ステージおきたま

無農薬百姓33年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

「書くことが健康に良いし、一番楽なんだ、・・・」って橋本忍が言った。

2018-11-16 10:03:15 | 暮らし

 午前中、天気いいってよ。暖かいし、ブルーベリーの雪囲いやっちまった方がいいんじゃないか?あるいは、つまらん駄文書いてるより、本読んだり、次の台本の構想考えたりすりゃいいのに。とか、ほれ、演出プランが先だろ、夜は稽古だし、とか。あちこちから繰り出される非難の切っ先を逃れつ、かわしつ、やっぱり向かうはこのパソコンなのさ。ブログ書かにゃ次の仕事が始められない。まったく呆れちまうし、後ろめたいし、馬鹿々々しくもある。なんか、書く、ってことが、朝昼晩の食事と同じ完璧にはまり切ったルーティーンになっちまってんだな。あるいは、依存症?

 これが作家だったり、評論家だったり、記者だったり、書くのが商売の人らなら、そりゃ仕事だから、あたりきだ。別に職務でもなく、義務でもなく、使命に押されてるわけでもない人間が、ここまで書くことに執着してるってなんだろ?って思うのよ。毎日だからね、ブログ記事。

 なんて、ぐじぐじ思い悩んで、いや、そんな深刻じゃないけど、脚本家橋本忍のインタビュー記事(朝日新聞11月15日文化・文芸欄)に出くわした。

 橋本忍、脚本書きならひれ伏して頓首再拝!お言葉有難く頂戴、の存在だ。彼が手掛けた作品、ほんの一部だって並べてみりゃわかる。「羅生門」「七人の侍」「切腹」「砂の器」・・・なっ、わかるだろ、って年寄りと日本映画マニアにし通じないか。

 今年の7月、100歳で亡くなった橋本忍の逝去3日前のインタビューなんだ。これ、貴重だよ。橋本脚本の原点が、婆ちゃんから聞いた「生野騒動」参加者惨殺の顛末であったり、芝居興行師の父親の、「忠臣蔵なんて何がおもしれぇんだ、47人が寄ってたかって一人のジジイぶった切るなんて」って、驚くような、視点変えれば、うーん、納得!の過去の体験にあるってことも興味津々なんだが、その父親が、お前の本で面白いのは「切腹」と「砂の器」だけ、って言い切ってることも、おお、そうだとも!「切腹」こそ名作!と、もろ手を挙げて賛同した。「砂の器」の後半、一気に映画にまくり!って彼は表現してる、をかけた部分も本当に素晴らしかった。

 が、それはそれ。このインタビューで一番心打たれたのは、100歳の橋本が毎日書斎にこもり、ワープロに向き合ってるって話しだ。そのまま記事から転載する。

「他にすることもないからね、ワープロに向かって1字でも1行でも書いてるんだ。自分はもの書くために生きてきたところが多分にあるからね。書くことが健康に良いし、一番楽なんだ。分かる?もの書くのはしんどいことだと思ってないかね?」

 そうか、こういうことなんだ!って得心したね。書いてると楽しいんだよ。自分の中から、何か新しいものがこぼれ出し、それが思ってもみなかった表現で着地する。この喜びなんだ。もちろん、それが多くの人に読まれる、時にはいいねをもらう、それも励みには違いないが、押し詰めて考えりゃ、書くことが健康に良いし、一番楽なんだ、ってことに行き着くね。まっ、健康って言ってもそりゃ精神的な意味だし、楽って言い切る境地には達しちゃいないけどさ。

 橋本同様、100歳までこのブログ書き続けられるかどうかはわからないが、なんか、書くの止めたら、そこが終点、って気はするな。って、おいおい、100歳寿命なんて、大それた空想ってもんだぜ。

 

 

 

 

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