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ついに幻の奇書「柳生石舟斎」が刊行された!

2022-05-06 | Weblog
 三省堂本店が建替えのため今週で閉店され仮店舗へと移転する。本店を初めて訪れたのは中学生の頃だったはすだ。それ以来30年以上に渡ってお世話になってきた。フロアの雰囲気に慣れ親しみすぎていたので、これでお別れかと思うと仕方はないが非常に寂しい。
 先週買い物に行ったとき、サービスカウンターの横の紹介棚に驚くべき書籍が並んでいた。

「柳生石舟斎 五味康祐」




 これは…五味康祐氏の最大のヒット作にして未完の大作「柳生武芸帳」の正当な続編であるのに、いまだ一度も書籍化されていない「柳生石舟斎」なのではないか!柳生石舟斎は週刊新潮で連載されていたのだが、その時代にはそぐわない表現や内容が多かったため、ついに文庫化はされなかったと言われている。私は五味氏のファンであり、柳生武芸帳はノートを作るくらいに読み込んでいる武芸帳フリークでもある。この幻の続編「柳生石舟斎」を読むことは長年の夢であり、何とか読むために国会図書館で当時の週刊新潮を順に借り出して、読破しようとさえ考えていたくらいである。それが製本されて4巻並べられているではないか。どういうことだ!
 出版したのは捕物出版という出版社で、大量流通が敵わない時代小説を受注生産している会社とのことだ。柳生石舟斎は昨年末から順次刊行しており、製本の受注書店に三省堂も入っていることから、製本した少量部数を店頭でも販売していたようだ。捕物出版の皆さん、本当にありがとうございます。
 一巻1900円と値段も妥当だし、ここで逃すと次に買えるのはいつかわからないので(資本主義の豚の強迫観念)、即決で全巻手に入れた。最近色々と趣味関係で漁にでることがあるが、思いがけない大当たりで飛びあからんばかりだった。これは三省堂本店の最後の贈り物と思っている次第。
 さて柳生石舟斎の内容であるが、一巻目冒頭からこれは文庫化できないだろうな!という内容(大変おもしろい)。ざっと一巻を斜め読みすると、柳生十兵衛、柳生宗矩、柳生兵庫介、山田浮月齋、霞兄弟、宮本武蔵などのメインキャラは、引き続き出ている。冒頭だけでも五味氏独特の文体と博学強覧に圧倒される限りだ。最後に武芸帳の謎は解けるのか?題名となった石舟斎はどこで出てくるのか?分量も多いので当分楽しめそうである。

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