菜の花座でも、シニア演劇学校でもそうなのだが、衣装を決めるってのが、なかなかに難しい。現実から離れたものは離れたもので、イメージ作りから縫製から手が掛かるのは勿論だが、今風ものであっても、これが結構難物なんだ。
特に、若い人たちの衣装には悩むことが多い。シニアだと長い人生の中で自前の着物や洋服も数多く持っていて、そこから選ぶことができるのだが、若い連中は、自分好みの衣服しか持っていないことが多い。まっ、当然だ、着ない洋服買う理由ないものな。役柄がその役者の趣味と一致するようならいいのだが、まあ、普通、そういうことは希だ。年寄りの僕が描く人物だから、なおのこと当人たちとは隔たっている。
自前のもので間に合わなけりゃ、買ってくればいいのだが、これがまたなかなかに難しい。当人にイメージを伝えたくても、僕の方も言葉不足、というより、漠然としていて、上手く伝えられない。色は?とか、形は?とか、長さは?とか問われても、一概に言い切れるものじゃないのだ。探せと宿題まる投げされる役者の方も、服の趣味は偏っていて、様々な服への知識が足りないことも多い。自分の年齢、自分の趣味、自分の好みには深い知識があっても、そこから少しでも外れると、ほとんど思い浮かべることができない。まあ、それが若いってことでもあるわけだが。
今回の米沢ステージフェスティバルのコントでも、そこで随分苦労した。僕の思い描いているものと彼らの日頃の服装趣味とが大きく食い違っているし、観客は当然高齢者が多いと予想されるから、ミリタリー系とかだらしな系とかはNGだ。比較的昔風で、なおかつ今にもマッチする服装、これをどう探すか、最後のぎりぎりまで当人たちに任せてきたか、結局、妥協点に到達できなかった。
仕方ない、高校演劇の時のように、僕が買い出してしてくるしかないか。ということで、ハードオフの女物売り場を1時間歩き回って、どうにか見つけることができた。カントリースタイルのスカートやレースのカーディガン、それとLサイズの男物チノパンツ、レジの売り子も内心、ななんじゃ、このじじい!?って不審に思ったことだろう。
着て貰った感じは、まずまずの合格点かな。田舎と地域の暮らしを愛する少女、ちょっぴり品があって、勝ち気で元気な少女、どうにか作れたのかな。
男の方は、自分で買ってきた帽子が生きて、米沢の農業青年から数歩だが、シティボーイに近づけたように感じる。本番はこの恰好で、ステージの進行を支える。さて、お客さんの反応やいかに?
それにしても、サイズとかどうやって判断するの?そこが演出家の目と経験だ。いちいち当人のサイズ計ったりしなくても、ほぼ的中するね。まっ、人をよく観察することの賜物ってことだな。