ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

隠れた主役!衣装!!『ガード下★魔女は踊る』

2018-11-14 10:56:11 | 菜の花座

 もちろん、役者!もちろん、台本!もちろん、演出!芝居で大切なもの上げてったら切りがない。装置も道具も、パッと見で、その舞台の価値が決まっちまう。丁寧に作られた道具類、斬新なアイディアとそれを表現する舞台装置、どこまで観客の心に刺さるか、幕が上がった瞬間に、ほぼ芝居そのものの評価は決まちまうんだぜ。

 手抜きですかすか、冷凍食品一品の夕食みたいな装置、もうそれだけで、その先お付き合いする気を失う。豆腐ならいつでも湯豆腐、またかよ!って食欲は一気に減退する、そんなありたきりの舞台。いくら台本良くたって、役者が名演技したって、どこか引いてしまうんだなぁ。

 一目で評価が定まる装置や道具と違って、その良し悪しがじりじりと効いてくるのが、実は、衣装なんだ。どんな芝居でも何かしら着て出てるわけだから、余程突拍子のない組み合わせ、例えばすき焼きをお酢で食べるとか、をしなければ、致命的な違和感は生まれない。まっ、肉が美味けりゃ白菜入れたっていいか、てなもんだ。

 でも、芝居が進むにつれて、なんか、おかしい?なんか溶け込めない!って、舞台と客席にじんわりと裂けめが広がって行く。で、幕が下りれば、そこそこ満腹したけど、なんか物足りない、そんじゃ〆にラーメンか?なんてことになる。ここが衣装効果のしたたかな所なんだな。

 『ガード下★魔女は踊る』、魔女も出て来るが、ガード下にたむろするホームレスたちの役割が大きい。出番も多けりゃ、歌ったり踊ったりもする。と、なると、衣装だ、問題は。ホームレスだったら、汚れた服を重ね着してよれよれのコートを羽織って、それ以外ないだろ、なんて、簡単に結論に飛びつくようじゃ演劇の衣装は担当できない。本物出しゃリアリティある、なんてクソリアリズムはノンフィクションの世界。舞台上に薄汚れた衣服まとった役者見て、心地よいわけないだろ。まして、踊るんだぜ!ホームレスの姿借りて、描くのは人間なんだ。楽しく、夢のある世界なんだ。

 で、演出が出した無理難題は、たしかに汚れちゃいるが、どこかセンスがあって、華やぎのある衣装着せてあげてよね、ってことだ。ダンスでも映えるもの、それでいて間違いなくホームレス!どうだい、これ、頭悩ませるだろ。何度も何度もダメ出しくらって、ようやくたどり着いたのが、この一着。

 工夫したねぇ、考えたねぇ!これならホームレスの婆さんに見えるだろうし、踊っても華やかさ出せると思う。こういったのが、さらに4着!それと、偽教祖とかもいるし、劇中劇じゃ1948年の浮浪者ややくざ者なんてのも出て来る。衣装さんの腕の見せ所、まだまだ続くってことだ。

 

コメント
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