ステージおきたま

無農薬百姓33年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

痛っ!稲刈りは危険がいっぱい

2015-09-22 14:12:09 | 農業

 稲刈り二日目。針金で応急修理のバインダー、壊れたんじゃない?って楽しみにしてる君、残念だねぇ、機械は今日も最後まで無事働いてくれた。変な音がするたんび、ひやっとしながらだったけどね。

 今日は家の前のコシヒカリ1反歩を片づけた。機械が動いてくれれば作業は順調、午前中に一気に刈り倒して、後は稲束を運んで杭がけするだけ。だけ、とは言ってもこれがなかなかの大仕事、田んぼ中に散らばった結束イネをまとめては担いで杭の所まで運ぶ。田面が乾いていれば、軽やかにスキップしながら?でも行き来できるが、生憎とそこここに水たまりが残るぬかるみだ。重い稲束を肩に行き来するのは難行苦行だ。できるだけ運搬距離を短くしたい。となると、杭をどう立てるかが思案のし所だ。

 穴開け、杭打ちは男の仕事となっている。いや、力さえあれば女だってできるんだけど、女たちは知らんぷり、杭が立つのを待っている。いやいや、おとなしく待っているならいい、あっちがいい、こっちが無駄がない、などと勝手放題、ほざくだけだ。稲束の散らばり具合を見定め、日の当たり具合や、田んぼ深く埋まった石の所在など、どうしてわかるんだ?そりゃ長年の感さ、様々勘案しながら、列の方向とおおよその本数を決めて杭打ち作業にとりかかる。

 すべて人力でまかなった昔は、と言ってもたかだ十数年前までのことだが、大変だった。杭を両手で打ち込んでは穴を開け、引っこ抜いてはさらに打ち込む。これを何度も繰り返しつつ深さを稼いで行く。だいたい10回打ち込んでどうやら30cmってところか。本当はもっと深く打ち込みたいのだが、さらに下は盤になっていて、人力でその固い土の層を突き抜けるのは容易でない。で、妥協する。と、掛けた後、風が吹いて倒れる。直しては倒れ、またまた直し、台風など来ようもんなら大変だ。一気に5,6本吹き倒されたことだってあった。

 だが、今は、穴開け機がある。分厚い鋼でできたドリルをエンジンで回転させて穴を開ける。こいつのお陰で、うんざりの穴開け作業から解放された。まったまく、必要は発明の母だよな。人間様の嫌がる作業には必ずと言っていいほど、代役が投入される。四つん這いの手植えの代わりに田植機、除草作業の代役が除草剤、稲刈り鎌の効率化ではバインダーやコンバインって具合だ。しかし、除草剤が環境汚染を引き起こすように、オールマイティの代替え策なんてものは少ない。

 うんざり力仕事から解放してくれた穴開け機、助かった。あっという間に穴か開く、エンジンの馬力とドリルのお陰で、使い手はしっかりとハンドルを握っているだけでよい。しかし、だ。便利の陰には魔物が潜んでいる!穴開け機の魔物、それは突然の逆回転なんだ。土が柔らかく、ぐりぐりとドリルが入りこんでいっている間は問題ない。耕土を掘り進めば盤土に突き当たる。あるいは埋もれた石にぶっつかる。エンジンは盤や石を突き破ろうと、必死に回転を上げる。ドリルは先を邪魔されたまま動かない。この膠着状態を打ち破るべく、さらに力を加える。と、突然、溜まり溜まった回転力が、バックスピンになって跳ね返る。凄まじい力でグリップが逆回転するのだ。あっと言うまだ。高速逆回転のグリップは押さえる手をふりほどいて好き放題に跳ね返る。左股にグリップの直撃!強振したバットで撲ったたかれたのと同じ衝撃だ。

 やられたっ!今年もまた、やられたっ!注意してたのに。4日後にはマラソン大会、足の怪我だけはしまいと誓って作業していたのに。機械にぶん殴られた股は、張れ上がって、曲げることできない。骨にひびは入らなかったようだが、強度の打撲。あーあ。気を取り直し、一層警戒しつつ掘り進める。よしっ、後一本これで終わり。うむ?進まない、もう一息入らないと、杭を立てても不安定だ。よしっ、細心の注意を払いつつエンジンの回転を上げる。いつでも逃げられるよう腰を引き、足を遠ざけて。あっ、握っていた腕が、機械と一緒にねじ上げられる。うんっ?どうなったんだ?ヤバイぞ!っと思った瞬間には腕が肩がらみ持って行かれた。あわっ、肩はずれたか?肩の筋やられたか?慌てて機械をほっぽりだした。その瞬間、グリップ部分がしたたかに手の甲を撃った。ムムムムムっ!ウグググクグッ!

 長閑でなんかあるもんか!稲刈り作業作業は危険と隣り合わせだぜ。ますます高齢化する農家諸君、気を付けましょうぞ。

 

 

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