Wilhelm-Wilhelm Mk2

B級SFからクラシック音楽まで何でもあり

高速徒然:フォルトナー、タシュナ-

2024-07-11 | Weblog
高速徒然
・N響を久しぶりに生で聞く:N響というよりI・ファウストを聞きにいったがシェーンベルクが難しくて疲れた。奏者が高い技量とセンスを持つ人であることはうわさ通りだった。シューベルトの5番は好きな人も多いようだが、私には何度聞いても(弾いても)心に響かない曲の一つ。要はつまらないということ。演奏もいまいちだった。
・蝉丸:坊主めくりの坊主ってだけでよくは知らなかった。出生も不詳(皇子だとも乞食だとも)で確実な作品も数作。有名なのは逢坂の関のもの(百人一首)
・中島敦:青空文庫で読んでいる。今のブーム。中央アジアを舞台とした「狐憑」は恐ろしい話だった。中島敦は食人の話が多い。「悟浄出世」は名作だと思った。三蔵法師に出合う前の沙悟浄がブッダのごとく多くの修行者や先生に教えを乞い、そのためにさらに悩むというもの。登場人物(修行者)も魅力的でこれはもう一度精読したい。今は「盈虚(えいきょ)」を読んでいる。春秋戦国時代のある王の栄枯盛衰の話。古代らしい話。旧字が多いのでそのあたりの復習(思い出し)にもなっている。
・フォルトナ―のヴァイオリン協奏曲:フォルトナ―は20世紀前半のドイツの作曲家で、フルトヴェングラーがゲルハルト・タシュナーをソリストにヴァイオリン協奏曲をライブ録音している。この録音は、いわゆる「ソ連からの返還テープ」によって存在が発覚した録音で、今となっては何種類も市販されている。このマイナーな録音を久しぶりに「真面目」に聞いたが、いやはや想像以上に面白い曲だ。ストラヴィンスキーとヒンデミットとバルトークを混ぜだような感じか(失礼な言い回しだが)。歌いまわすところにギュルギュルな早回しもありと高度なテクニックを要求するように聞こえる。弾いたタシュナ-は19歳にてフルヴェンがベルリンフィルのコンマスにスカウトした天才で、英語版のWikiにはシベリウス自身にシベコンのテンポについて意見したり、カラヤンと喧嘩したりと、かなり自我が強い人だったようだ。そのタシュナ-に献呈された本曲だが、ざっと調べてもタシュナ-以外の録音が見つからない(タシュナ-は数種の録音を残している)。本曲は現在のバイオリン奏者のレパートリーに入っていてもおかしくないレベルの曲だと思うのだが、タシュナー以外の誰も弾かないのはなぜだろうか?私の探し方のせいかもしれないが・・・。

フォルトナ―とは別にゲアハルト・タシュナーを知れたのも良かった。他の演奏録音も買ってみよう。最近、再び「古代の凄腕奏者」に興味が向いている。タシュナーはフバイとフーベルマンに師事し、10歳にしてワインガルトナー指揮でメンコンを弾き、19歳でフルヴェンに見出されてベルリンフィルのコンマスとなる、戦後は西ドイツで活動したが、早くに体を痛めて指導者になった。妻がピアニストで夫婦での録音もある。ギーゼキングとの録音も多い。正直、同時代のメニューインなどと対等にわたりあえる技量と音楽性をもつ奏者だと思った。

こちらはヨッフムとの録音、フルヴェン版よりこちらのほうがクリア(当たり前か)
Fortner "Violin Concerto" Gerhard Taschner


コメントを投稿