他力本願

他力本願

無責任な道ではありません

典籍:「黒谷上人語燈録」「法然上人行状画図」

 　自分のやるべきことを何でも他人に任せてしまうことを他力本願と言います。仏教の修業は、自力・他力・自他力の３種に分けることができます。自力とは、自分で修業して覚えることです。

 　座禅により覚りを得ることがこれに当たります。自他力とは、自分で修業もするが、如来や菩薩などの救いも求めて覚りに至ることです。密教がこれに当たります。

 　さて、他力です。これは、他力本願と同じで、如来や菩薩にすべてを任せてしまい、そこから覚りを得ることです。

 　すべてを阿弥陀如来に任せてしまうという、浄土宗や、浄土真宗の教えがこれに当たります。これは簡単そうに思えますが、意外に実践が難しい教えなのです。

 なぜならそこには自分の意志が微塵もないからです。

　　本当の他力本願とは、如来や菩薩の救いにすべてを委ねてしまうことです。自分の意志や意見は捨てなければなりません。自分という我が一切ないのが、他力本願なのです。

委ねたことにより、どのような苦しみや困難があろうとも、すべて受け入れねばならないのです。

 　自分のやるべきことを他人に任せてしまうのなら、結果はどうあれ文句を付けてはいけません。任せたのは自分自身なのですから、責任は自分にあるのです。

 それが納得できないのなら、人任せになどしないで、自分で行動するべきでしょう。