トシの読書日記

読書備忘録

捨て身とひらき直りの日々

2009-05-29 17:15:54 | な行の作家
西村賢太「どうで死ぬ身の一踊り」読了


以前読んだ「小銭をかぞえる」が本書の続編ということで、その時は確か、車谷長吉になりそこねたつまらない作品とかなんとか書いたと思うんですが、何故か気になってまた買ってしまった次第。


大正時代の無頼派作家藤沢清造に心酔し、その全集を自費で刊行しようとする男の話なんですが、これだけなら別にどうということもないんですが、その男(筆者自身です)の性格というのが、超のつく短気で、一緒に暮らしている女にちょっとでも不満があると暴力を振るうんですね。で、それが度重なって、さすがにその女も嫌気がさして実家に逃げ帰るんですが、そうすると男は、もう、一人でいることが淋しくてたまらず、女のところに何度も電話をかけ、平身低頭謝り、女もそれを見て情にほだされ、またよりを戻すんですが、また暴力を振るわれ、その繰り返しという、なんともやり切れない話です。


「私小説」というとちょっときこえはいいんですが、ちょっとねぇ…(笑)



西村賢太、もう多分読むことはないでしょう。

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