本がアメリカに置き換わってはいますが)。韓国企業がすでにグローバル資本に握られているのは周知の事実です。

世間一般で言われる「人道」は隠れ蓑の意味合いしかないと考えています。個人個人(特に日本人)では「人道」を重んじるのは分かりますが、利用する側(国家、組織、主義者)側の言う「人道」はマスコミが吹聴すればするほど薄っぺらいものにしか聞こえません。「人道支援」とはつくづく使い勝手の良い言葉だと思います。

アメリカ大統領予備選挙では世界情勢を象徴して、ナショナリスト(貧者)とグローバリスト(富者)の戦いが行なわれているような気がします。(トランプ氏自体は大金持ちですが、お金がないと選挙に出られないか、もしくは金持ちのグローバル資本から借りるしかないので仕方がありません。)トランプ氏はモンロー主義に近いのではないかと思います。

ウィトラ様が最後に挙げられている文化的付加価値についてですが、グローバリズム(共産主義、資本主義)が各国特有の文化を破壊してきた歴史を考えると辻褄が合うように思います。私自身、今の日本には国家観が希薄すぎるという意味において、グローバリズムよりナショナリズムの方が好ましいと思っております。そして現代において戦争に向かうのはナショナリズムではなく、むしろグローバリズムであると思っています。石油の利権目的で滅茶苦茶になった中東が良い(?)例です。
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民主主義と共産主義 (世田谷の一隅)
2016-03-15 08:26:35
ウィトラさんの嘆きもよくわかります。

それでもアメリカは一人一票で選ばれた大統領が指揮しています。形式的にはロシアも民主主義で選ばれた大統領です。日本も間接的とはいえ首相は一人一票で民主的に選ばれたリーダです。

決して強制されて投票所に行っているわけではなく、いずれも自由選挙で選ばれたリーダです。資本主義と共産主義のどちらが国民の幸福に貢献できるかはすでに20世紀に決着がついていると思います。

ウィトラさんの期待するように資本主義の独走に歯止めをかけるとしたら、民主主義といわれる国民一人一票の投票制度の限界ではないでしょうか? 民主主義では国民のレベルや意向に合わせて国の進路とあり方が決まります。国民の意思が反映できないのは中国のような、一部の人間による独裁的な方法か、君主が前面に出す仕組みになってしまいます。

どんな政治形態が、より多くの国民により多くの幸せをもたらすかは、各国が模索している状況でしょう。もちろん、自国のシステムが一番だと主張するリーダが多いでしょうが。

一時的に英雄が出現し、多少反対の声が大きくても、思い切ってある方向に引っ張っていく、結果的にそれがその国の国民に平和と繁栄をもたらす、そんな姿が見えます。その際に周辺国も、その分け前に与かればいいのですが、必ずしもそうではない場合もあるでしょう。

20世紀の後半で、平和と繁栄をうまく両方を手にした国は日本とシンガポール、最近の中国等があります。

経済的な繁栄をつづけるために、歪や不満を、対外的に仮想敵を設定して、国民の目をそらし続けられればしばらくは、その体制が維持できるかもしれませんが、早晩、見直しが必要でしょう。

ここへきて中国の経済停滞を中国自身がどのように乗り越えるかが大きな課題です。対外的に進出拡大する力をどのように活用しながら、経済の維持を図るかです。それでも中国の政治体制はしばらく(おそらく10年単位で)変わらない前提で、日本も構える必要があるでしょう。

少数の勢力が勝ち組となり、そのグループに富が集中するとして、それをどのように、「その他」に分配するのか? これはひょっとして永遠の課題であり、決して解決法に至らないのではないかと思います。

何といっても、国民一人一人は、できる限り、勝ち組に加わりたいと念願し、行動します。それでも大多数が負け組になるわけです。その場合でもできる限り、そんな人にも分け前が割り振られるようにというのは、虫のいい話です。

この実現には、「大きな政府」が必要であり、その政府の一員として動く方が安全で幸せになりそうなのですから。つまり共産主義です。

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ところで朝鮮半島情勢ですが、確かに日清、日露の戦争当時とよく似た構図があります。それは朝鮮半島の置かれた宿命であり、一生懸命に独自性を維持しようとしています。韓国の中央日報や東亜日報を読んでいると、そんな気配を感じます。しかり、大きな地政学的な動きで考えると、やはり、こんな大きな勢力に挟まれた小さな国の宿命と思っています。

日本の平和と繁栄も、所詮、そんな米国の振るさいころで左右されてしまうのは或る程度致し方ないですね。
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