FXと暗号資産(Crypto)とゴールド(金)についての随想です。コメント欄は承認制になっています。
やまはFX・Crypto



週末なので、短期見通しはさて置いて、なぜこんな大きな変動が起きているか考えてみる。今回のドル買いの背景に、金利の先高感があることは疑いない。それで、ここでは、その代表である米国10年国債の超長期金利チャートを見てみよう。このように1980年代以降、それまで10パーセントを超えていた長期金利はずっと下げてきている。この下げトレンドは月足の120ヶ月平均線がレジスタンスとなっている(宮田氏分析)。現在はそのレジスタンスは2.8パーセントにあり、今日は2.34パーセントなのでまだそこには及んでいない。しかし、今の金利上昇がもしそれを超えていくことがあれば、宮田氏の分析のように、この金利低落が反転して、上昇に転じることを意味するかもしれない。この金利チャートのサイクルはごらんのように100年単位であり、もし今がその転機だとしたら、現在の相場は100年単位の相場の転換の初期ということになる。

最近の世界的低金利の原因の少なくとも一部は、ある意味グローバル化が招いたものだ。生産活動のグローバル化により世界的に賃金が平準化し、発展途上国は潤った。しかし、先進国の中間層はそのわりをくったことは否めない。生産物が低価格化して賃金は低下してデフレとなり、生産地が海外に移転し労働の場所はなくなるなど、いいことは無かった。今、Brexitやトランブ現象など、世界的な中間層の反乱による反グローバル化の政治的動きが起きているが、それがもし経済活動、金融情勢に波及していくものとすると、これまでの低金利が反転し、金利上昇へと変わっていく「きっかけ」になる可能性もあるのではないか。

このチャートからわかるように、現在の超低金利は長期サイクルの底付近を意味しているとも見える。とするならば、ここから長期上昇に向かうとすれば、また数十年のうちに、10パーセントにも及ぶような高金利時代がやってくる可能性もある。1980年代は30年前のこととはいえ、そんなに昔でもない。ドル預金が超高金利になる時が数十年でやってくる可能性も考えつつ、今の、大きな動きを見ていきたいと思っている。単にトランブが大統領になって政策が変わるというだけではなく、金利動向の底流に「反グローバル」の世界的流れという文脈があるという仮説を置いてみたい。

(付記)今朝の朝日デジタルを見ていたら、イアン・ブレマーのインタビュー記事があった。中で印象的だった言葉を引用する。

「20年後に世界史の本を書くなら、「パックス・アメリカーナ(米国の力による平和)」は1945年に始まり、2016年の米大統領選で終わったと記されるでしょう。トランプ氏の勝利は、世界貿易やグローバル化という価値を守ることへの米国民の関心を著しく低下させました。「米国第一主義」は、米国が同盟国への支援を継続しないことを意味します。新しい秩序が訪れようとしています。」

この1945年から2016年が、この長期金利チャートの一山と一致するのはおそらく偶然ではないだろう。次の一山(が来るとして、それ)を作る主体が何かはまだわかっていない。




コメント ( 13 ) | Trackback ( )



« ドル円110円突破 地震で押し目か »
 
コメント
 
 
 
多局化? (まさ)
2016-11-19 12:22:25
興味深い記事ありがとうございます。
下記、田中宇さんは、随分前から「アメリカ一極から多局化の秩序に移行する」と主張していました。
ご参考までに。
https://tanakanews.com/
 
 
 
Unknown (やまは)
2016-11-19 12:58:27
まささん

ありがとうございます。田中氏の前からの多極化論は納得できる部分もあります。前から読んでいます。

今回、反グローバライゼーションという形で、かえって多極化が実現するという、ある意味、矛盾したような事態が生じているのが興味深いです。たしかに従来のグローバライゼーションは、米英の一極支配という枠組みの中で進んできたことですからね。


 
 
 
Unknown (えふ。)
2016-11-19 18:53:38
こんにちわ。ある書籍によると、過去の世界の覇権が交代する最終局面では、覇権国の長期金利が上昇するという現象が見られたそうです。イタリア・オランダ・英国の過去の覇権国でも同様な事が起きてるようです。つまり、現在のドル高は、アメリカの世界支配終焉の象徴ですね。
 
 
 
Unknown (GTR NISMO 納車待ち)
2016-11-19 20:21:40
パックス・アメリカーナ・・・懐かしい響きです。87年卒論のテーマでした。

トランプのオハイオ当確が濃くなってきた102.50アラウンドで保有していた101円台のロング300枚ほどやむなく不本意な利食い。。。ドテンショート200枚。
その後、101.20からフリーフォールに至るかと思いきや、1-2分踏みとどまっていたのと、3時に財務省・日銀・金融庁の緊急会合が先んじて報じられていたので、戻りを狙って目をつむってのドテンすけべロング、ストリーミング2回叩きましたが約定不成立。3回目で超幸運にも101.214で200枚ロング約定、利用している旧短資系業者の当日オファー最安値でした。
現在100.533/100枚、100.752/50枚、101.214/200枚で、ロング継続中です。(全体のポジ量は減少しましたが、やむなし)

ドル円上昇の3つの経験則を、既知かもですが、ご紹介します。


大統領選後の円安ドル高(1996年から直近5回、2008年は例外)
選挙後6-14ヶ月で、「平均17円」の円安ドル高進行。(2008年は6ヶ月経過後ほぼ同値)
今回にあてはめたなら、101.20+17=「118.20のポテンシャル有」


米利上げ局面での円安ドル高(過去25年で4回の経験則)
その全てで初利上げ開始後、6ヶ月程度は円高ドル安推移しボトム、その後1-2年円安ドル高進行
その全てで初利上げ開始時のレートを円安ドル高で更新。
つまり、今回の利上げ局面では、122.21を高値更新する。
値幅平均は・・・
利上げ開始時点からの平均としては「18円」よって122.21+18=「140.21のポテンシャル有」
利上げ後出尽くし下落したボトムからの平均としては「34.5円」よって99+34.5=「133.5のポテンシャル有」


消費増税(2019年10月)に向けての円安ドル高(過去3回の経験則)
過去2回は消費増税開始月より20%円安ドル高進行
過去1回は消費増税開始月より10%円高ドル安進行し、反転、25%の円安ドル高進行

2019年10月時点のレートは当然ながら不明ですが・・・(上昇率20%として)
もし100円なら 100+20=120
もし110円なら 110+22=132
もし120円なら 120+24=144
もし130円なら 130+26=156
もし140円なら 140+28=168
もし150円なら 150+30=180

こんな思惑で、ポジションは長期保有です W
但し、レーガノミクスの再来で、NEWプラザ有だと思っています。
 
 
 
Unknown (やまは)
2016-11-19 21:07:24
まじめなエントリーを作ると、いろいろと情報を寄せて下さる方があるのがありがたいですね。

えふ。さん

なるほどそういう法則というか、傾向もあるのですね。調べて見ます。

GTR NISMO・・さん

いつもコメントありがとうございます。たしかにあの瞬間の値動きは面白かったです。で、様々な傾向を教えていただきありがとうございます。知らないのもありました。読者のみなさんにも大変に参考になることかと思います。
 
 
 
Unknown (jobim)
2016-11-19 22:43:22
読み応えの有る記事ありがとうございます。


レイ ダリオ氏も「30数年に及ぶ国債バブルがはじけて
これからさらに長期金利はあがる』と言っておりましたので
ついて行くしかないと思ってます。

ただ、株についてはどこかで大きな冷やし玉が入ると
思ってますので、そのとき為替がどう反応するか
きになるところです。



 
 
 
Unknown (cap)
2016-11-20 02:20:03
おひさしぶりです。
アメリカのインフレサイクルが約60年なので次の金利の天井は2040年頃になると思っています。インフレ初動は景気悪くないので期待してます。
あとは中国かブラジルあたりで本物のバブルが10年以内には来るかなってとこですかね。これも期待できます。
 
 
 
真面目な話 (stein)
2016-11-20 09:21:31
やまはさん

お早うございます。

世界覇権という観点から見ると、大体、百年が一つの目安なのでしょうか。

第一次世界大戦以降、百年はパックスアメリカーナの時代。

しかし、ドル高にも関わらず、思ったほどゴールドが下がっていない。

あとは米国債10年債の値動き、これが全てじゃないかな。
 
 
 
Unknown (やまは)
2016-11-20 09:39:42
Jobimさん

そうですね。金利が基本とすると、そのおおきな波動の中で、株価や為替がフラクタル的、ランダムウォーク的に動く感じですね。^^ もし金利上昇が続くなら当然反動としての株価下落局面もありうるので慎重に対処していきたいです。

capさん

お久しぶりです。確かに、昔から言われるように、インフレサイクルも同じようなパターンですね。60年と言えば、コンドラチェフサイクルですから、それで、物価・長期金利が連動し、そこに主権国サイクルが重なるという見方はかなり妥当性があると思われます。

Steinさん

そうですね。より広く見ると英国から米国への交代は第一次大戦から起きているとも見えます。現在は、広義には、欧州からアジアへの覇権の移動中という見方は可能かと思います。とすれば、日本も捨てたものではないかもしれません。
ゴールドが下がらないのは、先々のインフレが見えているせいではないでしょうか?
 
 
 
Unknown (やまは)
2016-11-20 21:37:40
月曜日からの相場については特に新材料も意見もありません。18日の分のそのまま(まずは112円くらいまで行く?)です。
 
 
 
US政策金利200年のチャート (ブルベア)
2016-11-22 06:15:27
やはまさん、お久しぶりです。
いや、目の付け所が鋭すぎる!!
というか先ほどこの記事を目にしたんですよ。
US政策金利200年のチャート
http://www.cnbc.com/2016/11/17/200-years-of-us-interest-rates-on-one-chart.html

政策金利ってなっていますがUST10年債と見立ててもまあ一緒でしょう。誤差のある時期がありますが25年から35年で大トレンドの転換があるようです。

前回底打ち→天井35年(1946-1981)
今回天井→底打ち?現時点で35年(1981-2016?)

7月にイールドの底を打って反転しだしていましたが、大統領選挙日から凄まじい勢いで売られています(イールド上昇)。

次期大統領の政策は何か?また彼は米国債についてどんな発言をしたかここにいる皆さんなら覚えておられるでしょう。

ついでにこんな記事も。
http://www.cnbc.com/2016/11/09/us-deficit-will-surpass-20-trillion-in-under-two-months-with-trump-marc-faber.html

所謂陰謀論という分野で、擦りすぎたUSTを中国がもう買わないといって暴落するという手垢のついた説がありますが、自分は正直何言ってんだと馬鹿にしていましたが今はそれが近い将来に≪本当に起こると確信しています!!≫

私が馬鹿にした方々本当にごめんなさい。完全に宗旨替えです(笑)

今はそれでも「マイルドな」金利上昇に留まっています。だからUSDもダウ・S&Pも上がって貴金属が売られている訳です。

しかし、その大転換が本格的に始まったのなら・・・

ここの皆さんはもうお気づきでしょう。

2012-16までの間に底値でしこしこゴールド現物買いした方々、おめでとうございます!!
 
 
 
Unknown (やまは)
2016-11-22 07:06:29
ブルベアさん

お久しぶりです。これは長い期間の金利チャートありがとうございます。なるほど、これはちゃんと波動を捉えてますね。

米国債金利上昇=売られる、が悪い形で起きる可能性もある可能性、確かにあるのかもしれません。そちらも考えつつ見ていきたいですね。ありがとうございます。
 
 
 
最近 (stein)
2016-11-22 07:36:18
やまはさん

関係ない話で恐縮ですが、最近、酒類を買いますという看板が増えていないでしょうか?

インフレの先にあるものはバーターなのでしょうか。

戦時中、ウィスキーが貴重品だったという話を思い出しました。
 
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。