真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

HPは hide20.web.fc2.com
ツイッターは HAYASHISYUNREI

欧米主導の世界の終焉?

2024年05月26日 | 国際・政治

 国際社会は、現在、大きく変わろうとしているように思います。その変化を見逃さず、適切に対応することが重要だと思います。政府に追従することなく、言うべきことを言うことが、変化の時代には特に大事だと思います。

 

 そこで、最初に注目するのが、ガザの戦争犯罪の問題です。

 南アフリカが、2014年のガザ紛争におけるイスラエル軍による砲撃により、民間人100人以上が死亡した事件について、イスラエル軍が戦争犯罪を犯したと主張し、国際刑事裁判所(ICCに提訴しました。それを受けて、2024516日から17日にかけて、国際刑事裁判所(ICC)において、この訴訟に関する公聴会が開かれたということです。

 この訴訟は、2014年のガザ紛争における、イスラエル軍のパレスチナ占領地域での軍事作戦に関するものですが、20231017日以降のイスラエルによるガザ民間人殺害にも通じるものだと思います。イスラエル軍が戦争犯罪をくり返しているので、かつて、アパルトヘイトに苦しんだ南アフリカが提訴に踏み切ったのだと思います。

 イスラエルは、ICCの管轄権を否認し、南アフリカによる訴訟の提起自体が、政治的に動機付けされたものであると反論しているようですが、私は、イスラエルが法に基づく議論をしたくないのだと思います。

 また、イスラエルは、自国の軍隊はテロリストに対する正当な防衛を行っており、戦争犯罪を犯していないとも主張しているようですが、病院や学校や難民キャンプを爆撃し、大勢の女性や子どもを殺害した事実は、正当防衛が成立しないことを示していると思います。また、ハマスをテロリストと決めつけて、そこから話をはじめようとしますが、ハマスが組織化された経緯や武装することになった経緯は、無視されてはならないと思います。

 そうしたことを踏まえて、きちんと国際法に基づいて議論すれば、イスラエル軍によるガザでの攻撃が、ジェノサイド(集団殺害)にあたることは、誰にも否定できないことだと思います。

 

 したがって、法に基づいた議論がなされるべきだと思いますが、ICCがイスラエルに対して、本格的に捜査を開始した場合、イスラエルが孤立する可能性が大きく、イスラエルの支援を続けるアメリカが、なんらかの影響力を行使し、この訴訟を進めさせないのではないかと想像します。 

 なぜなら、バイデン大統領が、「言語道断だ」と強く非難する声明を発表し、「イスラエルとハマスが同列だということは全くない」となどと、非常識なことを語っているからです。

 また、ブリンケン米国務長官も、米連邦議会議員らと協力し、ICCに対する「制裁」の可能性について検討すると示唆したとも伝えられているからです。アメリカは、お得意の超法規的措置をとるのではないかと想像します。

 

 また、国際社会では、そうした動きと関連して、見逃せない変化が同時進行しているように思います。その一つが、スペイン、アイルランド、ノルウェーの欧州3カ国が、パレスチナを国家承認すると表明したことです。また、パレスチナとの連帯を呼びかけるデモも、世界中でくり返されており、イスラエルの孤立は、もはや止められない状況ではないかと思います。

 

 アメリカは、パレスチナのガザ地区に救援物資を投下したり、浮き桟橋を設置して救援物資を搬入したり、イスラエルがガザのラファに侵攻すれば武器供与を止めると警告したり、パレスチナ人を襲撃したユダヤ人入植者に制裁を科したりしましたが、それらが目くらましであることを、多くの人は見抜いているように思います。

 3カ国の決定について、ネタニヤフ氏は「テロへの報奨」であり、パレスチナは「10月7日の大虐殺を何度も繰り返そうとするだろう」と述べ、3カ国から大使を呼び戻すとともに、3カ国の駐イスラエル大使を召喚して10月7日のイスラム組織ハマスによる攻撃のビデオを見せたりしたと伝えられていますが、それがイスラエル軍のガザにおけるジェノサイドを否定することには結びつかないと思います。

 また、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が、記者会見で「一方的な承認が、現実の和平プロセスの進展や停戦にどう結びつくのか分からない」と述べ、将来の独立したパレスチナ国家とイスラエルが共存する「2国家解決」を達成する唯一の方法は「当事者間での直接交渉だ」と訴えた

ということですが、現実を直視すれば、当事者間での直接交渉で、「2国家解決」が達成されることがあり得ないことは、誰にでもわかることではないかと思います。だから、そうした発言を踏まえれば、訴訟が法に基づいて進められる可能性はあまりないように思います。

 

 世界情勢で注目すべきもう一つのことは、直接的にはイスラエル・パレスチナ戦争とは関係がないように見えますが、西アフリカの共和制国家ニジェールで、祖国防衛国民評議会(CNSP)によるクーデターがあり、軍事政権を組織したチアニ氏が、アメリカとの軍事協定を破棄し、親ロシア路線に転じる方針を示したということです。

 ニジェールは、かつてフランスの植民地で、独立後も親仏的な政権が続き、フランスとの軍事協定を1977年から2020年にかけて5つ結んだといいます。だから、アルカーイダやISIL(イスラム国)と関連のある勢力に対抗するため10001500人規模のフランス軍部隊が駐留していたといいます。しかし、今回クーデターを引き起こし、政権を掌握した軍事政権は、20238月に対仏軍事協定を破棄したため、フランスのマクロン大統領は、年内に駐留軍を撤退させると表明していたのです。

 そして、アメリカも同国に駐留する米軍を915日までに撤退させることで合意したというのです。ニジェールは米国にとっても、サハラ砂漠南部のサヘル地域のイスラム過激派を監視する重要な拠点だったようですが、クーデター後、軍事政権は米軍撤退を求め、ロシアと接近していたということです。

 報道によれば、マリ、ブルキナファソ、ギニアでクーデタが相次いだ後、ニジェールはこの地域における西側諸国の拠点になっていたということです。欧米主導の世界の終焉が進んでいるように思うのです。

 

 さらに、南太平洋のフランス領ニューカレドニアで、先住民の抗議行動を発端とした「暴動」が続いているという問題です。日本の報道では、破壊された町の様子や、避難する人たちの様子が中心で、ほとんど触れられていませんでしたが、アルジャジーラが伝えた下記の内容は重要だと思います。

 フランスはアゼルバイジャンが暴動を支えているというのです。名指しされたアゼルバイジャンは、フランスによる海外領土での植民地主義や、ナゴルノ・カラバフ戦争におけるフランスのアルメニア支援を非難したというような内容です。先住民の抗議行動を発端とする「暴動」は、単なる「暴動」ではなく、先住民の独立運動であり、東西対立のような側面があることを見逃してはならないと思います。

 それは、イランのニュースサイトの下記の写真や、報道の内容でも明らかだと思います。先住民は、ニューカレドニアのアイデンティティを表す公的なシンボルである旗を掲げて、訴えているのです。

 フランス政府は現地に非常事態宣言を出し、軍や治安部隊を派遣して事態の鎮静化を図っているといいますが、 軍や治安部隊が解決できることではないように思います。

 アメリカを中心とする西側諸国の、植民地主義的な対外施策や外交政策の問題が、世界的規模で告発されているようにも思います。

        New Caledonia unrest due to French policy deadlock: Russia - IRNA English

AzFrance blames Azerbaijan for New Caledonia violence: Unpacking their spaterbaijan previously condemned French colonialism in overseas territories, while has France backed Armenia on Nagorno-Karabakh.”

 

 最後に、日本の問題です。日米地位協定は、第23条で、「日本国及び合衆国は、合衆国軍隊、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族並びにこれらのものの財産の安全を確保するため随時に必要となるべき措置を執ることについて協力するものとする。…」と定めています。この定めがあるために、米軍機が日本国内で墜落した場合、墜落した場所の所有者の承諾なし日本人の土地に立ち入ったり、逆に、日本人の立ち入りや現場検証、調査などを禁止したりすることができるといいます。また、米軍の危険物にも、日本の法が適用されず、火薬の輸送なども、日本はチェックができないというのです。こんな日米地位協定をいつまでも放置すべきではないと思います。だから、日本のメディアのように、自民党政権を批判したり、非難したりしていても、日米関係の見直しにまで踏み込まない限り、日本は変わらないと思います。

 日米関係が変わらなければ岸田政権の非を暴き、岸田政権を倒しても、また、似たような政権が生まれるだけだろうと思うのです。

 下記は、「日米地位協定逐条批判」地位協定研究会著(新日本出版社)から、「四 米軍に対する安全措置」を抜萃しました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

                  4 米軍の優先使用、協力を義務化

                ──第六~八条 十条、二十一~二十三条

 

四 米軍に対する安全措置

 地位協定第23条は、米軍などの安全のための日米協力およびアメリカの財産の安全のための日本側の立法措置などについて規定している。

 日米双方は、米軍隊、軍人、軍属およびその家族、ならびに彼らの財産の安全を確保するため随時、必要となるべき措置をとることについて協力する、とされている。日本政府はその領域において、アメリカの施設・備品・財産、記録および公務上の情報の十分な安全および保護を確保するため、適用されるべき日本国の法令に基づいて犯人を罰するため必要な立法を求め、およ必要なその他の措置を取ることに同意している(第23条)

 これによって、米軍およびその構成員の財産は、それが施設・区域外である場合でも、不可侵の特権が与えられ、そのため住民の安全や権利との調整をはかる合意が、さまざま存在することになる。たとえば、危険物の輸送の場合でも、危険物がアメリカの財産であるため、米軍財産は不可侵であるとする特別な取扱いがされ、火薬輸送については「米軍の火薬類運搬上の措置」が日米合同委員会で合意されている。米軍管理下の火薬の輸送については(日本人が運転する場合も)は火薬取り締まり法が直接適用されない。したがって、火薬取り締まり法により都道府県公安委員会が行える輸送火薬類のチェックができない。

 

 また、米軍機が墜落した場合でも、墜落機が米国の財産であることから特別扱いされる。米軍は、墜落した場所の所有者などの承認を得ずに立ち入ったり、墜落現場について立ち入り禁止措置などをとることができるようになっている。これについては「施設区域外の米軍事故現場における手続きに関する合意事項」があり、次のようにのべている。

 

 「本合意事項は、合衆国軍用機が合衆国軍隊の使用する施設または区域外にあるわが国の財産に墜落した時の緊急事態についての合意であり、……緊急事態で急を要する場合には、あらかじめその場所の管理者の承認を求めるいとまのない場合もあるので、そのような場合に限り、管理者の承認を得ないで米軍の代表が事故現場において緊急措置をとるために立ち入ることができる」(19771013日)衆議院予算委員会)

 さらに、本条に基づいて日本の国内法として、刑事特別法が制定されている。同法は、施設・区域を犯す罪(第二条)。運用物を破壊するなどの罪(第五条)、合衆国軍隊の秘密を犯す罪(第六条)などを定めている(本書2「『排他的使用権』を容認する反国民的規定』参照)。

 以上みたように、日米地位定によって米軍は飛行管制から公共事業などの利用優先権、気象、通信郵便にいたるまで、数かずの特権を保障されている。米軍が日本で横暴をふるうことができるのは、このような法的措置があるからである。日米地位協定および、その関連法令の一切を廃棄しないかぎり、日本国民の安全は保障されない。

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« シオニズムとナチズム NO2 | トップ | イスラエルに対する制裁は? »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

国際・政治」カテゴリの最新記事