冬が近づいた。えっ、そりゃ早すぎだろ?まだ9月だぜ。稲刈りだって済んじゃいない。
いやいや、あっという間に滑り込んでくるから、冬一陣。この間だって、9月初めだっていうのに、最低気温15℃だったじゃないか。まだ、昼間暖かくなるから、その余熱が部屋にこもって室温はそれほど下がりはしないが、それでも、19℃にはなったからね。今度寒気団が入り込んでくれば、部屋の中でだって震えなくちゃなんないだろう。と、なると冬支度、急がなくちゃ。
薪割りは急ピッチで進んでいる。米沢の河川敷から運んだ支障木、手こずりながらも刻み終えた。森林組合から買った材木は、ぶっとくて長いので非力の年寄り泣かせだが、割る方は、スパン!スパン!と気持ちよく割れてくれるので、精神衛生上大変好ましい。何度も何度も斧を打ち下ろし、挙げ句、諦めて薪置き場の奥に放り込むことの多かった河川敷の木とは大違いだ。この調子なら2,3週間、精出せば、昨年以上の量を確保できるだろう。
焚き物の目途がついたとすれば、焚き場所の準備にかからにゃならない。そう、ストーブの煙突掃除だよ。春に焚き納めしてから半年、おっと、わずか4ヶ月だ、冬中燃やし続け、溜まりに溜まった煤や灰を取り出さねばならない。ストーブ屋さんに頼めば楽だし、徹底的にきれいにしてくれるのだが、なんせ、高い!薪にだって金出したくないのに、煙突掃除ごときに2万円も払っていられっかい!隅々まできれいになってるか不安は残るんだが、自分でやることにしている。
望ましいのは屋根に上がって、風防、鳥よけを外し、上から金ブラシをつっこみ、ごしごしやることだが、それ、恐い。我が家の屋根急傾斜だし、煙突の先端は屋根より上の高さに設置されてる。てことは、屋根のてっぺんに登らにゃいかんでことで、これは、さすがに年寄りの冷や水、さわらぬ神に祟り無し、えっ?使う意味違うだろ!できる範囲で最善を尽くそう。
一階の居間兼食堂の片隅に置かれたストーブ、煙突は2間まっすぐに立ち上がり、2階の寝室に突き出て、45度傾き方向を変えてさらに1間、曲がり屋根の中央にずどんと突きだしている。この2階部分に掃除用の小窓が設けられているのだ。普段は煙がもれないよう固く締められているこの小窓を開けて、ここから長い柄付きの金ブラシを差し込み、内壁にこびり着いた煤をこそぎ落としてやる。乾燥した煤ならこれで落ちるが、タール分を含んでへばり着いている性悪煤には、木の棒で外側から叩くというのも効果的だ。ただし、煙突が凹んだり、傷ついたりしないようそっと、お手柔らかに。
上をこすり、下にブラシを差し込みして、歯磨きさながら何度も磨き上げる。そぎ落とされた煤は、当然下に溜まる。ストーブに直接落ちるのではなく、ストーブからの立ち上げ部分は、一旦横に出てそれから直角に曲がって上に向かうので、その屈曲部分にすべて落ちてくる。そこが煤や灰の排出口になっていて、ここに取り付けられたフタをはずと、一気に一年分の煤と灰が流れ落ちることになる。
周囲を新聞紙で覆い、煤の飛び散りに備えつつの作業だ。凄い!もの凄い量の煤だ!これが一冬の暖房の証しってことだ。煙突の中は覗けないが、中の壁がすっきりさっぱりとなって気持ちを良い。長らく苦しんだ便秘から解放されたすっきり感だ。よし、これでよい!これでまた一冬、快適な薪ストーブ生活が保証された。穏やかにじんわりと暖まる遠赤外の熱。部屋全体がむら無く暖まる心地よさ。雪に埋もれる半年間、こいつがいるから、心も体も暖かだ。
さあ、いつだって来い!冬将軍。あっ、でも、そんなに慌ててやってくる必要もないからね。