トシの読書日記

読書備忘録

昭和の畳の香り

2011-04-28 13:40:32 | は行の作家
ポプラ社百年文庫「畳」読了



本屋へ行っては少しづつ買っている百年文庫です。この「畳」と題された作品集は、林芙美子、獅子文六、山川方夫の三氏の短篇から成っております。



どの作家も有名なのに、実は自分は読むのは初めてなのであります。今まで、いかに現代文学ばかり読みあさってきたかということの証左に他なりません。お恥ずかしい限りです。



さて、この3人の作品を読んでみたんですが、林芙美子の「馬乃文章」、獅子文六の「ある結婚式」、この二つは、ちょっとぴんときませんでしたねぇ。やっぱりこの二人は、もっと有名な長編を読むべきだと、逆に教えられた気がします。(それもあって、林芙美子の「放浪記」を買ったわけですが)


そして山川方夫の「軍国歌謡集」。これは短篇といってもちょっと長めの作品になっていますが、これがなかなか面白かった。


ふとしたことで知り合った男と意気投合し、彼の下宿に居候することになった「私」。その下宿の前の通りから毎晩のように若い女が、軍歌を歌いながら通り過ぎていく。その女をめぐって「私」と友人との思いが、いろいろに交錯するわけです。後半部分など、少しドラマティックに作りすぎた感は否めないものの、「私」の「愛」に対する絶望と羨望が見事に描かれています。佳作でした。




ポプラ社の百年文庫、なかなか捨てたもんじゃないですねぇ。また書店へ行ったら見てみようと思います.

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