ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

台本選びの難しさ

2009-08-16 19:20:57 | 演劇

 夏休みも残り1日、9月になれば菜の花座の稽古を再開しなくちゃなんない。となると、台本選びだ、問題は!いつまでも、優雅に読書に勤しんでいるってわけにゃあいかない。ということで、昨日から次回公演のための台本探しに入った。

 まず、これまで買いためて読んでいなかったものから手を着けた。土田英生『相対的浮世絵』の中の『燕のいる駅』を読んだ。まず、このタイトルの付け方!いかにも長閑でゆったりとした田舎の駅舎が浮かんでくるじゃないか。そう、木造のね、駅員が一人しかいなかっりする。ほとんど技巧を廃して、目についた光景をタイトルにしたって感じ。そう、たしかにそんな駅が舞台になている。ところが、その駅てのは、なんか古きよき日本を造形したテーマパークの一部うなんだ。しかも、描かれる1日はどうやら地球滅亡の日。どうすです、このギャップ!そうなんだ、ぎりぎりの状況の中でのんびりと時間をやり過ごしていく人々の日常、そこに時折かいま見える焦り、いらだち、諦念、募る思い、などなどが、ほんと、たんたんと描かれる。世界の終末なんてのは、ハリウッド映画でおなじみの泣き叫び右往左往する群衆なんかじゃなくて、こんな静謐の中にすぎていくのかもしれない、そんなことを感じさせる劇世界だった。これはこれで魅力的だ。

 でも、キャストのバランスが菜の花座には合っていない。男が多い。若者が中心。そうなんだ!これが実に実に大きい壁なんだ。菜の花座ただ今、60台女性2名、50台男性2名、20台後半男性1名、残りは20台前半と10代の女多数、ってどうよ、このめちゃくちゃな構成!!このとてつもないアンバランスをやりくりしながら、菜の花座の公演は成り立っている。この劇団員に合わせた作品を見つける、どうですか?自信ある人います?オリジナル書くのだって大変だけど、でも、まだはるかにましだね。書ける世界も登場人物も、大いに限られるけど、それはそれで、よっしゃ、超えてやろうじゃないの!って障害物競走みたいなやる気もわき上がって来るってもの。

 ところが、既成の作品となると、これはもう、こっちで勝手に役柄変えるってわけにゃいかない。以前やった宮沢彰夫の『14歳の国』のように、作者があらかじめ、どう変えてもいいですよ、男の役を女がやってもいいですよ、って言ってくれてると、助かるんだけど、そんな作品ほとんどないしね。だいたい僕がやりたいと思う小劇場の若手作品てのは、その劇団に合わせて書かれてるから、登場人物ほとんどが若い人だけなんだよ。しかも、男女の比率は1対1、どころか、男の方がやや多いって場合がひじょーーに多い。ここがまず第一の壁。

 次に内容。もちろんやりたい作品、絶対嫌!って作品、いろいろあるわけだから、これはって本を探すってのも容易でない。あと、舞台設定って言うか、装置や道具、あっ、これ無理!ってのも少なくないし。この点、高校生のほうがどんだけ楽か!女が男やったって全然かまわないし、下手でも装置・衣装はとことん作れるし。

 ということで、今、候補として何が残っているかって言うと、本谷有希子『幸せ最高ありがとう、マジで!』と、春口洋『Zenmai』なんだけどね、どちらも一長一短なんだ。本谷の作品はすごくおもしろいけど、2年前に『遭難、』やってるしね。同じ作者の作品2度はやるかい!って突っ張りもあるから。後者は、中盤までとてもいいんだけど、後半、やけに理屈っぽくなっちゃって、読んでるだけでも眠くなる、これを観客に生き生き伝えられるだろうか?って問題がある。そうそう、春口作品はやたら登場人物が多いので、米沢の劇団に助っ人頼まなくちゃならない。これも、壁って言えば壁だ。で゜も、久しぶりに劇団『ぬーぼー』の元気な男たちと一緒に作るのも悪くないとは思うんだ。

 まっ、もう少し時間がある。『せりふの時代』のバックナンバーなんかひっくり返しながら、ああだこうだ悩んでみようか。ああ、書く方がよっぽど楽だよ、なんてこと言ってしまっていいのかなぁぁぁぁ?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする