ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

つまらない

2017年12月15日 | 仕事

   長い一週間が終わりました。
 やっと週末。
 少しほっとしますが、年末の忙しさは来週以降も続きます。
 食うためとはいえ、サラリーマンなんてつまらないものだと感じます。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

都市伝説 長身の怪人

2017年12月13日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

  昨夜はDVDを鑑賞しました。

 「都市伝説 長身の怪人」です。 

都市伝説:長身の怪人 [DVD]
アレクサンドラ・ブレッケンリッジ,ダグ・ジョーンズ,ジェイク・マクドーマン,クリス・マークエット,アレクサンドラ・ホールデン
アメイジングD.C.



 記者の女とカメラマンの男。
 ある差し押さえられた家で、ビデオテープを見つけます。
 そこには、黒いスーツを着た長身の男に怯える家族の姿が写っています。
 そして、突然体に焼印のように現れる丸に十字のマーク。

 やがて、記者の女とカメラマンの男もビデオテープに映った黒いスーツの男に狙われていることに気付きます。
 パニックに陥りつつ、差し押さえられた家の住人の行方を追います。

 結果は恐るべきものでした。

 長身の男、不思議なことにカメラを通してしか見ることができません。
 肉眼では、見えないのです。

 そのせいか、カメラを通して見る、いわゆるP.O.Vの手法を取っています。
 
 P.O.V、以前はフェイク・ドキュメンタリーと言われていましたが、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の大ヒット以来量産され、少々食傷気味です。

ブレア・ウィッチ・プロジェクト デラックス版 [DVD]
ヘザー・ドナヒュー
クロックワークス

 「パラノーマル・アクティビティ」シリーズなどはその代表格でしょうね。
 たしか5作くらい作られていたように覚えています。
 全部観たのですが、記憶が曖昧になってしまいました。

パラノーマル・アクティビティ [DVD]
ケイティ・フェザーストーン,ミカ・スロート
ワーナー・ホーム・ビデオ

 で、「長身の怪人」

 あまり動きがなく、テンポが遅いことにイライラさせられます。
 題材は悪くないのでしょうが、見せ方が下手だと感じました。


にほんブログ村


オカルト・ホラーランキング


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グリーンルーム

2017年12月12日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 昨夜はDVDでアクション・スリラーを鑑賞しました。

 「グリーンルーム」です。

 グリーンルームとは楽屋のこと。

 売れないパンクバンドが仕事を紹介され、はるばる森の中の会場へ訪れてみると、そこはネオナチの巣窟。
 彼らを挑発するように、ナチ・パンク、ぶっ殺すと絶叫調で歌いだすと、ビール瓶を投げつけられたりします。
 で、楽屋に戻ると、なぜかナイフで頭を刺された女の死体が横たわっています。
 パンクバンドは警察に通報しようとしますが、携帯をネオナチに取り上げられてしまいます。
 ネオナチはこの殺人事件を闇に葬ろうと考えており、目撃者であるパンクバンドを全員殺害しようと決意。
 楽屋に閉じこもり、なんとか生き残ろうと画策しますが、ネオナチの攻撃にさらされ・・・、というお話。

グリーンルーム [DVD]
アントン・イェルチン,イモージェン・プーツ,パトリック・スチュワート,メイコン・ブレア
Happinet

 

グリーンルーム [Blu-ray]
アントン・イェルチン,イモージェン・プーツ,パトリック・スチュワート,メイコン・ブレア
Happinet

 

 暗い画面、荒涼とした雰囲気はなかなかよろしい。

 銃やナイフ、猟犬などでパンクバンドを襲うネオナチですが、なんだかへなちょこです。
 パンクバンドの反撃のほうが怖ろしかったりします。

 暴力を描くという意味ではまずまずですが、なんとなく感情移入できません。

 ネオナチにもパンクバンドにも縁がないせいでしょうか?

 映画に入り込めませんでした。

 残念。

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村


映画ランキング


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「画壇の悪魔派」と呼ばれた日本画家

2017年12月11日 | 美術

 今日は年休。
 今日を含め、年休があと3日残っていますので、年内に使いきらなくてはなりません。

 昨日は千葉市美術館に出かけました。

 「北野恒富ー画壇の悪魔派と呼ばれた日本画家ー」展を観るためです。



 明治から昭和初期にかけて活躍した美人画家で、京都の上村松園、東京の鏑木清方と並び称せられる、大阪の大家です。

 印象としては、美人画がまるで幽霊画のように見える作品が多いこと。

 特に能の「班女」を題材にした「狂女」という作品は衝撃的で、小一時間もその絵の前に立ち尽くし、呆然と眺めていました。
 おかげで疲れてしまい、他の絵をじっくり観る気が失せてしまいました。

 「班女」は、恋しい男が扇を置いてこなくなってしまった遊女が、扇ばかりを見つめ、狂ったようになってしまう物語で、「狂女」からは狂おしいまでの男を思う女の気持ちがあふれ出て、私を圧倒しました。

 疲れましたが、疲れる美術展というのは良い展覧会なのだと思います。
 疲れるほどに絵画鑑賞に熱中できた、ということですから。


にほんブログ村


芸術・人文ランキング


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

内科そして精神科、間に千葉をふらふら

2017年12月10日 | 散歩・旅行

 昨日は4ヶ月に一度の血液検査のため、朝一番で内科に行きました。
 家族性の高コレステロールのため、血液検査は欠かせません。

 8時半から診察開始なのですが、冬は内科が非常に混むため、8時には到着。

 我が家から徒歩でわずか5分ほどの距離なので、楽なものです。

 一番乗りだろうと自信を持って行ったのですが、クリニックに入って見ると、すでに4人、待っている人がいました。

 冬なんですねぇ。

 採血を終え、クリニックのすぐ近くにあるマックで朝食。

 帰宅して朝湯につかったら、なんだか眠くなってしまい、午前中はほとんでリビングでお日様にあたりながら眠って過ごしました。

 お昼は我が家の目の前にあるイタリアンでパスタとサラダと珈琲。

 16時半から月に一度の精神科の診察を予約していたのですが、晴れていたので少し散歩しようと、14時には千葉駅近くの駐車場に着きました。

 私が定期的に通院している内科・眼科・歯科は徒歩5分圏内にあるのですが、精神科だけは近所になくて、千葉駅近くまで行かなければなりません。
 それでも車で15分ほどと、そう遠くはありません。

 で、千葉の繁華街をふらふら。

 京成千葉中央駅横のホテルには、大きなクリスマスツリーが飾られていました。



 異教の祭りを祝う気はさらさらありませんが、見事なものです。

 毎月薬をもらうために精神科の診察を受けていますが、自覚的には完治しているので、とくに話すこともありません。

 調子が良い日々が続いていることを報告し、すると精神科医は嬉しそうに「良かったですねぇ」と応え、少し世間話をするだけ、というのがもう何年も続いています。

 ほとんど儀式のようなものです。

 薬も、症状がひどい時の五分の一くらいに減りました。

 ただし、双極性障害というのはうつ病と違い、薬を飲み続けなければほぼ確実に再発するそうなので、再発防止のため、精神科通いを止めるわけにはいきません。

 面倒ですが仕方ありません。

 晩は鯛の刺身と〆鯖で一杯やりました。

 良い土曜日を過ごせたと思います。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本必敗

2017年12月08日 | 社会・政治

   今日は12月8日。
 終戦の日の8月15日のように騒がれることはありませんが、忘れてはならない日です。
 太平洋戦争開戦の日。

 降伏を決めるよりも、開戦を決意するほうが重いような気がします。

 開戦を間近にひかえ、総力戦研究所という機関が立ち上げられ、中堅どころの役人や軍人、民間人などが、模擬内閣を作って机上演習を行っています。
 その報告書は驚くべきものです。

 開戦後、緒戦の勝利は見込まれるが、その後の推移は長期戦必至であり、その負担に日本の国力は耐えられない。戦争終末期にはソ連の参戦もあり、敗北は避けられない。ゆえに戦争は不可能、という「日本必敗」、でした。

 これは、ほぼ実際の戦争の推移を言い当てています。
 気持ち悪いほど正確な未来予測です。
 さすがに原爆の投下までは予測していませんが。

 これに対し、東条英機は、机上演習に過ぎず、実際の戦争はそういうものではない、事実、誰が日露戦争の勝利を予想し得たか、と、一蹴し、この結果を口外してはならない、と釘を刺しています。

 すでに過去を知っている現在の目から見れば、恐るべき正確さと冷静さで導き出された報告だということが分かりますが、報告書が出された時点ではあくまで未来予想。
 これに反発したくなる気持ちも分かります。

 ヒトラーはわが国と軍事同盟を結んだ際、我々は3千年間、外国との戦争に負けたことが無い国と手を結んだ!、と狂喜した、と伝えられます。
 そのくらいですから、本邦の軍人や国民が、日本は戦争に負けることはない、と信じていたとしても不思議ではありません。

 開戦のちょっと前に、冷静に、日本は必ず敗れる、という結論を導き出し、それを政府首脳に報告するのは、勇気が要ったでしょうね。
 しかし少なくとも、わが国が狂気に駆られて戦争に突き進んでいったわけではない、ということの傍証にはなるでしょう。

 必ず負ける、という報告を受けながら、それを口外するなと命令し、戦争に突き進んでいったという過去を、肝に銘じなければなりません。
 今後訪れるであろう戦争の危機を回避するための教訓になるでしょうから。

昭和16年夏の敗戦 (中公文庫)
猪瀬 直樹
中央公論新社


 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

土の中の子供

2017年12月08日 | 文学

 昨夜は中村文則の「土の中の子供」という小説を読みました。

土の中の子供 (新潮文庫)
中村 文則
新潮社

 芥川賞受賞作で、その後は大活躍している作家ですが、読むのは初めてです。

 主人公である「私」と暴力をめぐる物語ですが、近代以降の、わが国の、いわゆる「純文学」の悪い伝統を引きずっているように感じました。
 「私」が、延々と暗くて絶望的な物語を語る、と言う。

 「私」は子供の頃親に捨てられ、遠戚の夫婦に引き取られますが、激しい虐待にあい、そのことが「私」の精神をゆがませています。
 山中に埋められる、という生きるか死ぬかの経験まで積んでいます。

 その後施設に引き取られ、遠戚の夫婦は逮捕されてしまいます。

 陰鬱で悲惨な一人語りが続きます。

 正直、共感できません。

 しかし、読み進むうち、これは再生と希望を描こうとしているのではないか、と気づかされます。

 20代の「私」はタクシードライバーとして生計を立てていますが、暴走族を挑発してボコボコにされるなど、やたらと恐怖体験を求めます。
 不思議なことに、そこに、一種の希望が見えてきます。

 私が望んでいたのは、克服だったのではないだろうか。自分に根付いていた恐怖を克服するために、他人が見れば眉をひそめるような方法ではあったが、恐怖をつくり出してそれを乗り越えようとした、私なりの抵抗だったのではないだろうか。

 という文章は印象的で、「私」が再生を試みていることを示唆しています。

 ラストに至って、実父が会いたいと言ってきたのを断るのですが、そこに、おのれ一人で立つ、という覚悟が感じられます。

 全体の印象としては、私の好むタイプの小説ではありません。
 私は不幸自慢や貧乏自慢のような小説が大嫌いですから。

 しかし、なんとなく、この作者は多くの引き出しをもっているのではないかと感じました。
 それはその後の活躍を知っているから、ということもありますが、どこかカフカ的な、不条理を感じたせいかもしれません。

 ミステリー仕立ての小説も書いているようですから、もう少し、食わず嫌いをしないで読んでみようかと思っています。

 この手の作品でデビューして、後に豊かな物語作家になった小説家もいますから。


にほんブログ村


本・書籍ランキング


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

飛ぶ夢を見たくて

2017年12月07日 | 文学

   師走を迎えたせいか、このところ忙しい日々が続いています。
 仕事中も、なんだかイライラしています。

 そのせいか、仕事をほっぽりだして、どこかへ消えたいなどと、実現不可能な夢を見ます。

 折りも折り、先般45歳以上の職員全員に早期退職を促すメールが人事担当部署から届きました。
 人件費の高い中高年の職員には早く辞めてほしいようです。
 しかし、少々退職金が上乗せされたところで、それだけで一生食っていけるわけもありません。
 手を挙げたいと思いながら、ぐっと堪えています。

 私は、どこかへ飛んで行きたいのでしょうか。

 飛ぶ夢を 見たくて 夜の金魚たち

 という俳句がありましたっけ。
 黛まどかの句で、「聖夜の朝」という句集に載っていたように覚えています。

聖夜の朝 (講談社文庫)
黛 まどか
講談社


 一生を狭い水槽で過ごす金魚たち。
 その金魚たちですら、いやだからこそ、飛ぶ夢でも見て慰めを得たいのでしょうか。

 私は悲しいかな飛ぶ夢をみたことがありません。
 せめて夢の中ででも、浮世のよしなし事を忘れて、自由に羽ばたいてみたいものです。

 
にほんブログ村


人気ブログランキング


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バイバイマン

2017年12月06日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 昨夜はDVDでホラーの新作を鑑賞しました。

 「バイバイマン」です。 

バイバイマン [DVD]
ダグラス・スミス,ダグ・ジョーンズ,キャリー=アン・モス,フェイ・ダナウェイ,リー・ワネル
アメイジングD.C.

 タイトルはやや滑稽ですが、バイバイマンという名前を知っただけで、取り憑かれ、幻覚や幻聴を見た挙句に殺人を犯し、ついには自らも死に到る、という最強のシチュエーションを作り出した快作です。

 Jホラーの金字塔、「リング」ですら、貞子という名前を知っただけでは何も起こらず、呪いのビデオを見なければ悲劇は起こりません。

リング [DVD]
鈴木光司,原正人,高橋洋
ポニーキャニオン

 

リング (Blu-ray)
松嶋菜々子,真田広之,中谷美紀,竹内結子,佐藤仁美
ポニーキャニオン

 しかし今作では一度でもその名前を聞くなり読むなりしたら、もう終りなのです。

 寮を出て、ある一軒家を借りてルームシェアをすることになった3人の大学生。
 構成は、恋人同士の二人と、その親友の男です。

 その家に残されたナイトテーブルの引き出しに残されたメモから、バイバイマンという名前を知ってしまう3人。

 そしてバイバイマンの謎を解くために依頼した霊媒体質の女子大生、過去のバイバイマンに関する文献を探そうとしてその存在を教えてしまった図書館司書の5人が、悲劇にあいます。

 バイバイマンという存在が何者であるか明かされないまま、非常に緊迫感のある映像と、役者達の名演が、観る者に非常な恐怖を感じさせます。



 上の予告編でも分かるとおり、

 Don't think it, don't say it
 (考えるな、言うな) 


 という言葉が、バイバイマンの存在を知ってしまい、その呪縛から逃れようとするための呪文のように繰り返され、耳から離れません。

 そして悲劇の第2幕を予感させて、映画は終わります。

 非常によく出来たホラー映画だと思います。

 そして、繰り返しになりますが、名前を知っただけで悲劇から逃れられない、という発想が、この映画に新鮮味を与えていると思います。

 是非ご覧ください。 


オカルト・ホラーランキング


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

会議は長い

2017年12月05日 | 仕事

  今日は午前中、会議でした。
 9時半から12時半まで。

 疲れました。

 明日は都内のホテルで学界の重鎮を集めた会議です。
 また長くなるんでしょうねぇ。

 学術行政の世界は、小泉改革以降、ほとんど無駄と思えるような会議や書類作成で手いっぱいです。
 少なくもわが業界では、改革という名の改悪でしかありませんでした。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

追われる

2017年12月04日 | 文学

  師走も4日目を迎えました。
 今のところ寒さはそれほどでもありませんが、なぜか気が急く月ですね。 

 うしろから 追はるゝやうな 師走哉

 正岡子規の句です。
 師走の慌ただしい感じがストレートに表現されています。

子規句集 (岩波文庫)
高浜 虚子
岩波書店

 今上陛下のご退位が再来年の4月末と決定し、平成の御世も残りわずかとなりました。
 そのことも、なんとなく気持ちが焦る要因になっているのかもしれませんね。

 私は昭和44年の生まれ。
 平成の御世が始まった時、大学生でした。
 世はバブルのまっただ中。
 私はバブルに浮かれる人々を、冷ややかに見ていました。

 その後バブルの反動か、20年以上に及ぶ冬の時代が続いています。
 最近は景気が良いと聞きますが、給料が上がらないのでそんな実感はありません。

 次の元号がどんなものになるのかはまだ分かりませんが、3つの時代を生きることになるのは間違いなさそうです。
 もしかしたら、4つの時代になるかもしれませんね。
 皇太子殿下は私より年上ですし。

 なんだか無駄に歳月を過ごしてきたような気がします。
 目の前の為すべきことを、ただ機械的に為してきただけのような。

 多分これからもそうなんでしょうね。
 ていうか、人間が生きるということはそうしたことなのでしょう。
 生きるため、つまらぬことでも為さねばならぬのですから。

 あぁ、わけもなく気が急きます。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Nのために

2017年12月02日 | 文学

  今日は静かに読書をして過ごしました。
 
 湊なかえの「Nのために」を読みました。
 知りませんでしたが、ドラマ化もされているんですね。

Nのために (双葉文庫)
湊 かなえ
双葉社

 

【Amazon.co.jp限定】Nのために DVD-BOX(コースターセット付)
榮倉奈々,山本剛義,阿南昭宏
TCエンタテインメント

 高級高層マンションで、夫婦が殺されます。
 その現場に居合わせた人たちが、それぞれ一人称で事件について語る、という構成になっています。

 第一章では、警察の質問に答える形で、それぞれの証言の食い違いはありません。

 しかし第二章以降、現場に居合わせた者たちが、真相を語りだしたとき、警察に話した内容とは全く異なる事件の全容が明らかになります。
 一人称ですから、当然、主観で語られます。
 そうなると、同じ事件が異なった様相を呈します。

 ちょうど、芥川龍之介の「藪の中」のように。

藪の中 (講談社文庫)
芥川 龍之介
講談社

 それぞれの生い立ちなども判明し、読後感の悪い作品になっています。

 Nとは、登場人物6人全員を指しています。
 6人ともが、苗字か名前のイニシャルがNなのです。

 それぞれが、自分とは違うNのために、時は嘘をつき、時には自分をだます。

 人間とは救いがたいものだと感じさせられます。

 この作者の作品が大体そうであるように、後味の悪さが快感になるような気分を覚えます。


にほんブログ村


本・書籍ランキング


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

人間以上

2017年12月02日 | 思想・学問

  五千円札で知られる新渡戸稲造。
 彼がクリスチャンであったことは有名ですが、神秘主義的な側面を強く持っていたことはあまり知られていないのではないでしょうか。

 彼がキリスト教に入信したころ、神というものをどう捉えればよいのか悩んだと伝えられますが、神の存在と霊魂の不滅であるが、この事は唯信ずべきものにして、二十年考えても、二千年考えても、解することのできぬものである」というキリスト教神秘主義の言葉に出会い、悩みは氷解したそうです。

 イワシの頭も信心から、と言いますから、信じるほかない、と達観したんでしょうかねぇ。

 また、彼はキリスト教神秘主義と東洋思想との一致を見出し「必ずしも神と限るものではない。仏教の世尊でも、阿弥陀でもよい、神道の八百万の神でも差支えない。(中略)ただ人間以上のものがある。そのあるものと関係を結ぶことを考えれば、それでよいのである」と述べています。

 そして彼は、亡くなった祖父の伝言を仲介者と称する巫女から聞いたり、交霊会に出たりして、神秘主義的な傾向を強めていきます。
 ついには、神の証としての光・声・言葉を見たり聞いたりすることが出来たと言います。

 後には、小宇宙(人間)と大宇宙(神)と一体化することができる、と説いています。

 とかく教育者として、また国際連盟次長として、あるいは英語で書かれた「武士道」の著者としての活躍が喧伝されますが、新渡戸稲造という人の心中深くには、上のような神秘主義的考えがあったと思いをはせることには、意義があると思います。

武士道 (岩波文庫 青118-1)
矢内原忠雄訳,矢内原 忠雄
岩波書店

 神秘思想というのは、なぜか教育者と相性が良いようで、ルドルフ・シュタイナーなども、神秘思想家としての側面よりも、教育者として知られていますね。

神秘学概論 (ちくま学芸文庫)
Rudolf Steiner,高橋 巖
筑摩書房

 

子どもの教育 (シュタイナーコレクション)
Rudolf Steiner,高橋 巌
筑摩書房

   私自身は、神秘主義思想に魅かれながら、神秘体験はありません。

 私はクリスチャンではありませんので、神との合一を求めることはありません。

 しかし、新渡戸稲造も、神でも世尊でも阿弥陀でも八百万の神々でもよいと言っているわけですし、何か偉大なもの、別に名前なんてどうでもよいので、その偉大な存在を直観できればと、強く願います。
 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする