トシの読書日記

読書備忘録

犯人は誰だ!?

2009-05-27 16:52:14 | た行の作家
筒井康隆「恐怖」読了


書棚を見ていて、これ、どんな話だっけ?と取り出して再読してみました。


恐怖という感情を、推理小説仕立ての形で筒井康隆流の突き詰め方をした、興味深い1冊でした。でも、あの名著「ダンシング・ヴァニティ」には及ぶべくもありませんでした。



「恐怖」とは、筒井に言わせると…(本文より、主人公の独白)「恐怖という本能があるからこそ、地球上の動物乃至人類はここまで生き延びてきたのであって、もしなければ恐怖の所以である天災や外敵によってたやすく死滅していたであろう。豪胆な者や無謀な者ほど死に至る確率が高いことから考えるならばこれを自然淘汰と見ることができ、恐怖することのできる者、言い換えれば臆病者と言われる者こそが今後も生き延びていくに相応しい知的な人間であり、そうした遺伝子をより高い水準で保持しているに違いないのである。」


もう笑っちゃいました(笑)自分が臆病者であるということを、ここまで屁理屈をこねて正当化しようというこのいさぎの悪さ!(笑)ほんと、筒井康隆はおもしろい!また新刊を出してほしいもんです。

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