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澁澤龍彦「悪魔のいる文学史 神秘家と狂詩人」

2005-05-16 | Weblog
くたくたに疲れて帰って来たので、ヒーリングにブラームスのヴァイオリンソナタ「雨の歌」を。ヴァイオリンはパールマン、ピアノはバレンボイム。シカゴでの1989年のライブ。この1楽章が大好きです。

なのに紹介する本が「澁澤龍彦」。最近、ちょくちょく読んでます。全集が安く出ないかな。澁澤といえばいわずとしてれたサド侯爵を日本に紹介したフランス文学者。本書は19世紀から20世紀初期における「小ロマン派」といわれたフランスの過激小説家達の紹介です。悪魔学やら錬金術などの隠秘学に加えて、暴力主義や過激な共和主義を題材にし、その狂気と絶望に身を投じ破滅していった無名の小説家たちの人生が語られています。私としてはこういう人たちの作品を読んでみたいというよりは、彼等を歴史の闇から掘り起こした澁澤龍彦の行動力と半端じゃない知識量、それに加えて彼の冷徹な分析力と語り口に引き込まれました。澁澤文学といえば、サド侯爵研究もの以外にも「エロス的人間」とか「少女コレクション序説」とか題だけ眺めるとただの「倒錯」系のような作品がたくさんありますが、中身は至って冷静であくまで学問的な客観的な視点で書いています。ここが三島由紀夫とは反対のところ。澁澤の「三島由紀夫おぼえがき」はそんなクールな澁澤から観察した三島が書かれていて興味深い作品でした(2人は友人でしたが)。
ちなみに高校生の頃読んだ澁澤の「快楽主義の哲学」は私の人生に大きな影響を与えた一冊でした。

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