口惜しい噂（三）

『いい嫁が杉藤に来たと思ってひがんでいたところが、たった１年でその嫁がいなくなったので愉快に思っているのでしょうね？ただねお母さん、いまの杉藤一男さんは家庭を持てないばかりか、何事も中途で挫折する運です。ノイローゼにかかりやすく、健康を害し、肝臓、胆嚢、自律神経、などを冒され、生命力も薄いので、自殺を含む短命運です』。

「どうすれば良いのですか？」

『運気を強くするもうひとつの・かずお・名を持てば、現在と全ての面で正反対の良い結果が出てきますよ』

「たったそれだけで？」

『たったそれだけです。たったそれだけの中に「人の幸否を分かつ要素」が含まれ、表出されてくるのです。またご両親にも家族の縁を持てない運気が有るので、結局のところ、杉籐家三人が撰名を持つ事によって幸せな人生を送っていただければと思います。

具体的に言いますと、「一男」さんは「嘉修【かずお】」と撰名（呼び方を変えないで、使う文字を替え、数字に変化を持たせて運気を強くする方法）することで、一年以内に良い縁談が決まりますよ。ですから「良い方へ変化する」とはそういう事を言うのです』

お母さんは目を丸くして
「今すぐに息子の撰名をお願いします。私と主人のことは、主人に今のお話を報告してからどうするかを決めさせて下さい」・・・四へ続く。