トシの読書日記

読書備忘録

伝記作家の矜持

2010-08-09 17:00:43 | ま行の作家
スティーヴン・ミルハウザー著 岸本佐知子訳「エドウィン・マルハウス」読了



この本を読み終えるのに、えらく時間がかかりました。2週間くらいかかったでしょうか。単行本で401項と、そこそこの長編ではありますが、普段の自分ならそれでも4~5日くらいで読了すると思うんですが、まぁいろいろとありまして。


前回、「三つの小さな王国」でミルハウザー熱がますます高まり、一度長編をと手に取ってはみたんですが、本作品に関しては今ひとつの感を否めません。

もちろん、ミルハウザー流の精緻な描写も随所に見られ、というか、もう精緻な描写だらけで、そこは唸るところなんですが、ちょっと冗長の印象を免れません。


まぁでもこの設定のユニークさ!11歳の若さで死んだ(なんと自殺です!)子供の伝記を、同じ11歳の親友が書くという、ちょっと普通の人では考えもつかないような小説です。


そして死んでしまったエドウィン・マルハウスが残した「まんが」という小説が世に出てこれが大評判になるという(ここの部分はほとんど描かれてませんが)、えらく風変わりな内容であります。ミルハウザーの真骨頂といえばそうなんですがね。


長い日数をかけて読んだせいか、全体がなんだかぼやけた感じで、自分の中では本書はそれほど良い出来とは思えませんでした。ちょっとだけ残念です。

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