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太宰と三島の邂逅のドラマ宣伝が酷すぎる

2024-06-24 | Weblog
最近少し三島由紀夫のこと調べてたら即座にYoutubeが反応して(怖いねえ)、下のような動画を紹介してきた。太宰のドラマみたいで三島由紀夫と飲み会で出会う「有名な」シーンだ。太宰が小栗旬という100%真逆の人間(マッチョ)が演じているだけで激しくゲンナリだし、叫んでいる三島由紀夫も視野の狭い堅物青年にしか描かれていない。三島由紀夫って美輪明宏とかとつるんでいたんだぜ。
三島が太宰に「私はあなたの文学嫌いです」と放ち、それに対して太宰が「とはいってもここに来てるんだから好きなんだろ(または、嫌いなら来なけりゃいいじゃないか)」と応えたというのは、もはや伝説の域で本当のところはわからないが、三島由紀夫自身の回顧録では「昭和22年1月ごろ(正確には前年の12月14日らしい)にうなぎ屋の二階の12畳ほどの座敷に暗い電灯のなか大勢の人が居並んでいた」とある。周囲の人たちの回想でもこれに似たことを言っている。そういう情報では三島は太宰の前に座っていたらしい。個人的な想像なのだが、太宰を中心とした飲み会に三島はそれなりに期待して参加したのだが(三島由紀夫は紹介状を大事にするなど、なかなか根回し上手な人)、不器用でおべんちゃら的なことはうまく言えない三島は、先にした質問(森鴎外について)を太宰にはぐらかされたので、イラッとして口をついて「お前嫌い」を言ってしまったのだと思います。太宰と三島って金持ちという出自も同じだし、戦争に行かなかったというコンプレックスも抱えていて同属なんですよ(三島自身、後になって太宰は似ているから嫌い、似ているから怖いと明言しているぐらい、そして才能はたいへん認めている)
2人の邂逅についてこういったイメージを持っていた私には、戦後とは思えないハイカラなワイン居酒屋みたいなところで、テーブルに座って女を侍らせてガヤガヤ飲んでる太宰や(太宰は編集者にタカって飲んでいたのは有名だが)、後ろの方の席から突然立ち上がって演説みたいに「あなたが嫌いです!」と叫ぶ三島の演出はが全くの想像外でゲンナリしたのですよ。TVドラマだから正確に再現する必要はないのだが、いちおう時代の雰囲気とかもあるんだよ。さらには、「本当に人の前で死ぬ覚悟はあるのですか!」と三島が太宰につめよって、太宰が自分で自分の頸を締めて死んで見せようとするところとか、もう原作レイプならず偉人レイプだよ。太宰がそんな大仰な真似するかよ。演出や役者は「太宰」というテーマで文芸っぽいことやってるつもりなんだろうけど、もう少し何とかして欲しいと思いました。個人的な感想です。

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