トシの読書日記

読書備忘録

自らを哀れむ心

2009-05-22 13:49:16 | さ行の作家
白石一文「この世の全部を敵に回して」読了


今まで同作家の小説を何冊か読んできて思ったのは、小説ではなく、哲学書というか、評論を書いたらいいのに…ということだったんですが、それがありました。本書です。

白石一文、この1冊で言いたいことは全て著してしまったのではないのでしょうか。もう何も書かなくていいと思います(笑)


自分が日頃考えていることとかなりシンクロする部分があり、興味深く読むことができました。まぁ同調するところもあったり、「?」と思うところもあったんですが、テーマは、ずばり「死」です。


一般に「死」というものについて考える場合、死んでしまえば何も残らない、「無」であるという考え方と、肉体は滅びるが意識(魂)は永遠に残るという人もいます。これはどうなんでしょう。私は前者の考え方に与するものでありますが、白石氏は「永遠の魂論」を理解できると言っています。でも、これは確かめようがない、難しい問題だと思います。


後半では、殺人という罪について著者の見解が述べられています。殺人を犯した人が、精神的に疾患があると鑑定された場合、その犯人は無罪になるということの理不尽さ、その加害者に殺された被害者の遺族が報復のために殺傷した場合、普通に処罰されることの矛盾…  このあたりは同感できる部分はありました。


また著者は、最後に「愛」についていろいろ述べています。愛とは特別なものではない、愛に種類も区別もないと。憐憫と哀れみの感情、それが愛であり、それが「この世界に仕込まれた憎むべきプログラム─―貧困、暴力、戦争、迫害、差別、狂信などを無力化できる。」と言っています。


どうなんでしょう。なかなか難しい問題です。

結論めいたことを書いたんですが、うーん…と考え直して一旦削除しました(笑)


ちょっとゆっくり考えてみます。出かける時間なので(苦笑)

コメントを投稿