野坂昭如「とむらい師たち―野坂昭如ベストコレクション」読了
本書は今年6月に河出文庫より発刊されました。初出はもちろんもっと古く、昭和40年の前半くらいに文芸誌に掲載されたものを集めた短編集です。
あまりにも有名な「火垂るの墓」を自分はへそ曲がりの性格ゆえ、読んでないので、それと本編とを比べることはできないんですが、しかしなんというか、凄まじいですね。戦争末期から戦後のどさくさの中で生きる市井の人々の姿が赤裸々に描かれています。
中でも「死児を育てる」という作品には少なからぬショックを受けました。自分の飢餓のために幼い妹を見殺しにした経験が、後の彼女の人生を狂わせることになるわけですが、なんともやりきれない思いに囚われました。
亡くなった今でもやはり、野坂昭如、忘れてはならない作家の一人です。
それにしても本書の解説、これはどうなんでしょうねぇ。自分は本編でうなり、解説でうなりたいんですが、なんというか、筆力がまるでない。こんな程度の解説なら自分でも書けそうです。ちなみに東山彰良(作家)とのことです。
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