ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

青年幸司が笑われた!:『おもかげチャンチキ』総括その2

2007-07-16 19:00:38 | 演劇

 昨日は場転とチンドンについて課題を書いた。今度は演技と演出についての総括だ。と言っても、この記事を読む人が皆、昨日の舞台を見ているわけではないしね、あのセリフ回しがどうの、あの場面での身ごなしがこうのと言っても意味がない。なので、昨夜の衝撃的事件?大袈裟だよ、について考えて見ることにする。

 青年幸司と熟年幸司が、ともに思いもかけない場面で笑いを取ってしまったってことなのだ。それもかなりの爆笑!いや、驚いたよ!演じてる役者はもっとびっくりしたことだろう。だって、かなりシリアスなクライマックスなんだよ。相方の千晴なんかショックで打ち上げで酒も飲めないほど!本当?ウッソ!

 まず青年幸司のシーンはこうだ。家出した女子高生をやっと見つけてみたら妊娠3ヶ月。母親から厳しく問いつめられた家出娘は、日頃の母親への反感から、幸司が子どもの父親だと口走る。突如ふられたぬれぎぬに幸司があたふたするという場面。ここでまず爆笑。うん、これはある程度想定内のこと。ただ、ここまで受けるとは思わなかったけど。さらに、教え子の嘘に合わせるべきかどうか悩む幸司。ここでも笑い。チャンチキの音を幸司だけに聞こえたという演出をしたつもりだったけど、これがまったく裏目に出てしまった。

 さあ、ここで、この爆笑問題を解かなくちゃいけない。

 理由のその一、観客がこのシーンの前に笑いのロックを外してたってこと。場転でやったチンドン屋の口上が馬鹿受けだったからね、お客さん、ああ、いいんだあ、この芝居大いに笑っても、って待ちかまえてたんだと思う。人間って、笑っていいんだと感じると、ほんの些細なことでも笑いたくなるものなんだ。

 理由その二、役者が実際に置農高の先生だったってことも含めて、役者の持ち味が笑いを引き出した。置農演劇部の生徒全員集合だったから、彼らには現実の先生と役柄の幸司が見事にオーバーラップしたんだろう。それと、やっぱり彼のほのぼのとした雰囲気は大きいよ。彼自身は、いたって真面目にやってるんだけど、どこか外れていておかしいそんなキャラクターが笑いを引き出した。青年幸司については、まっ、こんなところだろな。

 次ぎに熟年幸司の笑いだ。これも、役者の人柄が大きい。だって、熟年幸司を演じたのはチンドン屋の口上で大いに湧かせた役者の二役だったからね。それに、彼も置農の先生なんだ、それも人気者の。さらに、地域でもかなりの有名人。そんな彼が、若い娘に抱かれたんだから、ついつい笑いが起きてしまったんだろうね。あと、抱かれたときの彼の首の傾け方が、いかにもぎこちなく滑稽だったこともあるな。必死で泣きの演技をしていた相方にはとんだ迷惑だったよね。

 でも、このシーンは演出としても、かなり無理があるなと感じてたことも事実。十分な言葉のやりとりが無いまま、相方の女性が感情を高ぶらせていく。ここはかなり難しいと思っていた。だから、女優には何度もダメだしをして稽古してきた。でも、幸司の方のリアクションが重要だったんだ。幸司も相手の気持ちを受け止めて感傷的になっていく演技をしなくてはならなかった。それを役者も演出も見落とした。だから、彼女が抱きついたのが唐突に見えて笑いを誘ってしまったんだろう。

 と、書いてきて、やっぱり昨日の芝居『おもかげチャンチキ』見てない人には、まるでわからないものになってしまった。ええ、そこで、結論は無理矢理一般論に戻って、

 一、笑いは役者のキャラクターによるところが大きい。

 二、地元芝居は、何気ない事でも笑いが起こるから要注意。

 三、観客の笑いのロックが外れていたら要注意。

 でも、笑った後ですぐにシリアスなセリフに食いついてきてくれたから、そんなに気にすることはないってことかもしれないな。まっ、投げ銭が飛んできたようなもんだ、有り難く笑いのおひねりを頂戴しておこうよ。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

御礼!公演終了

2007-07-16 00:19:27 | 演劇

 菜の花座第16回『おもかげチャンチキ』なんとかかんとか、終わりました。ご覧いただいた皆さん、応援して下さったみなさん、ありがとう!!

 改めて、大変な舞台だった。何がって?まずチンドン屋でしょ。それに場転の大がかりなこと。これまでの菜の花座の苦手分野がぎっちりだものね。

 特に場転は前日のリハーサルからしか稽古出来ないからね、ほんと、辛かった!!今までなら、一度立て込んでしまえば、後は芝居だけだったのに、なんと、芝居の中で大がかりな転換が二度もあるんだもの、昨日の舞台稽古は、ほとんどすべて場転の練習だった。芝居なら生き生きする役者たちが、もう完全にメロメロになってしまった。

 チンドンも今までを越える試みだった。できれば劇団員全員がなんか楽器ができるようになってほしかったんだけど、う~ん、得意不得意あるからなぁ。でも、チンドン屋に関しては、やって良かった。小松の人たちにも、菜の花座を認知してもらえたしね、地域とつながる最初の一歩になったと思う。これ、ほんと貴重だ。

 今回、いつになく観客も多かったし、何より、熟年層がたくさん来てくれた。これからの菜の花座の目指すべき道が、おぼろげながら見えてきたって感じだ。これからも、地域に密着しつつ、地域の地平を越える芝居を作って行かなくちゃ。そのためにも、チンドン屋菜の花商会は力になるよなあ。

 さて、いよいよ、舞台の総括だ。

 まず、場転が下手だ。たしかに大変な場転だったけど、あそこまて゛時間がかかるかい?一人一人が、舞台の全体構造を理解してないから、照明点いたら、スタッフか残ってた、なんてことになるんだ。菜の花座はほとんどが役者だから、こういうことになるんだよね。役者って、本質的に身勝手だもの、自分に関わる部分しか関心ないからね。

 つぎ、チンドンの稽古が足りない。舞台にかける以上、それなりの仕上がりにしなくっちゃ。もっとも、僕もドジってしまったので、偉そうには言えない。もっと一人一人が、楽器や音楽を楽しめることが、大切なんだよね。

 ともかく、課題がたくさん見つかった。これを一つ一つ解決して、9月の舞台には完璧な芝居を見てもらいましょうか。リベンジだよ、リベンジ!!チンドン屋もお芝居も精一杯、仕上げて行こう。

 さて、9月21日、プラザ演劇祭に参加します、同じ『おもかげチャンチキ』で。そこまで、どれだけ積み上げて行けるかなぁ。そんな成長過程をじっくりご覧いただきたいですね!!幸司も成長し、菜の花座も一皮むけたと感じた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする