ウィトラのつぶやき

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TD-LTEのブレイクしそうな予感

2010-06-29 10:27:34 | 経済
今回は私の専門の移動通信の技術的な話である。

現在、日本の移動通信は3Gと呼ばれる方式がほぼ100%である。大手オペレータのKDDIはcdma2000方式を採用しており、ドコモとソフトバンクはWCDMAを採用している。このWCDMAの延長線上にある次世代方式としてLTEという方式が開発されており、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社ともに次世代方式としてはLTEを採用することを既に発表している。3Gの世界ではWCDMAとcdma2000があるのだが、世界的に見ても次世代方式は全てLTEになりそうな勢いである。それではLTEが世界統一方式になるかというと、ちょっと違う面が含まれている。

違うというのはLTEにTDD方式とFDD方式という2方式が含まれている点である。FDDというのは送信と受信に別の方式を使うもので、TDDというのは送信と受信を同じ周波数で時間を分けて使うものである。現在の3GでもFDDとTDDがあるのだがTDDは世界中で中国移動しか使っておらず、殆どがFDDである。しかし、今後LTEに移っていくときにTDD方式であるTD-LTEが大きく頭角を現すというのが最近の私の印象である。

私がTD-LTEに注目したのはこのブログでも触れたアメリカの「国家ブロードバンド計画」と関係が強い。アメリカではiPhoneをはじめとして次々と新しい端末が出てきており、これからの流れはアメリカからきそうである。政府もこの点に目をつけ、アメリカが移動通信の分野で世界のリーダとなる。そのために移動通信に対する周波数割り当てを急激に増やす、といっているからである。しかし、周波数の配置転換は利権が絡まってなかなか進まない。そこでひとつの周波数を割り当てればよいTDD用の周波数を大幅に増やそうとしているのである。

中国では既に大量の周波数をTDDに割り当てているが、FDDのLTEへの割り当てはまだ見えていない。中国移動はTD-LTEへの移行を急いでいる。更にインドでは先日3Gの周波数オークションが行われたが、FDDの周波数に加えてTDDの周波数も割り当てが行われておりアメリカのQualcommが周波数を獲得してTD-LTEをやると言っている。

アプリの発祥の地アメリカ、成長力第一の中国、そして加入者の増加で中国をも上回るインドでTD-LTEが始まるというのが、私のTD-LTEブレイクの予感の根拠である。LTEの時代にはFDDよりもTDDが主流になるのではないかという感じさえしている。

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