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人形劇:新三銃士・・三谷って

2009-10-08 | Weblog
 人形劇「三国志」は大好きでした。全話観たはずです。関羽の亡霊が怖かった。同じ時間帯の裏番組に、ローラーヒーロー「ムテキング」をやっていたはず・・そしてそのムテキングの変身の音楽は、チャイコのピアノ協奏曲の冒頭だったなあ・・と連想回想。ムテキングの敵はクロダコブラザーズだったっけ・・・。

 さて、私が「三銃士」の熱烈なファンであることは、過去にもこのブログに書いたかと思います。まあ例に漏れず、三銃士に対しても原作至上主義でありまして、アニメ版やら映画は全否定の立場です。というわけで、今回の人形劇も既にアウトなのですが、野次馬根性で公式サイトを覗いてみましたよ。まず監督が「三谷幸喜」ってところが爆弾ですね・・・・。嫌いなんだよな・・・あの「私って面白い人なんですよ」オーラを出しまくってるところがね。(実際はすんげえ寒いのに)。三銃士のシビアな場面とか、色気のある箇所とかを全部「温いお笑い」に変換してしまうのでしょうか。
 登場人物説明に並べられていた人形の出来は秀逸だと思いました。声を揃えないと最終評価はできませんが、それなりに登場人物の性格に沿った造形になっているように思います。この辺りは数々の人形劇で経験を重ねているNHK制作陣、さすがです。相関図を眺めると、思った以上に原作に忠実に見えます・・が、すぐにとんでもない脚色を確認・・・。「ブランシェ=猿」・・・!!!おい!
 ブランシェはダルタニャンの従僕なのですが、当然人間です。銃士は貴族しかなれないので、必ず従者がつきます。この従者が主人の性格も反映してなかなか個性豊かであり、主人の耳目となって個別に活躍することも多く、それも「三銃士」の魅力なのですよ。アトスにはグリモー、アラミスにはバザン、ポルトスにはムクストンという従者がいるのですが、これらも「猿」なんでしょうか?もしかして出番なし?ちなみにブランシェは「三銃士」後に出世して確か軍隊の士官になるはずです(「鉄仮面」時は士官だったはず)。それが猿だなんて・・・酷い設定です。舐めてんのか?おい?
 各個人の設定も嘘八百ですね・・・。ダルタニャンの父はロシュフォールに殺されてませんよ。ロシュフォールはダルタニャンの紹介状を盗むだけです。そもそも父親は「三銃士」には登場しないし。トレヴィルの友人だったということで息子に紹介状を持たせてやるだけです。アトスに愛嬌がある・・どちらかというとアトスは皮肉屋というか世捨て人なんだがな。ポルトスは女にもてるだと・・・確かに派手好きで見栄っ張りだけど、原作では代訴人の妻(老女)と不倫してた。女性(それも高貴な)と色々と浮き名を流していたのはアラミス。実はアラミスは三銃士の中で一番の曲者で、三銃士の最後の話(鉄仮面)では、カルトの教祖となって国家転覆の陰謀を企て、かつ三銃士の中で唯一生き残ります。腕に血管が浮くのさえ気にするような超ナルシストで、ちょっとしたことで赤面したり激高したりする安定感のないキャラでした(「三銃士」ではそれほどでもないが、その後の話では豹変する)。ルイ13世も愚王の設定になっている・・・息子14世の絶対王政の足がかりを作ったのはこの人なのだが。作品中でもリシュリューに国政を任せていながらも最高権力者としえの権威を示す場面が多く出てきます。それにリシュリューが王妃アンヌとバッキンガム侯爵を敵視するのは、個人的な嫉妬と対イギリス工作の一貫であって・・・・

と書いていたらキリがないです。

 大人の対応をすると、これはあくまで「新」三銃士であり人形劇なのだから、新しい1つの作品として観ればいいのですが、どうもそこまで素直に自分を切り替えられない・・・。前半は原作に沿うが後半からは独自ストーリーになるらしく、三谷脚本だとぐずぐずになって収集不能になるのではと危惧してます。三谷幸喜には大河「新撰組」とか「竜馬におまかせ」という前科があるし。まあ心配する義理もないのだけど、これまで映像化されてきた三銃士はどれも酷い代物だったので、この人形劇もその1つになるのではないかと思っています。せめてNHK人形劇の歴史を傷つける作品にならないように・・・爆笑問題が絡んでくるってのも心配ですね。