先ほど、最近お気に入りのねほりんぱほりんというNHKの番組を録画で観ました。
先般は、港区わがままOLをツイッター上で演じる田舎暮らしの女性が紹介されていましたが、今回はネトゲ廃人です。
テレビに登場した30代半ばの男性、一日20時間以上ネットゲームをし続ける、という暮らしを15年も続けているそうです。
何百万人もが楽しむゲームで、全国1位になったことがきっかけで止められなくなったとか。
過去には付き合った女性もいたようですが、あまりにゲームばかりしている男に嫌気がさし、離れて行ったそうです。
そして彼は、将来は子供が欲しいなんて言いながら、未だ童貞だそうです。
田んぼの中の一軒屋に住み、日夜ゲームをする日々。
収入はゲーム攻略サイトの運営のみだそうで、どうにか暮らしていけるだけは稼いでいるとかで、何にでも需要があるのだなと、感心しました。
多分人並み外れた知力と集中力、それに体力の持ち主なんだろうと思います。
そうでなければ、1日3時間程度の睡眠で、ひたすらゲームをやり続けるなんてことは不可能でしょう。
本人は体力の衰えは感じ始めているようで、出来るだけ長くゲーム廃人、そしてゲーム王の暮らしを続けたいと言っていますが、いずれそれが出来なくなることを自覚しているあたり、常識はあるのかな、とも思います。
私は何かに熱中するあまり、ついには破滅していく、という物語を、過去にいくつか書きました。
それはひとえに、人間の精神の運動が向かう先を示してみたい、と思ったからです。
精神の運動。
それこそが人を人たらしめるものであり、それがゆえ、人に成功をもたらしたり、破滅に導いたりする所以のものです。
ネットゲームの廃人であることを誇りに思う、と語る30代半ばの男。
私はそこに、人間精神の運動がもたらす栄光と悲哀をみずにいられません。
世の中でくだらないと思われていることに熱中し、溺れ、破滅に向かう姿の中にこそ、精神の運動は純粋さを保ち、一種の美を生み出すに違いないと思います。
向かう先はなるべくくだらないものであることが、美と悲哀を生み出す条件にちがいありません。
そういう意味で、ネトゲ廃人、短い物語の主人公にして、小さな物語を紡いでみたくなりました。