昨夜は吉田修一の「湖の女たち」という小説を読みました。
吉田修一といえば、芥川賞受賞作「パーク・ライフ」が非常に印象に残っていますが、なぜかその後この作者の小説を読むことはありませんでした。
この小説、文庫本で400頁足らずですが、とにかく登場人物が多い。
あまりにも多いので、相関図のような物を作ってしまいました。
そうでないと混乱するからです。
この小説では湖と言えば琵琶湖と戦前の満州国に作られた人造湖、平房湖を指しています。
琵琶湖のほとりに建つ老人ホームでの事件とも事故ともつかない老人の死から物語は始まります。
真相を追う刑事と施設で働く介護師との異常な性的関係、平房湖で起きた少年と少女の死、それらが複雑に絡み合って、ついには老人の死は731部隊の蛮行にまで繋がっていることが示唆されます。
しかし、全ては示唆であって、真実とも虚構とも語られません。
複雑な物語で、しかも読後感は最悪。
嫌な気分にさせらてしまい、しかも逆説的ですが、それが心地よいあたり、いわゆるイヤミスに近いのかもしれません。