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ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

幻の猫、ついに姿を撮える!

2015-09-25 09:23:55 | 暮らし

 この春のこと、ご近所の雌猫が我が家の小屋に入り込んできた。中二階の物置台に上がって、どうやら住み着く様相だ。時折、降りて外を徘徊しては、必ず戻ってくる。なんだ?なんだ?どうしたんだ?そんなに住み心地がいいのか?と不審に思っていたら、子猫の鳴き声が聞こえだした。そうか、そうか、安心して出産、子育てができる場所を探してたってことか。このまま住み着くつもりか?そいつは厄介だなぁ。まぁ、ネズミを追い払ってくれるのはありがたいけど、米とかも置いてあることだし、中二階が子猫たちのうんち場になるのもやりきれない。以前母屋の中二階が占領されて、床一面の糞を撒き散らかされ難儀したことがあった。徹底清掃はしたものの、なにか糞便由来のちりや微少生物が充満している感じがぬぐえず、未だにアンタッチャブルなエリアとして不気味な存在感を保っている。

 だいたい、こちらの了解も得ず勝手に入り込むという了見も、ずいぶんと横着で、親しみがわかない。まっ、小屋は産院代わり、無事出産すれば飼い主のもとに戻っていくだろう。とこうするうちに、どうやら生まれたようで、子猫たちのちょこまかと動き回る気配が伝わってくるようになった。そっと脚立を立ててのぞき込んで見ると、いるいる、黒白の縞が一匹、トラが一匹、白地に黄トラが2匹、積み上げた段ボールの陰からこちらを窺っている。と、その瞬間、ささっと段ボールの裏深く隠れてしたまった。

 母親は、わざわざ他家に短期移住して出産するところを見ると、飼い主からは厚遇されてはいないようで、恵まれない境遇の故か、図々しさと警戒心がない交ぜになった嫌な性格な猫だ。もちろん、器量も悪い。それでも、母親としての勤めはしっかり果たし、定期的に出歩いてはエサを求め、戻ってきては乳を与えしてほぼ1ヶ月、子猫たち無難に育ち、動きも大胆になって、自分たちで柱をつたって階下まで降りてきたりするようになった。そして、数日後、猫一族は姿を消した。そうだな、それがいいんだよ。

 ところが、彼らが去って数日、またもや子猫の声が聞こえてきた。しかも、今度は、明らかに母親を捜し求める悲痛な叫びだ。あ~ぁ、一匹置いてきぼりくったんだな。どじなヤツっちゃ。母さんも、早く迎えにきてやればいいのに。きっと心配して探してるんじゃないか?ところが、母猫はさっぱり戻ってこない。近くで行き会っても、迷い子を必死で探し続けているそぶりなどまるで見えない。おいおい、一匹足りないだろ、中二階に残ってるゾ!っと話しかけたところで、さっぱり聞く耳を持たず、澄ました顔で行ってしまった。お、おい、冷たいヤツだなぁ!

 なるほど動物の子育てってこういう面もあるんだ。産んだ子供、全部を全部育てなくたって、数匹がしっかり跡継ぎしてくれれば、種を保つ目的は達せられるってことなのか。そのあまりのあっけなさ、拍子抜けしてしまった。

 さて、残された一匹だ。母親から見捨てられ、忘れられた黄トラだ。このまま居着いたところで、乳はもらえず、エサはなし、飢え死にして遺体が転がるなんて事態はどうしても避けたい。こいつだって、なんとか母親の元にたどり着きたいことだろう。たとえ、見捨てた薄情な親だとしても。よし、救い出して母親の元に連れて行ってやるからな。そっと中二階に上がり、子猫の隙を見て捕まえようと試みた。これがその後の不幸の始まりだ。恐慌をきたした子猫は、無我夢中で逃げ回り、とうとう冷蔵庫の裏に飛び込んでしまった。人間に対する絶対的な不信感を身体全体に染み込ませて。

 それから数ヶ月。子猫は母親を慕って、放浪の旅に、・・・出たりはしないんだなぁ。こんなにも恐ろしい思いをした小屋からはさっさと退立ち去る、・・こともなく、今度は、一階の片隅戸棚の奥深くを居と定め、物陰から虎視眈々と人間の挙動を窺っている。時折、秘密の住み家から抜け出しては、庭のあちこちを素早く駆け抜けたりしているが、あまりの素早さに姿をしっかりとらえることもできないほどだ。近くを通る母親がいても、ついていったりはしない。見捨てられた者として、一人生き抜くことを覚悟した、したたかな孤児となった。なつく様子はさらさらない。レベル10の警戒心を保ったまま、少しずつ少しずつ成長を続けている。

 食い物はどうしてる?それは、我が家が与えている。一日一回、牛乳とご飯の余りを近くにそっと置く。むろん、感謝して出てくることもなければ、おねだりの甘え声を上げることもない。給餌係が立ち去るのを、物陰からじっと窺いつつ、待っている。このどこまでもひねくれてしまった子猫、その半身を初めてカメラが納めた。

 その瞬間、気付いたあやつは、さっと身を翻し、草の中に消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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まずは豊作?今年の米作り

2015-09-24 08:31:22 | 農業

 稲刈りの話題が続く。他に書くことないからだろ?まっ、それもないわけじゃないけど、やっぱ米の出来について報告しておかにゃいかんじゃないか。

 8月初旬の分茎の時点にゃ、こりゃとれるぞ!これまで一二を争う豊作になるんじゃないか?特にコシヒカリは。内心期待するところ大だった。例年だと20本弱の1株茎数が、今年は20~25本、しかも、出ている穂の長さも長かったから、これならば、ってほくそ笑んでいた。

 盆前、延々と続いた炎暑のお陰だ。やっぱりイネは強烈な太陽と茹だるような暑さが好きなんだ。出穂も早く、イモチも暑熱に焼かれ、ほとんど広がらない。この調子なら上々の仕上がりになるに違いないと確信していた。さあ、どんどん光合成して実の中にデンプンを蓄えて行ってくれよな、っと楽しみにしていたところで、あの長雨と低温だ。暑さに参っていた人間様には心地よい初秋の訪れだったが、真夏大好きのイネにとっては、ちと早すぎる夏の終わりだった。ぱたっと止まったな、生育が。そして、大したことはなかったが、病気も出た。9月に入ってからの大雨、大風で一部倒れるところもあった。もっとも、この部分は、間違って肥料を多く播いてしまったところのようで、明らかに出来過ぎだったんだけど。

 この天候の激変は、ヒトメボレに大きく影響した。晴天続きの頃から、何故か水口のイネの出遅れが目だっていたが、秋の日照不足でとうとう最後まで追いつくことができず、かなり広い面積で青立ちのまま。つまり、穂は出たものの、実が入らない状態で稲刈りに行き着いてしまった。

 こんな状況なので、かなりがっかりしながら、あまり期待もせずに臨んだ稲刈りだったが、刈り終え、杭掛けを済ませてみれば、コシヒカリ37本、ヒトメボレ41本と、これまででもっとも多い杭の本数になった。もっとも、実入りの具合や束ね方の違いがもあるから、最高だって手放しで喜ぶわけにはいかない。こればっかりはこいでみなけりゃわからない。ってことなんで、今年の米は、まあまあの豊作かな?ってことだ。

 それにしても軽トラの荷台一杯になった青刈りイネ、心配はご無用。山羊さんと鶏さんが待っててくれるからね。やっぱり家畜のいる暮らし、いいなぁ!無駄ってもんがない。捨てるもんがないから、気持ちも穏やかだ。お隣さんに感謝しよう。

 と、言うことで、来年に向けての反省。水口のイネの生育をどう早めるか?常時満水の意識を捨てた方がいいのかもしれない。いつでも水を一杯にしておこうと思えば、水口のイネはいつだって冷水浴びっぱなしになるわけだから。それと、代掻きを丁寧にして水持ちを少しでも良くすること。生育のムラについては、場所によって地力のあるなしがほぼわかったから、それを均すような堆肥散布をすることにしよう。あと、暑い夏が続いても文句を言わず、イネの気持ちを慮って笑顔で耐えることだなぁ。

 

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気にしない、世間の白い目、当てこすり!

2015-09-23 08:05:35 | 農業

 歳とって、いいなぁと思うのは、世間体とか、人並みとかってことが気にならなくなることだ。慣習とか常識なんてものにもとらわれなくなる。おいおい、そりゃ身勝手老人の誕生ってことじゃないか?高齢は恥の掻き捨てか?うん、これはたしかに気をつけなくちゃならんことだが、自分の考えややり方を気負いもなく押し通せるって点では、背中の荷物は間違いなく減った。勝手放題、やりたいようににやって、失敗したら、自分が責任とればいいだけのことだ。

 稲刈りだって同じこと。米作りには暗黙の掟、は大袈裟だが、そんなことしちゃわかんねえ!とか、そいつぁうまくないんねえか?なんて暗黙の了解事項が結構ある。代々受け継がれた農業知識だからって面もあれば、農業改良普及所の先生方からのお教えは守らねば、って意識、無意識が働いて、稲刈りタブーてヤツが幅を利かせている。

 稲は、日がたっぷり上がって、夜中に降りた露が乾いてから刈る、なんてのも常識の一つだ。そりゃ乾いてから刈った方が、後々の杭かけ乾燥が上手く行くてのは当たり前の話しだ。しかしねえ、ここいらじゃ、秋口夜はぐっと冷え込んで、降りる露の量も半端じゃないし、それ乾くの待ってたら、昼過ぎになっちまう。そんなことしたら、作業時間は大幅に制限されて、日が落ちてまで田んぼをうろつきまわらなくっちゃならない。せっかくだもの、お天道様の下で健やかに働きたいじゃないか。ええいっ、刈っちゃえ、刈っちゃえ!夜露で濡れて立った構うこっちゃねえ、刈り倒してそののまま置いておけばそのうち乾くさ。年寄りのことだ、刈ったそばからささっと集めたりできゃしねえんだし。刈った後で乾燥、乾燥。てことで、9時前には作業に入るようになった。

 刈った稲束はその日の中に杭かけする、これも今まで何とはなしにとらわれてきた農家の常識だった。小さい田なら、刈っては集め、揃えては杭にかける、一日の作業で完結する。大きい田でも、一日一枚と限定して仕事にかかれば、なんとかなる。今日はこの田、明日はあっちを片づける、そんなやり方を守るという意識もなく当たり前に実行してきた。

 今回は少し事情が違った。最終日、できれば午前中、遅くとも午後2時には終えなくちゃならない事情があった。残るは一番大きな1反2畝の田んぼ、男は僕1人、女は神さんとお隣さんだけ、この年寄り3人組で1枚を半日でやりきるのはとても無理だ。かといって翌日に延ばすわけにも行かない、これまた理由あり。となったら、前日に半分でも刈り倒しておくしかない。できれば、杭立ててそこに数を合わせて積めればもっと確実だ。幸い前日は強力な助っ人も入ってくれたこともあって、その日予定の田はお任せして、一気に大きな田の刈り倒しを行った。

 刈ったまま置いておけば、当然夜露をしたたかに浴びる。置いた地面からの水分も上がって来そうだ。何より、こういうやりかけ、ほったらかし仕事は見苦しい。農家は常に見栄え良く仕事をする。世間様に怠け者と見なされたくないからだ。この世間体を気にする意識がいつしか美意識となり、農村の美しさを保ってきた。だが、反面、過度の自己抑制にも繋がってきたわけで、もうそろそろ、自由で合理的な働き方を選択しても良いだろう。て言うより、今回そうせざるを得ない。

 結果は上々!翌日が朝から晴天と恵まれたこともあって、刈って束ねておいた稲が濡れるってことも少なく、作業はスムーズに進行し、予定時間も大幅に短縮して午前中にすべて稲刈りを終えることができた。守れるものならしきたりは守った方がいい。好き好んでぶちこわそうとするほどの元気もない。だが、雁字搦めになって苦労するのはお断りだ。年寄りには年寄りの働き方がある。分をわきまえつつ無理のないしきたりを作っていけばいいんだ。周囲の意識も緩やかになってはいることだし。

 さて、残るはまだまだ青いモチ米の田だけ。満月モチって中手の品種を、あろうことか水口近くの2枚に植えているので、あと1週間は置きたい。幸い、ここまで持った応急手当のバインダーも最後の最後に悲鳴を上げて壊れたことだし、まずは、前半戦、いや最後のイニングを残すのみってことで、とりあえず、さなぶりだ。目出度し、目出度し!

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痛っ!稲刈りは危険がいっぱい

2015-09-22 14:12:09 | 農業

 稲刈り二日目。針金で応急修理のバインダー、壊れたんじゃない?って楽しみにしてる君、残念だねぇ、機械は今日も最後まで無事働いてくれた。変な音がするたんび、ひやっとしながらだったけどね。

 今日は家の前のコシヒカリ1反歩を片づけた。機械が動いてくれれば作業は順調、午前中に一気に刈り倒して、後は稲束を運んで杭がけするだけ。だけ、とは言ってもこれがなかなかの大仕事、田んぼ中に散らばった結束イネをまとめては担いで杭の所まで運ぶ。田面が乾いていれば、軽やかにスキップしながら?でも行き来できるが、生憎とそこここに水たまりが残るぬかるみだ。重い稲束を肩に行き来するのは難行苦行だ。できるだけ運搬距離を短くしたい。となると、杭をどう立てるかが思案のし所だ。

 穴開け、杭打ちは男の仕事となっている。いや、力さえあれば女だってできるんだけど、女たちは知らんぷり、杭が立つのを待っている。いやいや、おとなしく待っているならいい、あっちがいい、こっちが無駄がない、などと勝手放題、ほざくだけだ。稲束の散らばり具合を見定め、日の当たり具合や、田んぼ深く埋まった石の所在など、どうしてわかるんだ?そりゃ長年の感さ、様々勘案しながら、列の方向とおおよその本数を決めて杭打ち作業にとりかかる。

 すべて人力でまかなった昔は、と言ってもたかだ十数年前までのことだが、大変だった。杭を両手で打ち込んでは穴を開け、引っこ抜いてはさらに打ち込む。これを何度も繰り返しつつ深さを稼いで行く。だいたい10回打ち込んでどうやら30cmってところか。本当はもっと深く打ち込みたいのだが、さらに下は盤になっていて、人力でその固い土の層を突き抜けるのは容易でない。で、妥協する。と、掛けた後、風が吹いて倒れる。直しては倒れ、またまた直し、台風など来ようもんなら大変だ。一気に5,6本吹き倒されたことだってあった。

 だが、今は、穴開け機がある。分厚い鋼でできたドリルをエンジンで回転させて穴を開ける。こいつのお陰で、うんざりの穴開け作業から解放された。まったまく、必要は発明の母だよな。人間様の嫌がる作業には必ずと言っていいほど、代役が投入される。四つん這いの手植えの代わりに田植機、除草作業の代役が除草剤、稲刈り鎌の効率化ではバインダーやコンバインって具合だ。しかし、除草剤が環境汚染を引き起こすように、オールマイティの代替え策なんてものは少ない。

 うんざり力仕事から解放してくれた穴開け機、助かった。あっという間に穴か開く、エンジンの馬力とドリルのお陰で、使い手はしっかりとハンドルを握っているだけでよい。しかし、だ。便利の陰には魔物が潜んでいる!穴開け機の魔物、それは突然の逆回転なんだ。土が柔らかく、ぐりぐりとドリルが入りこんでいっている間は問題ない。耕土を掘り進めば盤土に突き当たる。あるいは埋もれた石にぶっつかる。エンジンは盤や石を突き破ろうと、必死に回転を上げる。ドリルは先を邪魔されたまま動かない。この膠着状態を打ち破るべく、さらに力を加える。と、突然、溜まり溜まった回転力が、バックスピンになって跳ね返る。凄まじい力でグリップが逆回転するのだ。あっと言うまだ。高速逆回転のグリップは押さえる手をふりほどいて好き放題に跳ね返る。左股にグリップの直撃!強振したバットで撲ったたかれたのと同じ衝撃だ。

 やられたっ!今年もまた、やられたっ!注意してたのに。4日後にはマラソン大会、足の怪我だけはしまいと誓って作業していたのに。機械にぶん殴られた股は、張れ上がって、曲げることできない。骨にひびは入らなかったようだが、強度の打撲。あーあ。気を取り直し、一層警戒しつつ掘り進める。よしっ、後一本これで終わり。うむ?進まない、もう一息入らないと、杭を立てても不安定だ。よしっ、細心の注意を払いつつエンジンの回転を上げる。いつでも逃げられるよう腰を引き、足を遠ざけて。あっ、握っていた腕が、機械と一緒にねじ上げられる。うんっ?どうなったんだ?ヤバイぞ!っと思った瞬間には腕が肩がらみ持って行かれた。あわっ、肩はずれたか?肩の筋やられたか?慌てて機械をほっぽりだした。その瞬間、グリップ部分がしたたかに手の甲を撃った。ムムムムムっ!ウグググクグッ!

 長閑でなんかあるもんか!稲刈り作業作業は危険と隣り合わせだぜ。ますます高齢化する農家諸君、気を付けましょうぞ。

 

 

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稲刈り初日、早くも危機!

2015-09-21 06:43:54 | 農業

 昨日の雨の所為で、まだイネの葉には滴が残っていたが、昼からは晴れ間も覗くという予報なので、思い切って稲刈りを始めた。

 一年ぶりバインダー始動、やっぱりなぁ、エンジン上手く掛からない。ついつい始動のコイルを回し過ぎ、燃焼室をガソリンだらけにしてしまった。ほんと、ヘタなんだよ、機械とのお付き合い!こうなると、点火プラグのガソリンが乾くまでぜったいに掛からない。仕方なく待つことしばし、いつまでもガソリンが漏れ出すので、業を煮やし頭髪用のドライヤーを持ち出して乾燥作業。風を当ててガソリンを飛ばし、ようやくエンジンスタート。

 初日の今日は、堰の水で作っている小さな田んぼ2枚。一枚はお隣さんのコシヒカリ、その下が我が家の黒米だ。まずは、上の田に機械を入れ、刈り取り開始!と思ったら、さっそく、結束不良!そうだろう、そんなことは折り込み済みだ。持参した工具を持ち出し結束部位から絡まった紐を取り除く。昨年使ってそのまま装着してあった紐が不具合の原因かもしれないので、これも新しいものに取り替えて、いよいよ、本格始動!快調な滑り出しだ。

 これなら、午前中にここの2枚を終わらせ、家の前の大きな田に移れそうだ、とほくそ笑んだのも束の間、ガギッ!と異音を発して、バイダーの刈り取り部分が動かなくなった。これまで聞いたこともないような凄まじい音、未経験の突発事態発生だ。すぐにエンジンを止め、刈ったイネのかき上げ部分をのぞき込む。なんと、チェーンが外れかき上げのプラスチック羽がカバーに挟まっていた。

 カバーを外してチェーンを歯車に掛ければいいわけかな?不測の事態に不安はあったが、たくさんのネジを外してカバーを取り除くと、なんとギヤの周囲は泥とゴミと油でびっちり!これじゃチェーンだって外れるわ。動かす前に機械屋さんに事前点検してもらっとけば良かった。ああ、なまじ経費をけちったお陰で、・・・・ドライバーでゴミをこそぎ落とし、ついでにチェーンも点検、ありゃりゃ、プラスチック羽が一枚、ぽろりと落下した。ヤ、ヤバッ!見れば、羽をチェーンに固定していた変形のワッシャがとれ、なんと固定用のピンもひん曲がってるじゃないか。チェーンが外れた拍子にピンに力が加わったのか、それともこのピンの不具合からチェーンが外れたのか、どっちがどっちともわからないが、ともかく、これは素人の出る幕じゃない。慌てて機械屋さんに電話した。

 さすが、プロ、状況を即座に把握、まずはギヤをゆるめてチェーンをかけ、張り具合を微妙に調整した後、曲がったピンをまっすぐに伸ばした。ワッシャをかぶせて、折れてどこかに消し飛んだ止めピンの代わりに針金を代用して固定し、修理完了、さすが!よっしゃ、これで、と、カバーを戻しかけて気付いた。別の羽の固定ピンの先端が折れてしまっている。あれあれ、これは危ない。今のところどうやら持っているが、いつ外れるともわからない。こればっかりは修理が効かない。チェーンそのものを交換するしかないと言う。しかし、メーカーに注文できるのは、連休明けだ。

 弱った!ほとほと弱った!運を天に任せて、作業を続けるしかないか。それでダメになったら、そのときは、誰かに機械を借りる。だが、それにしても危うい。羽は、折れたピンの先端にかろうじてへばり付いてるだけなのだ。なんとか応急措置でも補強できないか?針金でぐるっと丸ってしまったらどうだろう?これは僕の提案。素人らしい乱暴な発想だ。かなりの速度で回転するわけだから、それくらいじゃ固定できない、とプロ。でも、まあやらないよりは、ということで、プロの手さばきで針金できつくバインドしてくれた。

 恐る恐る、エンジンを掛け、刈り方を始める。どうやら修繕部分も応急措置部分もなんとか持ちこたえているようだ。もう、これで行くしかない。壊れたらそのときのこと、刈れるだけ刈ってしまおう、と、作業を本格再始動した。

 動いてみれば、小さな田だ、たわいないほど簡単に刈り取り終了。トラブルとそのリカバーのため、大きく時間をロスしたから、本日はこの2枚で止めることにして、杭掛けを済ませた。夕刻、どうにか終了。直したピンがどうなっているのか、見ることはできないが、ともかく今日一日は頑張ってくれた機械をねぎらい感謝しつつ、本日作業完了!いろいろあるんだよ、稲刈りってヤツには。

 明日も頼むぜ!バインダー爺さん!

 

 

 

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