FXと暗号資産(Crypto)とゴールド(金)についての随想です。コメント欄は承認制になっています。
やまはFX・Crypto



G20が近付いて、準備通貨の変更、バスケット制、などという言葉が久しぶりに飛び交っている。国連筋ロシアに続いて、中国銀行の当局者もドルに代わる基軸通貨が必要で、それはSDRを拡張すべきだという発言をしているようだ。中国は、米国債を買い支えると言ったり、はっきりしないが、これが中国流のやり方なのだろう。あちこちで観測気球を打ち上げているものと見られる。中国銀行のサイトにSDR拡張案の原文(英文・ここではGoogle翻訳による日本語訳)があるので参照されたい。

さて、その中国銀行当局者が触れているのが、IMFのSDR(特別引出権)だ。これは一種のバスケット制通貨のようなものだが、通貨そのものではなく、資金をIMFから引き出すことのできる権利として定義されている。実際にはあまり使われておらずいわばお蔵入りの状態だ。しかし、これを拡張すれば、バスケット通貨に成りうるものであり、現在、ひとつの議論の焦点になっている。

現在のSDRは、ドル・ユーロ・ポンド・円のバスケットで値が決められており、その値は、現在1米ドル=0.66SDR、1SDR=1.51米ドルだ。値はいつも、このIMFのサイトで見られる。計算方法は、このサイトの表にあるそれぞれの通貨の基準値をドルに換算し、その合計額が1SDRの値となるということで、バスケットとなっている。したがって、現時点ではきわめてドルの影響力が大きい値となっているので、このままでは使えないだろう。

しかし、バスケットによるバーチャルな通貨というものがどういうものであるかをかいま見る材料にはなる。今後注意してみてゆきたいものである。



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#末尾に公開書簡のURL追加

LEAP/E2020がGEAB33号で予告していた通り、世界の指導者への公開書簡ということで、フィナンシャルタイムズに寄稿することとなった。有料読者への連絡ということで、今朝メールが届いていた。

For this reason, as already announced in GEAB N°33, LEAP/E2020 has decided to write an open letter to the leaders of the G20. Signed by our Director of Research, Franck Biancheri, it will be published in English this Tuesday, March 24th, in the Financial Times (print and global edition).

研究所ディレクターのフランク・ビアンチェリ氏の名前で24日のフィナンシャルタイムズに寄稿される。またネットを使って英語以外の言語10カ国語程度に翻訳されて公開される(日本語版が含まれるかどうかは未調査)。

G20では各国から新通貨システムへの提言も出るようである。ドル基軸体制を守りたい米国・英国・日本・中国と、その他の国との対立というような局面もあるかもしれない。とにかく、期待を持ってG20を見てゆきたい。

#公開書簡がE2020のサイトで公開された。英文版はここである。
また、コメントで、寄稿というよりも広告ではないかという指摘があった。紙面を見ていないので確定はできないが、雰囲気としては広告というニュアンスである。さらに調査したい。


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アメリカの政治家のロン・ポールは日本では知る人ぞ知る存在である。共和党に所属するが、もともと、リバタリアン党に属し、独自の自由主義的政策で知られる。共和党の大統領選挙にも何度も出馬している。また、特にインターネットでの支持率が高いことで有名だ。彼の古くからの主張のひとつは、連邦準備制度の廃止と金本位制度への復帰であるが、これまでは、ある意味、その点については孤独の人だった。いわゆる「陰謀論」の文脈でだけそれが捉えられていたからだ。だが、今は違う。ドル基軸体制を支える連邦準備制度(FRS)自体、そしてそれによるドル基軸通貨体制に今回の問題の根源があったと考える人が増えているからだ。

ロン・ポール自体も最近ではCNNなどのマスコミへの露出度もあがっているが、最近、メジャー中のメジャーマスコミのFT紙(フィナンシャルタイムズ)も彼の説を採りあげた。

Ron Paul: Believer in small government predicts 15-year depression
(ロン・ポール:小さい政府の信奉者、15年にわたる恐慌の持続を予測)

という22日の記事だ。今回の恐慌が、1910年代のものとは比べものにならなく大きなものであり、通貨制度は崩壊し、金が本来の力を発揮するようになるという彼の持論が展開されている。(彼は前述のように金本位制度こそがすぐれた通貨制度であるという意見の持ち主だ。)その主張は、ロン・ポールを知るものには目新しくはないが、フィナンシャルタイムズにこのような説がついに掲載されるようになったかというのは感慨深いものがある。15年という長さもE2020の予測する2014年以後もこの問題は継続するという予測と合致するものであり妥当性はもちろんある。

従来ロン・ポールに興味がなかった方もぜひこの記事(英文)は読んでいただきたい。手短に彼の主張がわかるはずだ。今後アメリカが混乱するにつれて、ロン・ポールの主張はますます輝きを増すだろう。日本の主流マスコミにロン・ポールの名前が出る日も遠くはないと思う。



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