トシの読書日記

読書備忘録

末期の眼

2013-02-05 15:24:46 | は行の作家
古井由吉「木犀の日――自選短編集」読了


以前読んだ阿部公彦の「小説的思考のススメ」で、この作家の「妻隠(つまごみ)」をテキストにあげていたので、読みたいと思っていたのですが、なかなかこの作品が収められている本が見つからず、代わりといってはなんですが、この短編集を買ってみました。


はっきり言ってめちゃくちゃ難しいです。非常に読みにくい。いかにもピースの又吉が好みそうな作家です。雰囲気とか描く世界は伝わってきて、それは決してきらいなものではないのですが、内容がなかなか頭に入ってきません。全部で10の短編が収められていて、「椋鳥」、「眉雨」あたりが特に難解でありました。


しかし、最初にあった「先導獣の話」、これはなかなかに面白かった。都会の雑踏、朝の改札の人ごみの中で、群衆がパニックに陥るところを想像する。何があっても我関せずといった態度で素知らぬ顔で行き過ぎる人々。そこに起こる突然のパニック。都会の群衆の空気が一変する瞬間。想像すると面白いです。

閑話休題

先日、いつも飲みに行くバーで、たまたま隣にすわった人と話していたら、なんと、中島義道を何冊も読んだということで、意気投合してしまいました。その人に教えてもらった、マイケル・サンデルという人の本が面白いよとのことで、さっそく買って読んでみようと思っております。


クリムト展を見たあと、丸善へ寄って以下の本を購入


マイケル・サンデル著 鬼澤忍訳「これからの『正義』の話をしよう」
幸田文「黒い裾」
多和田葉子「飛魂」
田中慎弥「実験」
武田泰淳「ニセ札つかいの手記」

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