ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

日本の自動運転タクシーの狙いは何だろう?

2018-08-27 12:44:51 | 経済

東京で、ごく一部のルートであるが、自動運転タクシーの実証実験が始まった。タクシー大手の日の丸交通が、自動運転の開発ベンチャーと組んで大手町と六本木ヒルズの間を自動運転タクシーで運転するという話である。私が驚いたのは、料金を取るという点である。実験なのでてっきり無料だろうと思っていたのだが、料金を取るということは事故を起こした場合の責任分解などもある程度用意ができているのだろうか。公道を自動運転のタクシーが走るのは世界初とのことである。

自動運転の分野では日本はかなり出遅れていると言われている。アメリカではGoogleが自動運転車を既に100万Kmを優に越えるくらい走らせていて、小さな問題を起こしそれをデータとして取り込んでアルゴリズムの改良を繰り返している。しかし、いまだに有料サービスは認可されていない。これに対して、今回の日本の実験サービスにはどんな意味があるのだろうか? 私には「日本もやっている」という印象付けの目的しか感じない。これでそれほどデータ取得に役立つとも思えず、出遅れている技術を回復できるのだろうか、と疑問に思う。

道路事情は国によって異なるので、アメリカで自動運転が認可されたからと言って、日本でも同じ条件で認可できるものではない。日本の事情を考慮した認可条件があるべきだろう。このようなスタンドプレーを見ると、むしろ実態の検討が遅れているのではないかという危惧をもってしまう。トヨタが自動運転の制御技術を外販する発表をしたように、メーカーは世界で事業を行っているので出遅れてはいても着実に手を打っている印象だが、政府系が焦って、目立つ発表をしている気がして、気になるところである。


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6 コメント

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自動運転のタクシー (世田谷の一隅)
2018-08-29 11:53:50
政府の狙いは何か? スタンドプレーか?等と穿った見方をするよりも、日本のようやく公道での試験がスタートしたのかと見ています。

何ごとも始めて見なければわからないことが多過ぎるので、まずは始める、そしてその際に出てきた問題を情報公開しながら対策、解決を図るのは良いことだと思います。私は、素直に受け取っています。

事故が起きれば、その分析、原因などを検討し、プログラムなのか、それでも不可避なのか等は十分に検討できると思います。今までは、考えるだけでそれ以上実行できなかったので、今後は実際に起きた問題を俎上に載せられます。より、真剣に論議が可能です。報道で見る限り、「運転手も同乗し、ハンドルに手をかける姿勢を取っている」の責任もはっきりしていると思います。

今後起きるであろう交通事故については、相手の車は非自動運転の筈なので、どちらがどの程度責任が生ずるのかも比較的はっきりしていると思います。

まずは、この種の実験をもっと広汎に実施してデータを収集する事だと思います。
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スタンドプレー…だと思います (UCS-301)
2018-08-29 13:05:53
ウィトラ様が「スタンドプレー」と書かれていることにはある意味で納得がいきました。それは政府系というよりも、いかにも小池都知事らしいと思えるからです。環状2号線の遅延をフォローするためか、はたまた煙に巻くためかと邪推してしまいます。

自動運転のコアを担うZMP社としては多種多様なデータを大量に取得するには首都圏がうってつけであり、その実績をもって地方に貢献する目算(と経営者が語っておられました)のようです。そして実利的には日の丸交通社で、ある程度の採算が見込めるとの判断ではないでしょうか。

実際の実証実験では、生身の運転手がハンドルに手を添えるように運転席に座っておられました(自分で運転するより神経を使うのは間違いないと思います)ので、「有料」としても仕方ないのかなと思いました。
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自動運転の実態 (ウィトラ)
2018-08-29 13:42:52
お二人は自動運転の現状をあまりご存知ないと感じます。
今回の発表が「無料」であったなら世界中あちこちで既に行われていることの後追いでニュースバリューはありません。「有料」にしたことではじめて「世界初」といえたのです。
それでは技術は有料サービスにできるレベルに成熟しているかといえば全くそうではありません。特定のコースで、ごくわずかな距離を走るだけで有料サービスの名には値しないというのが世間の常識です。今回の発表は「デモ機を体験するのを有料サービスにした」というだけの話であり、実用化に向けたデータ収集にも殆ど役立ちません。
年内に利用リートが大幅に広がらない限り、ただの宣伝だったことが明らかになるでしょう。
私は小池知事よりも政府(内閣府)の意図が働いていると感じています。
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ニュースバリューは当然無いと思います (UCS-301)
2018-08-29 14:58:12
私もウィトラ様と同じく、当然ニュースバリューは無いと思いますが、国内(都内)実施の珍しさに各メディアが飛びついたのだと思います。そして報道を見た視聴者はガッカリしたはずです。

ZMP社と日の丸交通社が申請を行い、認可は国交省、法務省(?)で、東京都(つまり小池知事)が補助金を出しています。内閣府が何らか(一部宣伝など)で関与(利用)しているとは思いますが、主導している感じはしませんでしたが…。
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自動運転 (世田谷の一隅)
2018-08-30 12:50:02
だから公道での自動運転と称するものを、まず始めないことには話にならないと思います。

もちろん、自動運転の実用化に向けては、画像認識、自己位置の検出、周囲の動態物の推移等の技術の壁、人間の心理、法の整備、等、山積です。又、単にその自動車が受信解析する情報だけでなく、周囲の車とのコミュニケーションも大切です。

私は何十年か前に、飛行機同士の衝突防止のためのコミュニケーション通信に少しだけ関わったことがありますが、自動車の衝突防止は、その何万倍もの情報をリアルタイムで処理し、運転操作に反映しなければなりません。しかも操縦する人は、訓練を受けたパイロットではなく、ひょっとしたら機械オンチの人や、運転を始めたばかりの人も対象です。

それでも、皆さんが言う通り、スタンドプレイだとしても、やらないよりはましと私は感じています。

出来る限り小さな事故を沢山経験し、センサの感度と認識技術を向上させ、AIを駆使することで、早い時期に自動運転が浸透する事を期待しています。

行政官庁や都知事の思惑は、この大きな技術の変革、社会生活の影響には殆ど意味がないと思います。とにかく、条件を付けても、公道での実験を開始したことに意味があると思います。これをもっともっと増やすことでより多くの大きな課題が見えてくると感じています。
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マスコミの平常運転… (UCS-301)
2018-08-30 18:05:51
何もしないより実証実験を実施したほうが良いという、世田谷の一隅様のご意見は全くもってその通りだと思います。この機会を利用してできるだけ多くのデータを収集し、大いに役立てて頂きたいものです。そして「行政官庁や都知事の思惑は、この大きな技術の変革、社会生活の影響には殆ど意味がない」と仰ることにも納得で、三本の矢の三本目は行政主導では困難であり、民間次第だと思っております(つまり現状では2本目が大幅に不足ということですが…)。

私が(小池知事の)スタンドプレイだと感じたのは、(今までの彼女の言動を元に)邪推したにすぎません。スタンドプレイに見えたことと実証実験の有効性は、もちろん無関係です。

また、今の内閣府(官邸)がマスコミを利用する場合、産経新聞(乃至、読売新聞)を利用することが多いようです。これは左派系の論調のメディア(”反安倍を決め込んでいる”といっても良い)を出し抜くためですが、今回は違う(内閣府・官邸発信ではない)ように感じました。

ニュースの内容にも増して目立つ報道になったのは、取材力のない旧マスメディアであっても都内での実施のため取材しやすく、「いつものようにマスコミが騒ぎ過ぎた」と考えるのが妥当かなと思っております。
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