Wilhelm-Wilhelm Mk2

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N響を聴く

2007-09-30 | Weblog
 小雨の中、突然思い立って渋谷で定期を聴いてきた。プログラムは典型的なドイツプロ。R・シュトラウスのティル、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲「トルコ風」、ブラームス1番交響曲。指揮はハンガリー出身でイスラエルに移住したモーシェ・アツモン。当初の指揮者が来られず代打の人らしいが、知らない指揮者だった。ドラティの弟子で、都響の首席や名フィルの常任などをしており、日本では結構知名度のある人らしい。スラッとした長身で、今年で74才というが、大股で颯爽と入場してきた姿はもっと若く感じた。さて演奏だが、冒頭のティルが一番よかった。各パートにソロが沢山ある難何曲なのに、コンマス(篠崎氏)のソロも含めどれも秀逸だった。アシュケナージで聴いたN響の印象が非常に悪かったのだが、さすがN響、やればできるか?と思い直した。モーツァルトのソリストは、セルゲイ・クリーロフという年齢不詳の男性であった。見た目は若い。遠くまで響く音でなかなか聴かせてくれた。解釈とか感じさせない美音派で私は好きだ。ただ、この「トルコ風」協奏曲は長くて非常に退屈な曲だ。CDで聴いても、いつも寝てしまう。生演奏を聴いて、今日こそ克服しようと思ったが無理だった。プログラムでこの曲の成立を読んだが、モーツァルトが19歳のときの作品らしい。最後のヴァイオリン協奏曲だからといって別に晩年の作品ということでもないらしい。ピアノ協奏曲や交響曲に比べてつまらないのは仕方がないことなのか。このソリストに対する拍手は大きく、何度もステージに引っ張りだされていた。ソロ曲でもアンコールで弾いてくれればよかったのだが。ブロンフマンやマイスキーとトリオを組んでいたいるするので、有名な若手なのかもしれない。覚えておこう。さて、メインのブラームスだが、なんだか緊張が一気にほどけてしまったような締まりのない演奏だった。曲をよく知っているからかも知れないが、まず全体的に迫力に欠けているように感じた。弱音の美しさがなく、ダイナミックスの幅に欠ける。バスの低音もいつもより弱いように思った。最終楽章のコーダは、安易な加速をせず粘って進んでいく指揮に対して、日頃の癖で前へ前へと行ってしまうオケが微妙にかみ合わず、なし崩し的に終わったのように思う。連続公演の2日目なのだから、もう少し全体がまとまっても良かったのではないかと思う。しかし、コンマスのソロは美しかったし、チェロもよかった。木管ではクラリネットが群を抜いて素晴らしい。ブラームスのクラリネットは詩情にあふれていて好きだ。そして、オーボエの首席は、いつもの通り下手なイタリアオペラ歌手のようで一人浮いていた。なんとかならないものか。
当日券の自由席で聴いたが、全体としては1500円なら十分おつりのくる演奏会だった思う。またN響通いも再会したいと思う。

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