トシの読書日記

読書備忘録

あからさまに書くという行為

2020-04-14 14:57:24 | ま行の作家

牧野信一「父を売る子/心象風景」読了



本書は1993年に講談社文芸文庫より発刊されたものです。大正から昭和にかけて文芸誌に掲載されたものを収録した短編集です。


いやぁしんどかったですね。ただでさえ読書力が落ちているというのに、こんな暗い私小説を読まされる羽目になるとは(と言いながら自分で選んだんですが)。とにかくつらく修行のような280項でした。全部で12編が収められているんですが、最後の2編はとうとう読めず、挫折致しました。まぁ6分の5を読んだんでよしとしましょう。


代表作といわれる「父を売る子」「熱海へ」などは牧野信一の父の行状、父との交流などが描かれているんですが、かなりあけすけな内容になっていて、それを書いたことを作中に書き、それを妻にとがめられるという、ちょっと私小説ならではの読みどころもあるんですが、自分の琴線にはふれてこなかったですね。残念でした。


仕事帰りに聞くNHKの「ラジオ深夜便」のコーナーで「絶望名言」というのがあって、それを担当している頭木弘樹(かしらぎ ひろき)という人が、この牧野信一という小説家の話をしていて、それで興味が湧いて買ってみたのでした。


いつも行く近くのバー(といっても最近は例の騒ぎで足が遠のいていますが)のマスター(といっても自分の息子の中学の同級生ですが)と最近、読書力が落ちているという話をしたら、今までに読んで面白かった本、わくわくした本を再読してみたらどうかと提案してくれました。かつての自分の中の名作を再読することは今までちょいちょいやってたんですが、それ、ここ最近、ちょっと忘れてましたね。


彼の提案に従って、そのへんから少しリハビリしてみようかしらんと思っております。

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