今回の危機を早くから警告してきたフランスのシンクタンクであるLEAP/E2020の月報最新号32号(英文要旨)が出た。
今回は2009年の4半期から起きる世界の地政学的な大きな変化を述べ、2009年夏に予期されるドル資産の崩壊(米国のデフォルト)によって全世界が不安定になり、現在のIMF等の体制が働かなくなること、世界の各地域の利害がバラバラになってそれぞれが勝手に行動し始めることなどを論じている。
購読している有料版32号の方では、最後に今後への備えが書いてあるが、その内容は興味深い。地政学的な不安定さのため、一部の国や地域で暴動による戦火が起きる可能性があり、それは、食料等のインフラがたたれるための争乱のような形となる。主要国の中では、アメリカだけがその可能性があるとするが、すでに現在の段階で、銃規制のゆるい州から、銃規制のきびしい州への市民の移動が始まっており、また、一部の富裕層は、危険を避けるためヨーロッパへの移住を始めていることをLEAP/E2020ではつかんでいるとする。
また、それ以外の国や地域でも、一時的なライフラインの切断に備え、食料や水の備蓄をするように勧めている。
さらに、(これが特に日本では重要であるが)ドルの崩壊によって他の通貨への信頼性が損なわれるため(インフレになるという意味であろう)、ユーロ・円・元経済圏であっても、資産の3割を貴金属(金・銀・プラチナ等)の現物にするか、その他流動性の高い資産にするように勧めている。また、貴金属を銀行に保管してはいけないとする。また、その他、銀行の勧めるような金融商品にはいっさい手を出さず、極力流動性の高い形で資産を置くように勧めている。
今までも金の購入を勧めるサイトなどで上のようなことは言われているが、このLEAP/E2020がここまで踏み込んだ記述をするのは初めてである。前にも書いたように、このシンクタンクが8割の的中率を誇ることは無視すべきではない。十分に各種の情報を得て対策をしておくことが望ましいだろう。個人的には金融資産の1割程度はすでに金の現物(金地金)を購入しているが、さらに増やす予定である。これはいざという時に使うことを予期しているので、100g以上の大きさだけでなく、5グラムや10グラムという小さなものも用意しておくのがいいと考えている。
| Trackback ( )
|
|
|
|
|
|