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ゴーンVS 日産・ルノー最終戦争 9

ゴーンVS日産・ルノー最終戦争

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ガバナンス不全

 日産自動車前会長・カルロス・ゴーン氏の豪邸を購入保有していた会社が、監査の目を逃れるかのように巧妙に連結外しされていたことを連載8回目で述べた。実は会社設立も、連結外しも役員が参加する『経営会議』で提案、承認されていた。

 こうした意味で、コーポレートガバナンスの機能不全が、会社の「私物化」の加速を許した一面がある。4月8日の臨時株主総会でもその点について株主から追及の声が上がった。

「西川広人社長と志賀俊之取締役はゴーン氏の右腕として長く仕えて来たのに、不正に気付かなかったのか」西川氏は『私の先輩からひと言』と言って回答役を咄嗟に志賀氏に振った。

 反省の弁を志賀氏が述べた後、続いて西川氏が『距離感が違う』とあえて付け加えた。志賀氏の方がゴーン氏と近かったことを強調したのだ。なんとなく責任を志賀氏になすりつけているように聞こえた。

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 ここに「ガバナンス不全」の本質的な原因がある。西川氏と志賀氏はともに1953年生まれで、1浪下西川氏が入社年次は1年下。大阪府立大卒で傍流のマリーン事業部に配属された志賀氏に対し、主流派の東大卒で購買畑が長く、社長秘書も務めた西川氏。

 ルノーとの提携前は出世競争で西川氏の方が勝っていたが、提携時にたまたま企画室次長で交渉に少しかかわった志賀氏が逆転し、3年早く役員に昇格した。「それを西川氏が嫉妬したことから二人は犬猿の仲になった」と言われる。

 ゴーン氏はその関係を見抜き、実力者の日本人二人が同調して自分に歯向かってくることはないと高をくくっていただろう。その西川氏が、「今回の不正の背景にはガバナンスの問題がある」と言うのには違和感を覚える。

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新設の議長が榊原定征で機能するのか?

 日産は昨年12月、榊原定征前経団連会長ら外部の有識者を招き、「ガバナンス改善有識者委員会」を設置。今年3月27には同委員会が会長職の廃止や監督機能を強化する為、社外取締役が過半を占める『委員会設置会社』への移行などを提言した。

そして新設の取締役会議長に榊原氏が横滑りで就任するという一部報道がある。

榊原定征(外格22画・総格40画の大凶名)氏と

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いえば経団連会長時代に『自分の考えがほとんどない人。事務局が作成した想定質問を完璧に丸暗記するのが得意なので、操りやすかった』(財界関係者)と言われる。

しかも出身母体である東レは、このご時世にいまだに執行役員制を導入しておらず、監督と執行が分離されていない古い体質。

 

取締役数はトヨタ自動車よりも多く、活発に議論しやすい体制とは到底思えない。

この人事が実現すれば、ガバナンスのあり方を大きく変えなければならない日産にとって、全く似つかわしくない議長なのである。

逆の見方をすれば、当面続く西川体制の意向を忖度するには適任者と言えるだろう。

最終回へ続く

 

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